「まだですか?」の連打に心が折れた日 – 登記の進捗を5日連続で聞かれた話
「まだですか?」の破壊力を知ってますか?
登記の依頼を受けてから、正直なところ特段問題もなく、通常通り手続きを進めていた案件だった。だからこそ、その後の5日間で連続して「まだですか?」と確認の電話が入ったとき、心のどこかがポキっと音を立てた気がした。書類も揃ってるし、法務局の手続きも粛々と進行中。にもかかわらず、毎日のように着信履歴に同じ名前が並ぶと、もう怖くてスマホを開くのも気が重くなる。
やっと一区切りついたと思ったら、着信履歴にドッと疲れる
その日も朝から立て込んでいて、ようやく一息つけると思った矢先、また電話。もう出る前から内容は予測がつく。「まだですか?」の一言に、謝罪と説明を繰り返す。でも、どこかで「これ、昨日も言ったよな」と心の中でつぶやいてしまう自分がいる。そういう自分にも少し嫌気がさして、さらに疲れる。
1件の登記に5回の確認電話、冷静に考えてもおかしい
たしかに登記には時間がかかる。法務局の混雑状況もあるし、何より一つ一つ丁寧に確認していく必要がある。でも、その進行を毎日聞かれても、変わらないものは変わらない。5回目の電話では、「今日も進捗に変化はありません」と、少し感情を押し殺すように返答していた。
怒ってはいけない。でも、心はすり減る
「まだですか?」は単なる一言。でも、その裏には「早くしてくれよ」という無言の圧がある。相手は悪気があるわけじゃない。でも、毎日同じ言葉を受け止める側には、確実にダメージが蓄積する。怒るわけにもいかず、ただただ胃がキリキリする。
登記の流れは説明してる。それでも聞かれる
登記の手続きは、最初の相談時に丁寧に説明している。書面にもまとめて渡している。それでも、やっぱり「どこまで進んでますか?」という確認は入る。もしかしたら、説明が足りなかったのかもしれない。そんなふうに自分を責めるクセがある。
「法務局が混んでる」は理由にならないと思われてる?
法務局の処理スピードは日によって違うし、繁忙期には数日〜1週間ズレることもある。でも、「法務局が混んでるんです」と言っても、相手にはピンとこないらしい。何となく「言い訳」に聞こえてしまうのだろうか。事実を伝えても、相手が納得してくれないと、こちらとしてはどうにも苦しい。
進捗が見えない仕事の宿命
司法書士の仕事って、「やってます」という姿が見えにくい。資料を整えたり、チェックしたり、法務局とやりとりしたり…地味な作業ばかり。でも、それが全部必要不可欠。にもかかわらず、外からは「何もしてないように見える」のがつらい。
目に見えない=何もしてない、と思われる理不尽
「忙しいのはわかるけど、うちは急いでるんで」と言われることもある。でも、すべての案件が急ぎなのが現実だ。誰かの都合だけを優先すれば、他の誰かが後回しになる。そのバランスを保つのが一番難しい。でも、それを理解してもらえることは少ない。
説明不足だったのか?と自問する日々
何度も説明しているつもりでも、伝わっていなければ意味がない。そう思って、改めて自分の対応を振り返る。言葉選びやタイミング、説明書類の内容…全部を見直したくなる。でも、それで本当に伝わるようになるのか、自信が持てない。
書面も渡している、口頭でも伝えた。それでも…
書類の控え、スケジュール、見通し。ちゃんと伝えても、相手の不安は消えないことがある。登記というものが「日常の中では経験しないこと」だからこそ、感覚が違うのかもしれない。わかっていても、もどかしい。
「何日に終わりますか?」という質問に答えられない辛さ
これが一番しんどい。予想はできても、確約はできない。そういう仕事だ。でも、「ハッキリ言ってほしい」と求められることがある。嘘はつけない。でも、曖昧に答えると信頼を失うかもしれない。このジレンマがつらい。
心の中で「せめて1日空けて」と思ってしまう自分が嫌
本音では「そんなに頻繁に連絡されると困ります」と言いたい。でも、言えない。相手は不安で連絡してきているのだとわかっているから。だけど、毎日のように連絡が来ると、正直げんなりするし、「せめて1日空けてよ…」とぼやいてしまう。
クレームじゃないだけありがたい…のか?
怒鳴られたり、責められたりしているわけではない。単なる確認電話。でも、その“単なる”が積もると、じわじわと精神的に削られていく。だからこそ、心が弱っている時にはクレーム以上にこたえる。
でも5日連続はさすがにきつい
毎朝「また連絡来てたらどうしよう」と思いながらスマホを見るのは、なかなかのストレスだ。内容は想像できるのに、その確認が怖くなる。5日連続って、ちょっとした拷問に近い。
事務員さんにまで波及するストレス
直接電話に出るのは私だけではない。事務員さんが対応することも多い。すると、その人にもストレスがたまる。「また同じ方から…」と、申し訳なさそうな顔を見るたびに、こちらも申し訳なくなる。
「まだ終わってませんか?」と聞かれるのは私だけじゃない
事務員さんにとっても、同じ内容の問い合わせを繰り返されるのはしんどい。それを横で見ていて、「一人で全部背負っているわけじゃないんだな」と気づく。支えてくれる人にまで負担をかけていることが辛い。
事務員さんの顔色が曇っていくのを見るのもつらい
明るく元気な彼女の顔が、電話の後はどこか曇っている。小さなことかもしれないけれど、毎日の積み重ねが、少しずつ空気を重たくしていく。その空気が、事務所全体に広がっていくようで怖い。
地方の小さな事務所だからこその重圧
都会と違って、顔の見える関係が多い。だからこそ、いい意味でも悪い意味でも距離が近い。地域密着という言葉は響きがいいが、実際は「断りづらい」「無下にできない」関係性の中で、常にプレッシャーを感じる。
「すぐやってくれると思ってた」と言われる距離の近さ
よく知ってる顔だからこそ、相手も遠慮なく要望を言ってくる。気軽に「明日までにできる?」と聞かれると、内心ヒヤッとする。それでも「無理です」とは言いにくい。結果、自分で自分の首を絞めることになる。
距離が近い=心理的な距離も縮められる
それは信頼でもあるけれど、時に“甘え”にもなる。相手に悪気がなくても、こちらの負担が増える構造になってしまう。便利屋じゃないのに、そんな扱いをされることもある。
じゃあどう対応すればいいのか?
経験を積んできた今でも、正直これが正解という対応はわからない。でも、自分を守るためにも、伝え方やタイミングを意識するようになった。「先に言う」「正直に言う」ことの大切さを噛みしめている。
あえて「遅れます」と先に伝える勇気
進捗に自信がなくても、「遅れるかもしれません」と先に伝えておくことで、無用な連絡を防げることもある。それで「やっぱりか」と思われても、後から「聞いてない」と言われるよりはマシだ。
先手の一言が、自分を守ることもある
「何かあったら連絡しますので、お待ちください」と、一言添えるだけで、電話の回数が減ることもある。相手に不安を与えないようにするのは大切だけど、自分を潰してしまっては元も子もない。
それでもこの仕事を続ける理由
正直、しんどいことも多い。逃げ出したくなる日もある。でも、最後に「ありがとうございました」と笑顔で言ってもらえたとき、ほんの少し報われた気になる。その「少し」が、続ける理由になっている。
最後の「ありがとう」が帳消しにすることもある
どんなにストレスがたまっても、「あなたに頼んでよかった」と言われると、やっぱり嬉しい。たった一言だけど、それが胸に残って、また次の日も頑張れる。
いや、帳消しにはならない。でも、救いにはなる
正直、すべてをチャラにできるほどではない。でも、気持ちの上で少しだけ軽くなる。その感覚を知ってしまったから、今日もまた電話に出る。
誰かが同じことで悩んでいたら
司法書士を目指している人や、同じような立場の人に伝えたい。こういう苦しみは、たぶん誰もが一度は通る道だということ。そして、完全な正解はないということ。それでも、一人じゃないと思ってもらえたら。
「あなたは悪くない」と伝えたい
真面目に仕事をしている人ほど、こうした言葉に傷つく。でも、あなたは悪くない。そう言えるだけの経験を、私たちは積んできた。
ただ、少し伝え方を変えてみるのもありかもしれない
相手を変えるのは難しい。でも、自分の伝え方やタイミングを少し変えることで、ラクになることもある。無理をしない範囲で、できることから変えていけばいいと思う。