コンビニのコピー機、なぜこんなにも緊張するのか
ただコピーを取りに行くだけのはずなのに、なぜこんなにソワソワするのか。コンビニのコピー機の前に立つと、毎回少しだけ心拍数が上がる。司法書士という職業柄、ミスは絶対に許されないという意識があるせいか、たかがコンビニのコピーでも、「間違えたらどうしよう」という緊張感がどこかにあるのだ。たとえば印鑑証明や登記事項証明書の提出用コピー、これが万一にでも裏写りや不鮮明だったりすれば、信用を落としかねない。そんなプレッシャーが、ささいな行為にも影を落とす。
「たかがコピー」で湧き上がる妙なプレッシャー
「たかがコピー」と言えばそうなのだけれど、司法書士の仕事は「たかが」が命取りになる世界だ。たとえば、相続の書類一式をまとめているとき、1枚コピーが欠けていただけで法務局に突き返されることもある。そんな現場を何度も経験していると、コピーひとつにすら神経質にならざるを得ない。印刷ボタンを押す手に力が入り、出てくる紙を何度も裏表確認してしまう。職業病かもしれない。
司法書士としての性分が災いしているのかも
「慎重すぎる」と家族にはよく言われる。でも、失敗できないこの仕事を続けていると、いつの間にか自分の中に「完璧主義者」が住みついてしまう。コピー機の前でも、ふと「これで本当に大丈夫か?」と自問自答してしまうのだ。これはもう、職業的な性分なのかもしれない。
「後ろに人が並ぶ」—それだけでパニック寸前
コピー機の操作は簡単なはず。でも、後ろに誰かが並んだ瞬間、その「簡単さ」が一気に崩壊する。急に焦って、PDFの選択ミスをしたり、部数を間違えたりする。コピー用紙の補充なんて始まったら最悪。何か急かされているようで、ミスをしてしまうのだ。
操作ミスが怖い。気づかぬうちに指が震える
先日、遺産分割協議書のコピーを取りに行ったときのこと。USBメモリを差してPDFを選ぶだけなのに、うっかり全然関係ないファイルを印刷してしまった。後ろにはスーツ姿の男性がイライラした表情で待っていて、心臓がバクバクだった。指先の震えに自分でも驚いた。
焦ると余計に時間がかかる、悪循環の地獄
「早くしないと」と思えば思うほど、操作はぎこちなくなり、エラーが出る。紙詰まりでも起こそうものなら、後ろの人の視線が突き刺さるように感じる。自分が「迷惑な存在」になっているようで、とにかく居心地が悪い。
「PDFが開かない」「原稿が裏返し」…地味なトラブルほど致命的
コンビニのコピー機は万能なようで、意外に気まぐれだ。USBが反応しなかったり、PDFが開けなかったり、ちょっとしたことでつまずく。原稿をうっかり裏返しに置いてしまい、白紙のコピーを大量に出してしまったときは、本当に泣きそうになった。しかもそういうときに限って、後ろに人がいる。最悪のタイミングだ。
司法書士の業務における「コピー依存」問題
登記申請、相続手続き、債務整理……司法書士の業務は「紙」が基本。電子化が叫ばれて久しいが、現場ではまだまだコピーが必要不可欠だ。しかもただのコピーではなく、丁寧で正確なコピーが求められる。だからこそ、神経を使うのだ。
登記関係は原本と写しの世界。紙文化から逃げられない
法務局に提出する書類は、「原本還付」を含め、写しとの整合性が問われる。たとえば、原本の一部が見切れていたら、再提出になることもある。その責任は誰が取るのか? もちろん司法書士だ。紙文化から逃れられない現実が、コピーという単純作業を重たくしている。
「もう一回コピーしてきてください」と言われる恐怖
提出先から「コピーが不鮮明です」と言われた瞬間、全身の力が抜ける。たかが一枚、されど一枚。再提出にかかる時間と手間はバカにならないし、依頼者からの信頼も揺らぐ。だから、1回1回のコピーが真剣勝負になる。
コンビニコピーと業務効率化のジレンマ
業務効率を考えれば、事務所に業務用コピー機を導入するのが一番だ。でも、地方の小さな事務所では、そう簡単にはいかない。スペースの問題、コストの問題、いろいろある。だから結局、コンビニに頼らざるを得ないのだ。
事務所の複合機?高いし置くスペースもない
新品の業務用複合機をリースすれば、月額数万円。導入コストもかかるし、狭い事務所に設置する場所もない。結局「まあコンビニでいいか」となるが、そのたびにこの小さなストレスが積み重なっていく。
事務員に任せるのも気が引ける。「変な緊張」を押し付けるようで
「コピー、お願いしていい?」と事務員に頼むこともある。でも、あの緊張感を人に押し付けているようで、なんとなく申し訳ない気持ちになる。自分でも嫌な役回りだと思いながら、つい自分で行ってしまうのだ。
この不安、他の司法書士も感じているのか
こんなことで悩んでいるのは自分だけかと思っていた。でも、他の司法書士と話す中で、「わかる、あれは嫌だよね」と言ってもらえたときは、少し救われた気がした。やっぱり皆、どこかで同じような不安を抱えているのかもしれない。
実は「わかる」と言ってくれた同業者の声
ある会合で、先輩の司法書士が「コンビニのコピー機って、後ろに人が並ぶと変な汗かくよな」と言って笑っていた。あれは本音だったと思う。みんな表では平然としているけど、裏では同じような「小さな戦い」をしているんじゃないか。
都会の事務所と地方の事務所では、見える風景が違う
都市部では事務所内に複合機もあり、スタッフも多い。コピーひとつで外に出ることは少ないかもしれない。でも地方では、たった一人で全部やる日もある。そういう「一人仕事」の現実が、余計にこの不安を大きくするのかもしれない。