その一言で救われた――事務員さんの機転が変えた結末

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その一言で救われた――事務員さんの機転が変えた結末

「あの日のひとこと」がなければ終わっていた

忙しい日々に追われる中、ちょっとした違和感を見逃してしまうことは、司法書士の仕事では致命的になりかねません。今回は、そんな「見逃し」を救ってくれた事務員さんのたった一言で、危うく大ごとになりかけた案件が軌道修正された話です。事務所を一人で運営していると、どうしても見える範囲が狭くなります。その中で、事務員さんの存在がどれほど心強いかを思い知らされた体験でした。

朝から違和感しかなかった件の始まり

妙に急かす依頼者、妙に焦る自分

その日は朝から電話が鳴り止まず、書類の山に埋もれながら業務をこなしていました。そこに飛び込んできたのが、やたらと急いだ口調の依頼者からの登記依頼。「急ぎで頼む」「今日中に出したい」と何度も繰り返され、正直言ってこちらも飲まれて焦ってしまいました。通常であれば丁寧に確認するところも、「まぁ大丈夫だろう」と甘く見ていたのが、そもそもの間違いでした。

見落としていた「ちょっとした不一致」

あの書類の違和感、見えていたけどスルーしていた

依頼書と戸籍を見比べながら、なんとなく「うーん?」と思った瞬間が確かにありました。住所の番地が微妙に違う。前の登記簿の表記と合っていないような気がしたんですが、急いでいたのと、依頼者が何度も「前回もこれで通ってるから」と言っていたこともあり、確認を怠りました。今思えば、完全に油断していたと思います。

まさかの“同姓同名”落とし穴

最終的にわかったのは、依頼者が伝えてきた情報が、同じ名前の親族のものだったということです。つまり、まったく別の人物の情報をもとに書類を進めていたわけです。こんな凡ミス、司法書士として致命傷です。気づかずに手続きしていれば、後日トラブルになるのは確実でした。

事務員さんの一言「先生、これ…変じゃないですか?」

あまりにも素朴な疑問にギクリとした

その時、私の背中を叩くように響いたのが、事務員さんの「先生、これって、間違ってません?」という一言でした。まったく気負いのない、ただの確認のような声だったのですが、その一言で冷静さを取り戻しました。確認してみると、たしかにおかしい。これは完全に私の確認ミスでした。

忙しい時ほど耳が遠くなる自分に反省

忙しいと、頭の中が詰まりきってしまい、人の言葉が届かなくなるんですよね。特に年齢を重ねてからは、なおさらです。事務員さんの言葉がスッと入ってこなかったことも反省点のひとつです。感情で動いてしまいがちだからこそ、こうした冷静な声が本当にありがたいんです。

気づけたことで「事なき」を得たが…

結果的に、登記前に間違いに気づけたおかげで、訂正と確認を丁寧に行うことができ、大事には至りませんでした。しかし、もしあのまま進めていたら…と考えると、ぞっとします。正直、夜眠れなかったくらいです。責任を一人で抱えている仕事だからこそ、リカバリーできる機会があることが本当に救いです。

あのまま進めていたら訴訟沙汰もあり得た

自分ひとりでは確実に気づけなかった

もしあのとき、事務員さんが声をかけてくれていなければ、私は書類をそのまま提出していたでしょう。そして、後日間違いが発覚し、依頼者からの信頼は失われ、下手をすれば訴訟にまで発展していたかもしれません。ミスをしたのが私であっても、誰も「忙しかったんですね」なんて同情はしてくれません。

誰かが見てくれているありがたさ

私の仕事を「もう一つの目」として見てくれている人がいる、それだけでどれだけ救われているか。独立してからずっと一人でやってきましたが、今は本当に「誰かがいてくれること」の価値を感じています。責任の大きさに潰れそうな時ほど、その存在は大きな支えになります。

「事務員任せにしてない?」という反省と現実

任せすぎなのか、頼らないのが無理なのか

事務員に頼りすぎている自覚もあります。が、現実的に、すべてを自分でやるのは物理的に不可能なんですよね。しかも、いくら気をつけていてもミスは起こる。ならば、信頼できる人と二人三脚でやる方が確実です。とはいえ、責任の所在は自分にあるというプレッシャーも重い。

“全部自分でやるべき病”とのせめぎ合い

「司法書士たるもの、すべてに責任を持ち、自分で処理すべき」という謎の完璧主義に苦しめられることもあります。だけど、それって逆に危険でもある。効率を求めて任せすぎるのも危ないし、自分で抱え込みすぎるのも限界がある。その中でバランスをとるのが一番難しいと、いつも感じています。

司法書士は孤独な職業?…いや、そうでもないかもしれない

開業当初は、「結局、全部自分でやるんだし、孤独な仕事だな」と思っていました。けれど、信頼できる事務員さんがいてくれるだけで、こんなにも安心できるのかと気づかされました。孤独をどうやって減らすかは、自分の接し方にも関わってくるのだと思います。

一人で抱えるとミスも増える

「助けられたくない」意地とプライド

開業直後は「人の手なんか借りたくない」と意地を張っていた時期もありました。でも、そのせいで深夜まで残業したり、精神的にも追い込まれたり…。今になって思えば、「助けてもらう勇気」が必要だったのかもしれません。助けを求めることは、弱さではなく戦略だと、ようやく理解できるようになってきました。

それが一番厄介な落とし穴

ひとりで頑張っているうちは、うまくやれてるように見えても、必ずどこかに綻びが出てきます。それに気づかずに進んでしまうと、大きな事故になる。誰かに声をかけてもらえるだけで、その落とし穴にはまらずに済むことがあるんです。

信頼できる事務員がいるだけで変わる視界

“補助者”ではなく“相棒”として

事務員を“雑用をこなす人”と見てしまうと、その関係はそれまでです。でも、“パートナー”として見れば、仕事の視点は大きく変わります。私にとって今の事務員さんは、ただの補助者ではなく、まさに相棒。時に厳しく、時に冷静に指摘してくれるからこそ、事務所のバランスが保たれています。

最後に:司法書士を目指す人・同業者への本音メッセージ

この業界でやっていく上で、完璧を求めすぎると壊れます。だからこそ、人と支え合うこと、助けを受け入れることが大事だと強く伝えたいです。事務員さんに「ありがとう」と心から思えたあの日を、これからも忘れないようにしたいと思っています。

「ひとりでできる」は幻想

自分の殻を破って人に頼る練習を

司法書士という職業は孤独との戦いでもあります。でも、「全部一人でできる」なんて幻想です。信頼できる人に支えられて初めて、持続可能な業務運営ができます。頼ることに罪悪感を抱かず、上手にチームを作っていくのがこれからの時代のやり方だと思います。

人を雇うのは怖い。でもその先にしかない安心もある

気を許せる人が一人いるだけで、仕事の質は変わる

最初は、「人を雇うなんて怖い」と思っていました。合わなかったらどうしよう、教育する余裕なんてないし…と悩みました。でも、思い切って一人雇ってみて、それが正解だったと今では思っています。信頼できる誰かがそばにいるだけで、こんなにも精神的に楽になるのかと驚かされました。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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