「ちょっと手伝ってくれませんか?」が地雷になる瞬間

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「ちょっと手伝ってくれませんか?」が地雷になる瞬間

「ちょっと手伝ってくれませんか?」から始まる長い一日

「ちょっと手伝ってくれませんか?」──この言葉を聞いた瞬間、頭の中で嫌な予感がよぎるようになったのは、いつからだったか。開業して間もない頃は、声をかけてもらえること自体がありがたかった。でも、今ではその“ちょっと”が、半日仕事になってしまうことも少なくない。特に自分の仕事で手一杯なときに限って、こういうお願いが重なる。そんな日常に、そろそろ限界を感じている。

その一言がもたらす想定外の“沼”

「すぐ終わるから」と言われて引き受けた案件が、思いがけない書類不備や調査の手間で数時間を奪う。自分の本来の仕事は後回し、結局残業して帳尻を合わせる羽目になる。誰かの“ちょっと”が、こちらの“だいぶ”を犠牲にしているなんて、誰も気づいていない。

手伝いが“本業”を圧迫する

たとえば、隣町の行政書士から「相談者の件で一緒に話を聞いてほしい」と言われた日があった。行ってみたら、相続関係が複雑で登記の可能性を含めた一時間超の打ち合わせ。その間、自分の事務所では書類作成が止まり、急ぎの依頼者から催促の電話が。善意で引き受けた手伝いのせいで、自分の信用を落としかねない場面だった。

断る選択肢が消える空気感

頼まれるときって、相手はだいたい笑顔で言ってくる。「○○先生ならすぐやってくれると思って!」と。そこで「いや、今日は無理です」と返せる人は強い。でも、自分のように気が弱いタイプは、つい曖昧にうなずいてしまう。そしてその一言が、長い一日を招いてしまう。断れない空気が、結局自分を追い詰める。

なぜ人は軽く頼んでくるのか

本当に“ちょっと”と思っているのか、それとも下に見られているのか。そう考える自分がいやになることもある。だけど、頼む側は本気で軽い気持ちで言っていることも多い。そこに、司法書士という職業の誤解が関わっている。

司法書士=なんでも屋と思われがち

「登記もできて、書類も書けて、相談も乗ってくれて…」と、便利屋扱いされることがある。実際、自分でも「それくらいやりますよ」と言ってしまっていた過去があるから、余計に立場があいまいになってしまっている。職域を守るためには、できることとやらないことの線引きをしっかりする必要がある。

「手が空いてそう」に見える罠

地方の司法書士って、外に出ていないと「暇そう」に見えるらしい。パソコンに向かって黙々と作業していても、見た目は暇そう。事務員も一人で電話を取ってくれてるから、余計にそう思われる。実際は書類確認・登記申請・相続相談・後見対応で毎日ぎっちりなのに。

善意が招く自己消耗のループ

頼まれると嬉しい。頼られると役に立てる気がする。けれどその積み重ねが、自分をすり減らしていく。優しさと自己犠牲が混ざり合い、気づけば疲弊している自分がいる。気づいた時には、もう“普通に断る”という選択肢が頭から消えてしまっている。

「断ったら冷たい人間に見えるのでは?」

地元の人間関係って狭い。だからこそ、誰かの依頼を断ると悪い評判につながるんじゃないかと不安になる。でも、冷静に考えれば、きちんと理由を伝えて断ることは悪いことではない。むしろ、自分の仕事に真剣だからこその判断だ。

優しさとプロ意識の板挟み

“優しい司法書士”でいたい気持ちはある。でも、プロとしての責任感を優先しないと、依頼者にも迷惑がかかる。結果的に、どちらにも誠実でいられなくなる。だからこそ、自分がどちらを大事にすべきかを明確にしておく必要がある。

“ちょっと”の積み重ねで夜が来る

午前中の予定が、誰かの「ちょっと」によって押され、午後の業務が後ろにずれ込む。そして気づけば夜。家族との時間も、自分の休息も後回し。毎日それを繰り返していたら、いつか心が折れてしまうのは目に見えている。

集中力の分断と疲労の蓄積

書類作成の途中で中断されると、頭のスイッチを切り替えるのに時間がかかる。戻ってきても、前の流れを思い出すのに数分。その積み重ねが効率を落とし、疲労だけが残る。集中が必要な仕事なのに、それを邪魔するのが“ちょっと手伝い”という皮肉。

“ちょっと手伝う”に限界を設ける勇気

すべてを受け入れることが誠実さではない。どこかで線を引くこと、それが自分自身を守る第一歩だ。どれだけ相手が善意でも、自分のキャパを超えたら結果的に誰も幸せになれない。

どこまでが手伝いでどこからが業務か

相談なのか依頼なのか。手伝いなのか業務なのか。その境界線を曖昧にしたままでは、自分の首を絞めることになる。明確に線引きをして、それを相手に伝える。それが専門職としてのスタンスだ。

線引きは自分でしかできない

「ここまではOK」「ここからは有料です」と言えるかどうかは、自分にかかっている。相手は都合よく頼ってくる。でも、それに振り回されるかどうかは、自分の判断次第。自分の価値を守るためには、自分がまずその価値を認めないといけない。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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