「もうやめたい」と思った瞬間は、一度や二度じゃない
司法書士として独立して十数年、もう「やめたい」と思った回数なんて数えきれません。朝のニュースを見てるだけで、「今日は電話鳴らなきゃいいな」なんて思うことさえある。別に大事件が起きたわけじゃない。ただ、なんというか、ふと心が折れる瞬間ってあるんです。まるで細く長く引っ張っていた糸が、静かにプツンと切れるような。そんな日が、思った以上に頻繁に訪れるんですよ。
気づけば、毎月どこかで限界を感じている
月末の登記申請が集中する時期になると、必ずといっていいほど「もう無理だ」とつぶやいています。書類は山積み、依頼者からの問い合わせは止まらない。事務員ももちろん頑張ってくれてますが、一人だけじゃ回らない時もある。そんなとき、「あれ、なんでこんなに無理してやってんだっけ?」と疑問が湧く。これって“限界”なんでしょうね。
ふとした瞬間に襲う、「何やってんだろう」感
コンビニのレジ待ちでぼーっとしてたら、いきなり「自分、何やってんだろう」って感情がこみ上げてくる。専門職って社会的には評価されてるように見えるけど、現実は孤独で、自己完結ばかり。報われてる気がしないと、どんな仕事も無意味に思えてしまう瞬間があります。
辞めたくなる理由は、意外と些細なことの積み重ね
燃え尽きるような出来事があって辞めたくなるわけじゃない。むしろ、日々の「小さなストレス」がじわじわと効いてくるんです。たとえば、ちょっとしたミスで役所に嫌味を言われたり、依頼者に感謝されないどころか理不尽な文句を言われたり…。そういう積み重ねが「もうやめたい」に繋がっていく。
理不尽な相手、終わらない書類、答えのない業務
「これは私の担当じゃないでしょ?」って言いたくなるような案件でも、巻き込まれて対応しなきゃいけないことが多い。特に相続関連では、感情的になった親族同士の板挟みになることもしばしば。終わりが見えない調整に、気力も体力も削られていくんです。
孤独。相談できる相手がいない日常
正直、孤独です。誰かに相談しようにも、「わかるよ」って言ってくれる人が身近にいない。同期もそれぞれ忙しく、電話一本するのも気が引ける。仕事の話って、友人には重いし、家族にはわかってもらえないこともある。結局、自分の中で抱え込んでしまう。
事務員には言えない重圧
事務員には言えません。こちらが弱音を吐いたら不安にさせてしまうと思ってしまうし、経営者としてのプライドも邪魔をする。「いつも通り」でいることに、どれだけのエネルギーを使っていることか。
同業の飲み会では本音を出せない
たまに顔を出す同業者の集まりでも、「うまくいってる風」を装ってしまう。周りもみんなそうだから。愚痴を言う空気じゃないし、張り合いみたいな空気もあって、本音なんて出せる場じゃない。結局、また一人に戻るだけです。
なぜそれでも、辞めずに今日まで来たのか
それでも、なんだかんだで今日まで続けている。多分、「辞める」って決断の方が怖いんですよね。そして、辞める理由より「続ける理由」がほんのちょっとだけ上回ってきた。ほんの、ほんの少しだけ。
「辞める」の一歩が踏み出せなかっただけかもしれない
正直に言えば、勇気がなかったんだと思います。資格を取って、独立して、ここまで築いたものをゼロにするのが怖かった。食べていけるか不安だし、今さら他の仕事なんてできない。そんな保身が、結果として「続けている」に変わっているのかもしれません。
でも、ふとした言葉に救われたこともある
「あなたにお願いしてよかった」とか、「先生がいたから安心できた」なんて言葉をもらうことが、年に数回ある。その一言が、自分をまた前に進めてくれる。単純なもので、たった一人の言葉で数ヶ月頑張れたりするんです。
続けることが「美徳」だとは限らない
世の中、「継続は力なり」なんて言うけど、続けることが常に正しいとは限らないと思う。やめたいと思っているのに無理して続けるのは、自分を壊してしまう危険だってある。
頑張ることが正しいとは限らない
頑張ってる風に見えても、実は限界を超えていることもある。頑張っている姿が評価されるのは、外から見た話であって、本人の心身が壊れたら意味がない。無理を美徳としない生き方を、もっと大切にしたい。
「逃げてもいい」はずなのに、逃げられない理由
「逃げるが勝ち」って言葉もあるけど、それができるのは一部の人だけ。家族がいて、ローンがあって、生活があって…。簡単には逃げられない。でも、それでも「逃げたい」と思える自分を否定しないでほしい。
じゃあ、どうやってこの仕事と向き合えばいいのか
じゃあ、どうすればこの「やめたい」気持ちと付き合っていけるのか。僕なりの答えは、「発散する場を持つ」ことと、「完璧をやめる」ことでした。
気持ちを外に出す習慣を持つ
日記でもSNSでも、愚痴でもいい。とにかく内側に溜めすぎないこと。こうして文章にすることだって、一つの整理。心の中を掃除するみたいなものなんです。
誰か一人、弱音を出せる相手を作る
家族でも、友人でも、同業でも誰でもいい。「ちゃんと聞いてくれる人」が一人いるだけで、だいぶ違う。最近は、事務員の前でも少し弱音を出すようにしています。思ったより、「大丈夫ですよ」って返ってくるもんです。
専門職こそ、定期的に「愚痴る」べき
専門職って、弱音を吐くことが「格好悪い」って思われがちだけど、それが一番危ない。人間だもの、たまには愚痴っていいんです。むしろ愚痴れる場所を持ってない方が、よほど危険です。
やめたって、いい。でも、続ける理由もある
やめたって、誰も責めません。でも、あなたが今も続けている理由があるなら、それは大切にしていい。「もうやめたい」と思いながらも、今日も机に向かってるその事実が、何よりあなたの強さです。
誰かに感謝されたとき、それは確かに報われた気がした
感謝の言葉って、不思議な力がありますよね。たった一言で、全身の疲れが少しだけ和らぐ。報酬では得られない、心の報酬。あれがある限り、きっと僕は辞めきれないんだと思います。
「自分がやる意味」を問い直す時間を持つ
「この仕事、何のためにやってるんだろう?」と、定期的に立ち止まって考えることが大事だと思うんです。なんとなくの惰性ではなく、自分の中にある「意味」を見つけられたら、それはきっと続ける原動力になります。