それ、あなたのじゃないです――住民票の取り違えが招いた冷や汗事件

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それ、あなたのじゃないです――住民票の取り違えが招いた冷や汗事件

住民票の写し、まさかの「他人の情報」

何気ない午前中。いつものように役所に住民票の写しを請求に行ったときのことだった。受け取った封筒の中身を確認すると、「あれ?」と目が止まった。どう見ても、依頼人とは別の名前と生年月日が記載されている。まさかと思って目をこすっても、やはり他人の情報だった。こんな初歩的なミスを、よりによって今、この忙しい時期にやらかすとは。冷や汗が一気に背中をつたって流れた。

窓口での違和感――名前が見慣れない

封筒を開けた瞬間に違和感はあった。「あれ?この名前、依頼人じゃないな」と直感した。でも、何かの間違いじゃないかと自分に言い聞かせつつ、記載内容を確認すると、まるで見知らぬ人の個人情報がそこにある。しかも生年月日も全然違う。目を疑ったけど、これは間違いなく他人の住民票だった。私のような立場の人間が、個人情報の扱いでこんなミスをしてしまうとは、正直ゾッとした。

「あれ…これ違うぞ」の瞬間

受け取った直後は、封筒をそのまま鞄にしまいそうになった。だがその日たまたま、事務所に戻る前に念のため中身を確認しようと立ち止まった。それが不幸中の幸いだった。「違うぞこれ…」と声に出した瞬間、役所のロビーで周囲の視線を感じたが、そんなことを気にしている余裕もなかった。自分が取得した他人の住民票。これは一歩間違えば、大きなトラブルになりかねない。

なぜこんなミスが起きたのか

冷静になって原因を探ろうとしたが、なかなか明確な答えが出てこない。私自身は間違いなく必要な情報を提出したつもりだったし、申請書類にも間違いはなかった。それでもこのミスが起きたのは、どこかに確認漏れや思い込みがあったのだろう。だがそれが役所側なのか自分側なのか、はっきりさせるのもまた難しいところだ。

番号の聞き間違い?入力ミス?

住民票請求の際は、依頼人の氏名、生年月日、住所などを伝える必要がある。ここで一文字違っただけでも、まったく別人のデータが出てきてしまうのだ。特に高齢の依頼人が多いと、同姓同名だったり、漢字が似ていたりするケースもある。実際、今回のケースも漢字一文字が似ている別人だった。番号ではなく名前で検索された可能性が高い。だからこそ、人間の確認がいかに重要かを思い知らされる。

役所の対応にもやもやが残る

すぐに窓口に戻り、間違いを伝えると、職員の方も明らかに焦っていた。ミスを認め、「再発行いたします」と言ってくれたものの、どこか事務的な対応に感じた。「お手数をおかけしました」の一言が欲しかった…などと、疲れているせいか余計に神経質になってしまっていたのかもしれないが。

「訂正します」と言われても…心は落ち着かない

その場では訂正と謝罪で済んだが、心の中では「じゃあ、あの間違って出てきた住民票はどうなるのか?」という不安が残った。私のような士業が他人の個人情報を持ち帰っていたら、それだけで問題になる可能性がある。仮にクライアントが別の人の情報を見ていたら…考えれば考えるほど、怖くなるばかりだった。

こっちの責任なのか、そっちの責任なのか

こんなときに限って、誰も明確に「このミスは誰の責任です」とは言わない。役所の担当者は「入力を見直します」とだけ言い、私も「確認が甘かったかも」と自責の念を抱く。でも、誰が悪いかというより、再発させないためにどうするかが問題なのだろう。ただ、現場の最前線で冷や汗をかくのはいつも現場のこちら側だ。

クライアントに説明するプレッシャー

この住民票、急ぎの案件だった。依頼人も少し気が立っていた時期で、こうしたミスの説明は本当に神経を使う。何度も謝りながら、「すぐに正しい住民票を取得し直しますので」と平身低頭だった。もちろん私が直接ミスしたわけではないが、クライアントにとっては関係ない話。責任を感じずにはいられない。

誰も得しない「ただのヒューマンエラー」

結局のところ、これはただの人間的なミスでしかない。でも、その影響は意外と大きい。信頼関係、時間、精神的な疲弊…。どれも数値で測れないが、確実に消耗していく。誰も得をしない、地味だけど確実に疲れるミス。それが一番しんどいのだ。

冷や汗だけじゃ済まなかった後処理

間違った住民票の返却、正しいものの再取得、クライアントへの連絡と謝罪、さらにその日予定していた他の仕事がズレ込み…ひとつのミスが雪だるま式に影響を及ぼしてくる。まさに「なんで今日に限ってこんなことが」という日だった。

正しい住民票の再取得にも時間と手間

役所に戻っても、今度は別の窓口で対応することになり、さらに待たされる。急ぎの書類があるのに、時計ばかりが気になる。電話で別件の確認も入り、内心はもうパニック状態。でも顔には出せないのがこの仕事のつらいところだ。

クライアントの不信感は残る

最終的にはことなきを得たが、「大丈夫でしょうか?」と念押しされてしまった。「今度は確認を徹底しております」と言いながら、自分の声が妙に空々しく聞こえた。信頼を回復するには時間がかかる。たった一つの書類でも、それは同じなのだ。

それでも続ける理由

こういうミスがあると、「もう嫌だな」と思ってしまう。でも、誰かが感謝してくれる仕事でもある。だから、失敗を次に活かすしかない。失敗のない人間なんていない。それでも前を向くことが、今の私にできる唯一のことなのかもしれない。

感謝の言葉がある限り

「先生にお願いしてよかったです」と言ってもらえたとき、報われたような気持ちになる。もちろん完璧ではない。でも、真摯に向き合う姿勢は伝わっていると信じたい。だから、また明日も住民票を取りに行く。失敗を重ねないように、今度は何度も確認しながら。

失敗から得た学びを次につなげたい

今回のミスは、確かに恥ずかしいものだった。でも、これで「確認を怠らない」ことの大切さが骨の髄まで染み込んだ。誰にでも起こりうるからこそ、他の司法書士にもこの体験を共有しておきたい。小さな教訓が、大きな事故を防ぐこともある。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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