司法書士ってこんな仕事です

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司法書士ってこんな仕事です

朝の始まりは意外と地味な作業から

司法書士って聞くと、バリバリ働いてるイメージを持たれることもありますが、実際の朝は想像よりずっと地味です。パソコンを立ち上げ、メールをチェックして、昨日の申請が無事通っているか確認する。そんな一日が静かに始まります。特に月初や月末は申請が集中するので、朝イチの確認でトラブルがあると、もうその日は一日中気分が沈んでしまうことも。派手な仕事ではありません、でも、確実に一つひとつこなす必要がある。そんな地味だけど大事なスタートなんです。

まずはメールチェックと申請書の確認

メールには法務局からの通知や、取引先の依頼、時にはクレームまで混ざって届きます。申請書に不備がないか、ファイルの添付が正しいか、朝から目をこらして確認作業。昔、添付したはずの住民票のファイルがなぜか白紙で、法務局から電話がかかってきたことがあります。あの時の冷や汗といったら…。焦ってすぐ修正して再送しましたが、「しっかり確認してから送ってくださいね」とのお叱り。朝のこの作業が一番緊張するかもしれません。

不動産登記の依頼は一気に来る

不動産登記は案件ごとに必要書類も手順も違うので、複数の依頼が一気に来ると本当にしんどいです。とくに同じ日に決済が重なると、準備する書類の量が尋常じゃない。ある日、午前と午後で2件の決済が入り、午前の案件で印鑑証明が一枚足りなかったときは、時間の猶予もなくて血の気が引きました。依頼主は当然不安そうだし、金融機関の担当者にも睨まれるし、謝り倒してなんとか事なきを得ましたが、精神削られます。

「あの書類まだ?」と急かされるのが日常

こっちは確認しながら確実に進めているつもりでも、周りは結果だけを急いで求めてくるんです。「書類、まだですか?」って電話やメールが次々に来るのが普通。こっちは一人で何十件も抱えてるのに、事務所に人が多いように見えるのか「対応が遅い」とか平気で言われることも。電話が鳴るたびに胃がキリキリすることもあります。でも、対応を間違えたらこちらの責任。結局、何も言えずに「すみません、急ぎます」と答えるしかないんです。

登記だけじゃない、細かすぎる業務の数々

世間のイメージでは司法書士=登記の人、かもしれません。でも実際の仕事はそんな単純じゃない。遺言書の作成補助、相続人の調査、裁判所提出書類の作成……。しかも一つひとつが法律とルールにがんじがらめ。何か一つ間違えたら、信頼も仕事も吹っ飛びます。だからこそ慎重に慎重を重ねて動くんですが、外から見ると「何やってるのかわからない」って思われがちなんですよね。

会社設立も遺言も、なんでも来いの姿勢

ありがたいことに、いろんな相談が来ます。「会社を作りたい」「親が亡くなったんだけど、どう手続きすればいい?」といった内容から、「離婚したいんだけど…」なんて話まで。対応できるかどうかは内容次第だけど、とりあえず話を聞いてしまう性格なんですよね。結果、なんでも屋状態。でも断るタイミングって難しいんです。相談者は頼ってくれてるわけで、無下にしたら人間関係も壊れますし。

でも正直、専門外のことも多い

相続って聞くと司法書士っぽいけど、実際の手続きには税金や保険、不動産の評価など、専門外の話が混ざってくることが多いです。そういうときは「詳しい税理士さんを紹介しましょうか」と言うしかない。でも、「せっかく来たのに何もできないの?」みたいな顔されると、こっちも辛い。相談者の気持ちも分かるんですけどね…全部一人で対応するのは現実的じゃないんです。

「なんでも屋」じゃないんだけどな……

「司法書士さんって何でも知ってるんですね!」って言われることもあります。お世辞だと分かってても、内心は「そんなことないのにな…」とモヤモヤ。自分でも「もうちょっと業務を絞った方がいいのかな」と思うこともあります。でも地方では、依頼を断っていたら次が来ない。気づけば、行政書士的なことも税理士的なことも、ちょっとずつかじってる状態になってます。

事務員一人との戦いと支え

今の事務員さんは本当に助かってます。仕事も早いし、ミスも少ない。だけど一人って、やっぱり怖いんです。風邪を引いたとか、家庭の事情で急に休むことになったら、全部こっちにのしかかる。もちろん文句は言えません。でもそのたびに「これが続いたらどうしよう」と不安がよぎります。採用も簡単じゃないですからね、地方だと。

戦力でもあり、癒しでもある存在

一緒に働いてる時間が長いからこそ、事務員との関係は大事。時には昼休みにちょっとした世間話で笑ったり、事務所の中にほっとする時間が生まれる瞬間もあります。忙しい日が続いたある日、事務員さんがコンビニのコーヒーを買ってきてくれて、「今日はちょっと手伝いますよ」って言ってくれたことがあって、泣きそうになりました。誰かがそばにいてくれるのは、本当にありがたいです。

ただし、辞められたら詰む

でもこれが逆にプレッシャーにもなる。今の事務員さんが辞めたらどうしよう、っていう不安が常にあるんです。求人を出しても応募は来ないし、仮に来ても「司法書士事務所って何するんですか?」みたいな人も多い。教育に時間もかかるし、慣れる前に辞められたらと思うと……考えるだけで胃が痛い。だからこそ、今の事務員さんにはずっといてほしいけど、そんなの保証されてない。人を雇うって、簡単なことじゃないです。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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