婚活アプリと登記簿謄本どっちが難しいかを乗り越える方法

婚活アプリと登記簿謄本どっちが難しいかを乗り越える方法

婚活アプリと登記簿謄本は似ているようで全然違う

どちらも「分かりにくさ」が共通している。だが、その性質はまるで違う。婚活アプリは人の心を探る戦い、登記簿謄本は制度と形式に従う頭脳戦。どちらもやってみれば難しく、放置すれば先に進まない。私は司法書士として、毎日のように謄本を扱うが、婚活アプリに関してはまるで初心者。画面を開いて3秒で閉じた日もある。どちらが難しいかというより、「どちらにも向き合う元気が残っているか」が本当の勝負なのかもしれない。

操作に慣れないという共通の壁

婚活アプリも登記簿謄本のオンライン請求も、最初の壁は「操作がわからない」だ。どこを押せば先に進むのか、どこでミスをしたのか、なかなか気づけない。私の母がスマホを触って固まっている姿と、登記情報提供サービスで該当物件が出てこずに首をひねる自分。やってることは違っても、混乱と疲労の構図は同じ。わからないものは、年齢や知識に関係なく人を黙らせる。

婚活アプリのプロフィール作成と登記原因の書き方

プロフィール文を書くときの緊張感は、登記原因を記入するときに通じるものがある。どちらも「間違えたら相手に伝わらない」というプレッシャーがつきまとう。「まじめに仕事してます」「持分全部移転」――どちらも形式と内容を両立させねばならない。しかも、一文字で意味が変わるのがまた厄介。私はプロフィールで「聞き役です」と書いたつもりが、「無口でつまらなそう」と捉えられたようで、反応はゼロだった。

どちらも「ウケる言葉選び」が試される

登記はお堅く、婚活は柔らかく。だけど、どちらも「言葉の選び方」で結果が決まる。登記原因に「贈与」か「売買」かを間違えれば補正、婚活の自己紹介で「年収」や「趣味」の書き方を誤ればスルーされる。私は「週末は事務所でゆっくりしています」と書いて、見事に全カット。真実でも、言い方次第で不利になる。伝えたい内容と、相手が期待する形とのギャップがどちらの世界にもある。

自信のなさが原因で手が止まるのは両方同じ

申請ボタンを押せない日がある。マッチングアプリで「いいね」を送れずにアプリを閉じるのと、登記オンライン申請で「送信」をクリックできずにブラウザを落とすのは、根っこが同じ。自信のなさ。失敗したらどうしよう、相手にどう思われるだろう。そんな不安が指を止める。司法書士としての仕事では冷静でいられるのに、恋愛になると急に豆腐メンタルになる。年齢も経験も関係ない。

間違えたくない気持ちがブレーキをかける

婚活アプリでの一言目、登記原因の記載、一発勝負である点は共通している。どちらも「やり直しが面倒くさい」という思考が根にある。マッチングで最初のメッセージを誤ると相手はもう戻ってこない。登記での原因ミスは補正通知が来るまで待ち、また修正。結果、最初の一歩を異様に慎重になる。私はかつて、「こんにちは」の一文を30分悩んで送らず終わったことがある。

アプリでの一言メッセージと登記申請書の記述

司法書士として、登記原因証明情報を書くのは日常だ。なのに婚活アプリで「よろしくお願いします」の後に何を書くかで頭を抱える。どちらも定型があり、でも定型すぎると印象に残らない。「差別化」と「正確さ」のバランスが求められる。登記は内容の正確さで信頼を得るが、婚活では個性を出すことで相手の関心を引く。方向性が逆だが、どちらも文章力が問われる世界。

失敗が怖いからこそ一歩踏み出せない

傷つくのが怖い。補正で怒られるのも、無視されるのも、面倒が増えるのも嫌だ。だから「やらない」を選びがちになる。だが、それでは進展はゼロ。登記なら仕事が滞り、婚活ならずっと独り。私はある日、やっとの思いで「よろしくお願いします!司法書士やってます」と送ったが既読スルーだった。けれど、それでも何もせずよりはよかったと思いたい。

書類の不備より返信がない方が傷つく

補正通知が届くと落ち込む。だが、婚活アプリで返事が来ないときの方が、正直ダメージは大きい。法務局の補正には理由がある。論理がある。直せば済む。しかし、アプリの無視は理由がわからない。改善の余地も、正解も見えない。何が悪かったのか、そもそも見てもらえたのか。それがわからないまま沈んでいく。理屈じゃない感情が動くのは、恋愛の方だ。

法務局の補正よりも既読スルーの方が堪える

補正通知はむしろ親切だ。ミスを教えてくれる。ありがたいと思う。だが婚活アプリで既読スルーされたとき、こちらの存在が「無かったこと」にされる気がして堪える。「こっちは本気で書いたんだけどな」と思っても、相手の通知欄のどこかに埋もれて消えていく。登記なら100%見てもらえるのに。そう思うと、書類仕事の方がまだ心が安定する。

どちらも「無言の圧」に心を削られる

無反応というのは意外としんどい。法務局からの返答が遅いと「どこかおかしかったかな」と不安になる。同じように、アプリで何もリアクションがないと「俺って存在してないのか?」とすら思えてくる。見てはいる、でも何も言ってこない。何かを求めて出したのに、返ってこない。司法書士の世界でも、恋愛の世界でも、返事がないことの方が人の心を追い詰める。

「慣れ」で乗り越えるのが本当のコツ

最初は何でも怖い。でも、繰り返せば慣れる。登記も、最初は震えるほど怖かった。今では補正すら「まぁあるよね」で流せるようになった。婚活アプリも同じかもしれない。初めての登録、初めてのメッセージ、いちいち心臓バクバクだったが、数をこなせば少しは平常心が戻ってくる。司法書士試験のとき、過去問を何周もしたように、数こそが不安を打ち消す。

最初から完璧を求めないこと

最初の一通目が完璧じゃなくても、やりとりは続くかもしれない。最初の申請書が微妙でも、補正で直せば済むかもしれない。何事も「完璧主義」が動きを止める。私は今でも、婚活アプリのプロフィール写真をどう撮るかで迷ってやめることがある。でも、別に奇跡の一枚じゃなくても、正直な一枚で十分なのかもしれない。完璧は、求めすぎると前に進めない。

婚活も登記も「数」が自信を生む

経験は裏切らない。登記件数が増えれば判断も早くなる。婚活も、何人かとやりとりすれば文面の癖が読めてくる。私は以前、「やっぱり地元が好きです」と書く人はだいたい「転勤族NG」だと学んだ。そんな発見も、数がなければ気づけなかった。やって失敗して、繰り返して、ようやく「これは通る」「これは避ける」が分かってくる。

過去の失敗があっても記録は積み重なる

補正が入ったとしても、登記は完了すれば記録に残る。婚活も、うまくいかなかったメッセージがあっても、そのやりとりは記憶に残る。恥ずかしい過去があっても、それがなければ今の自分はいない。私は「趣味:仕事です」と書いて0反応だった黒歴史があるが、その失敗があったから今は「週末は図書館でのんびり」と書けている。失敗は学び。無駄にはならない。

自分に優しくするための処方箋

できない自分を責めすぎると、ますます動けなくなる。婚活も登記も、真面目な人ほど自己嫌悪に陥りやすい。「なぜ送れなかったんだ」「なぜ間違えたんだ」と頭の中で反省会が始まる。でも、そんなときこそ一歩引いて、「まあ今日はそういう日だった」と受け入れることも大事だ。自分に厳しくしすぎると、長期戦には耐えられない。

一人反省会のループをやめる

私は仕事でも、婚活でも、しょっちゅう自分会議を開いては反省していた。「あの時ああしておけば…」「あの言い回しはよくなかった…」。でもある日気づいた。反省ばかりしていても、結局「やらない」が続いてしまうのだ。やってダメだったら、またやればいい。書類のミスもメッセージのミスも、次がある。堂々巡りをやめたとき、少しだけ心が軽くなった。

婚活アプリで落ち込んだ日は登記簿を取ってみる

誰にも相手にされなかった夜、私はふと登記情報提供サービスにアクセスした。とくに目的もなく、謄本を取り寄せて「今日の俺はこの一件を片付けた」と小さく満足した。恋愛はコントロールできない。でも登記は、まだ成果が見える。そうやって自分を救う術を一つでも持っておくことは、孤独な日々を乗り越えるための小さな武器になる。

どっちも難しいけど、どっちも一歩ずつ

婚活アプリも登記簿謄本も、正直どっちも難しい。だけど、完全に不可能じゃない。少しずつ、少しずつやれば、進める。私たち司法書士は、毎日誰かの「はじまり」や「終わり」に関わっている。その私たち自身の人生にも、始まりや転機があっていい。苦手でも、不器用でも、ちょっとずつ慣れていけば、きっと何かが変わる日がくると信じたい。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。