印鑑が1ミリ違っただけで提出NG?小さな見落としが招いた大きな二度手間

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印鑑が1ミリ違っただけで提出NG?小さな見落としが招いた大きな二度手間

たかが印鑑、されど印鑑──見落としが招く悲劇のはじまり

司法書士の仕事って、見た目には地味です。でも、その「地味さ」の中にとんでもない落とし穴が潜んでいます。先日も、たった1ミリ、いや実際には0.5ミリかもしれないズレで、法務局から登記書類が突き返されました。印鑑のサイズが違う、と。こんなことで?と思うかもしれませんが、こんなことで再提出になるのがこの仕事の厳しさです。今回はそんな実体験を通じて、なぜそうなったのか、そしてどうすれば防げたのかを正直に綴っていきます。

「何かおかしい」と言われて初めて気づく

登記官の一言がズシリとくる瞬間

提出して数日後、法務局からの電話。「先生、ちょっとお伺いしたいんですが…」という出だしは、たいてい何かやらかした時です。「この印鑑、事前にいただいてる印影と違いますね」そう言われて一瞬固まりました。まさか、と思いましたが、確かによく見ると少し小さい。「見比べれば、違いは分かるんですよ」と言われ、電話越しに深いため息。やってしまった、と思いました。

訂正印じゃ済まない「サイズの問題」

訂正印で済むような話ではなく、印鑑そのものが別物とみなされたわけです。つまり、もう一度最初から書類をやり直し、委任状から契印から全部押し直し。印鑑登録証明書まで再取得です。しかもそれを依頼人に説明しなければならないという、二重三重の苦しみ。正直、泣きたくなりました。

印鑑のサイズ基準って誰が決めた?

市町村・法務局それぞれの独自ルール

印鑑にはサイズの明確な統一基準があるわけではなく、法務局ごとに「慣例」や「現場判断」が存在するのが現実です。実印であれば何でもいい、というわけではないんですね。私のように複数の市町村の案件を抱える司法書士にとって、この「ローカルルール」はやっかい極まりない。登録された時期によってもサイズが違ったりするので、昔の印鑑の印影と見比べて違和感が出ることもあります。

古い実印・新しい印鑑…使い分けの難しさ

お客様の中には印鑑を複数持っている方も多く、「実印はこれです」と言われて出されたものが、昔登録したものと違う場合があります。本人は気づいていなくても、法務局はしっかり見てくる。この「微妙な違い」が命取りになる。普段からしっかり印鑑証明書と実物を照合しておかないと、本当に痛い目を見ます。

なぜ、たった1ミリで書類が戻されるのか

正直言って、「もうちょっと融通きかせてくれたら」と思わなくもない。でも、それができないのが登記の世界。制度が厳密だからこそ信頼される。だからこそ、細かすぎると思える部分も、真剣にやらなければならないのです。

制度は完璧でも、運用は人次第

「そこまで見るの?」という細かさとの戦い

どの登記官も全件細かくチェックしてるわけではないでしょう。でも、そういう「細かい人」に当たってしまった時には、その人の「目」がすべてです。現場の判断に委ねられる以上、「運」に近い要素もあるんですよ。なんともやるせない。

新人の頃は泣きそうになった思い出

そういえば司法書士になりたての頃、似たようなことで三度提出し直したことがあります。印鑑のかすれ、押す位置、インクの濃さ…。どれも致命傷には見えない。でも、登記官にしてみれば「整合性が取れない」ことは見逃せない。あの頃の胃の痛さは、今でも覚えています。

再提出の二重苦:時間と信頼のロス

再提出は、ただ自分がバタバタするだけでは終わりません。事務員も巻き込み、お客様にも迷惑をかけ、書類のスケジュールが総崩れになります。「仕事が遅い」と言われたら、それまでなんです。

事務員さんにもう一度お願いする申し訳なさ

「これ昨日やったのに…」のセリフが刺さる

再度書類を作り直してもらうとき、事務員さんの「あ、これ昨日やったやつですよね」という言葉が刺さるんです。間違ったのは私なのに、手間が増えるのは事務員さん。ありがたいけど、申し訳なさすぎて目を合わせづらい。「もう少し確認しておけばよかった」と思うけれど、後の祭り。

お客様への報告が一番気が重い

「先生に頼んだ意味ないじゃん」と言われた夜

一番つらいのはやっぱり依頼人への説明です。「やり直しになりました」と言うと、「それなら自分でやったのと変わらないじゃん」と言われたこともあります。心の中で何度も謝りました。信頼を取り戻すのには時間がかかりますが、失うのは一瞬です。

どうすれば防げたのか:現場での工夫

こんな悲劇を繰り返さないために、何ができるのか?経験から学んだ予防策はあります。

サイズ確認チェックリストの導入

慣れで見逃さないための自衛策

最近では印鑑を押した後、印影と印鑑証明書のサイズを定規で測って確認するようにしました。「まさか」の見逃しを防ぐには、チェックリスト化が一番効果的です。慣れてくると、つい確認を怠るんですよね。それが命取りになるのだから、面倒でも毎回確認するようにしています。

もう一度、印鑑とは何かを問い直す

「押すだけの作業」に込められた責任の重さ

印鑑ってただの形式じゃないんですよね。その印影が「本人の意思」であることを証明するもの。だから、見た目の違いでも、法的な意味は大きい。そう思えば、登記官が厳しくチェックするのも納得できます。手間がかかっても、その重みをちゃんと理解して向き合わないといけない。自分への戒めとして、心に刻んでいます。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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