役所の昼休み、まさかの“無敵時間”
「昼休み中ですので、13時以降にまたお越しください」。これはもはや呪文のような言葉だ。こちらがどんなに急ぎでも、役所の昼休みには一切の例外が通らない。毎日必死に回している登記案件、数分単位のスケジューリングでなんとか動いているこちらの都合など、まったく関係ない。まるでゲームの“無敵モード”のように、役所の窓口は固く閉ざされる。
11時59分に提出?はい、アウトです
以前、11時59分に窓口に到着したことがある。提出書類を急いで出したのに、職員の方は時計を見て「すみません、12時を過ぎますので」と書類を受け取らず。1分遅れで次の予定は崩壊。こっちは午後にもう一件、立会いがあるってのに…昼休みってそんなに絶対なのか?とその時は軽く絶望した。1分でこの落差、まさに役所あるあるの地雷だ。
「昼休み中ですので」しか言われない無慈悲な壁
「ちょっと受け取ってもらえるだけでいいんですけど」と食い下がってみても、返ってくるのは「昼休み中ですので」の一点張り。融通ゼロ。職員がそこにいても、システムとして完全にストップしている。「機械かよ…」と思わず心の中でつぶやいた。せめてもの人間味を感じたいこちらとしては、思いやりゼロの対応に気持ちがすり減る。
登記申請の現場で直面する昼休みの落とし穴
司法書士という職業は、実は“数分単位の綱渡り”で成り立っている。特に午前中の立会いを終えてから、昼前に滑り込むように書類提出という場面は多い。しかし、そこに立ちはだかるのが「昼休みの壁」だ。スムーズに進んでいたはずの手続きが、一瞬のタイミングのズレで足止めを食らう。
段取り完璧だったはずが…一瞬のズレで全部やり直し
ある日、午前の相続登記の立会いを終え、完璧に準備した申請書類を手に市役所へ。提出は余裕を持って12時前のはずだった。でも、先方の説明が少しだけ長引き、役所に着いたのは12時1分。「午後にもう一度お願いします」とあっさり。午後は別の市役所に行く予定が入っていたから、もう全部ずれる羽目に。たった1分が全部を狂わせる。
書類を持ったまま窓口の前で立ち尽くす
昼休み中、窓口は開いていないが、職員は席にいたりする。そんな中で、提出できない書類を抱えながら、ただ立ち尽くすことになることも。視線は感じる。でも誰も対応はしてくれない。この“気まずい沈黙”もまた、精神的にじわじわと削ってくる。「なんでここまでキッカリなの?」と、毎回思ってしまう。
そもそも、なぜここまで厳格なのか?
役所にも役所の事情があるのは分かっている。昼休みをしっかり取るのも、職員の健康管理や働き方改革の一環だろう。でも、それがここまで機械的になると、どうしても現場で仕事をしている側からすれば納得がいかない。せめてもう少しだけ柔軟な対応があっても良いのでは、と思わずにはいられない。
労働環境としての“昼休み”を尊重する文化
確かに、民間企業で昼休みが形骸化している職場もある中、公務員の昼休みはしっかり守られている。それ自体は、ある意味では理想的な働き方だ。ただし、その理想のしわ寄せを誰が受けているかといえば、我々のような対外業務のある士業者だという現実には、もっと目を向けてほしい。
けれど市民サービスとのバランスはどうなのか
市民に対するサービスをうたう自治体も多いが、「昼休み対応不可」が前提では、困る人も多いはずだ。特に平日しか動けない人、時間に余裕のない個人事業主、我々司法書士のような職業など。理想の働き方と、実際の利便性。このギャップに目を向けない限り、利用者は「またか…」とストレスを抱えるだけだ。
この制度に苦しめられるのは我々司法書士だけ?
私たちだけが被害者というつもりはないが、日々の登記申請の流れの中でこの“昼休み問題”は深刻だ。他士業でも似たような状況はあると思う。とはいえ、窓口に向かう頻度や手続きの緊急度を考えれば、司法書士の負担は大きいのではと感じてしまう。
一般の方ならまだしも…「プロなら待て」的な理不尽
時折感じるのが、「あなたプロでしょ、時間読んで行動してね」的な空気感。もちろん理屈としては正しい。でも現実は、午前の現場が押すことなんてザラ。プロでもどうにもならないことはある。そういう“融通”が一切効かないのが、制度としての役所の恐ろしさでもある。
行政書士や土地家屋調査士も同じように困ってる?
知り合いの行政書士も「12時に提出行ったら受付してもらえなくて全部ずれた」とぼやいていた。土地家屋調査士の方も、調査後の報告を出すタイミングで同じような経験をしたとか。士業という職業の特性上、スケジュールが詰まりやすく、そこに“昼休みストップ”が加わると、苦労は倍増だ。
現実的な対策…とは言っても限界がある
対策を考えることは必要だ。だが、それも限界があるのが正直なところ。「余裕を持って動け」と言われても、依頼人の予定、法務局の時間、現場の進行次第でどうにもならない日もある。対策はするけど、万能ではない。それが現実。
時間に余裕を持て? いや、それが難しいんです
「11時に行けばいいじゃない」と簡単に言われることもある。でも、午前の立会いや、相続人への確認、本人確認などが予定より長引けば、11時なんてあっという間に過ぎる。登記関係の仕事は相手ありき。思い通りに進まないのが常なのだ。
「11時には行け」は理想論。午前中も現場で詰まってる
現場の仕事が押して、「あと30分あれば…」というケースは本当に多い。11時に市役所に行くには、10時に立会いを終わらせる必要がある。でも、遺産分割協議が揉めたら?印鑑が押せなかったら?11時どころか、12時さえ危うくなる。
愚痴だけじゃ終わらない。じゃあどうする?
文句だけ言ってても始まらない。結局、工夫と調整の中で、少しでも影響を減らしていくしかない。昼休みにハマらないよう、各役所の傾向や混雑具合を把握することが、意外と大きな差につながる。
お昼休みをまたがない「申請の黄金タイム」を見つける
経験的に、9:30〜10:30の時間帯は比較的スムーズに窓口対応してもらえる自治体が多い。この“黄金タイム”を見つけ、そこに申請を集中させると、ストレスが減る。申請ルートをうまく構成できれば、昼休みに当たるリスクも少なくできる。
市区町村によって微妙に違う“昼休み事情”をリサーチせよ
一律で「12時から13時」が昼休みではない。11:30からだったり、12:30からだったり、自治体によって地味に異なる。だからこそ、事前にその自治体の休憩時間を調べておくことが重要。積み重ねで、昼休みの壁に阻まれる機会は確実に減らせる。
若手・司法書士志望者へ伝えたいこと
もしこれを読んでいるのが司法書士を目指す方なら、一つだけ伝えたい。「想像以上に段取り勝負の世界だよ」と。理不尽も多い。でも、だからこそ達成感もある。最初はうまくいかなくて当然。でも経験を積むことで、少しずつ流れを掴めるようになる。
理不尽は“ある”前提で動こう
理屈が通らないことも多い世界。それを前提に、自分の行動を組み立てておくことが一番の防御策だ。「ちゃんと理由を説明すれば分かってもらえるはず」…ではなく、「分かってもらえなくても困らない動き」を意識するだけで、気持ちはだいぶ楽になる。
それでも現場に慣れると、少しずつ“隙間”が見えてくる
最初は、毎日がぶつかり稽古。でも、何年かやってくると、「この役所は12時直前でもいける」とか「この職員さんは多少余裕ある」など、細かい“隙間”が見えてくるようになる。これが現場の勘。慣れるまでは苦しいが、慣れてしまえばちょっとだけ楽になる。