お金の話になると黙ってしまうあなたへ

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お金の話になると黙ってしまうあなたへ

お金の話になると黙ってしまうあなたへ

  1. なぜ司法書士は「お金の話」が苦手なのか
    1. 人に感謝されたい気持ちが強すぎる
    2. 「士業は奉仕」の呪いに縛られている
    3. 断ることが苦手=値引き交渉に弱い
  2. 実際にあった“お金の話”で黙ってしまった瞬間
    1. 報酬額を説明した瞬間の相手の顔が怖くて
    2. 「他ではもっと安かった」と言われた時の無力感
  3. “ちゃんと請求できない”が招く悪循環
    1. 時間が取られる割に全然利益が出ない
    2. 事務員の給料も自分の生活もギリギリに
      1. 気づかぬうちに“安売り専門家”になってしまう
  4. じゃあ、どうやって変わればいいのか?
    1. まずは「自分の価値を自分で決める」意識を持つ
    2. 相場を知ることから逃げない
      1. 他の司法書士の料金表を見るクセをつける
  5. お金の話をスムーズに伝える小さな工夫
    1. 最初に「この場は無料相談です」と明言する
    2. 説明は“ストーリー”で語るようにする
      1. 「この手続きをやるには、これだけ準備が必要なんです」
  6. 値引き交渉が来た時の断り方のテンプレート
    1. 「ご要望は理解できますが、専門性のある対応にはこれが必要です」
    2. 「過去に安く受けて、苦い思いをしたことがあります」
  7. “お金の話”を逃げずにできた日の気持ち
    1. 最初は怖かったけど、相手は案外冷静だった
    2. 自分の仕事に自信を持てた瞬間だった
  8. 今も正直、うまく話せない時がある
    1. それでも逃げずに言葉を用意しておく
    2. 「悩んでるのは自分だけじゃない」と思うことで救われる

なぜ司法書士は「お金の話」が苦手なのか

士業という仕事を選んだ時点で、どこか「お金より人の役に立ちたい」という気持ちが強い人が多いと思います。少なくとも、私自身はそうでした。だからこそ報酬の話になると、つい言葉を濁したり、自信を持って金額を提示できなかったりします。でも、それって本当に依頼者のためになっているのでしょうか?

人に感謝されたい気持ちが強すぎる

私が司法書士になった頃、何より嬉しかったのは「ありがとう」と言われることでした。だから、金額を提示する場面になると、「これで感謝されるだろうか」と自問してしまう。でも現実には、「安くやってくれる人」として扱われることもあり、自分の首を絞めている感覚が強くなっていきました。

「士業は奉仕」の呪いに縛られている

「士業たる者、お金のことばかり言うべきではない」――そんな価値観が業界全体にしみついているように感じます。報酬の話をするだけで“がめつい”と思われる気がして、結局黙ってしまう。でも、家賃も払わなきゃいけないし、家族もいる。そんな矛盾と毎日向き合っています。

断ることが苦手=値引き交渉に弱い

「もう少し安くできませんか?」と聞かれると、咄嗟に「はい」と言ってしまう。断ると嫌われる気がして、必要以上にサービスしてしまうのです。結果として、心もお金もすり減っていく。断るのは自己防衛であるという意識が、ようやく最近になって持てるようになりました。

実際にあった“お金の話”で黙ってしまった瞬間

何度も経験しましたが、一番印象に残っているのは、ある不動産の登記案件でした。報酬額を説明しようとした途端、相手の顔色が変わった。その瞬間、私は言葉を飲み込んでしまいました。「高い」と言われるのが怖くて、必要以上に値引きしたんです。

報酬額を説明した瞬間の相手の顔が怖くて

「こんな高いの?」と露骨に顔をしかめられたことがあります。まるで自分の人格を否定されたような気分になり、急に自信がなくなりました。説明しようにも声が震えて出てこない。今思えば、ただ金額の根拠を冷静に話せば良かっただけなのに、感情が先に勝ってしまったのです。

「他ではもっと安かった」と言われた時の無力感

比較されるのは当然とわかっていても、「〇〇事務所では〇万円だった」と言われると、こちらの立場がぐらつきます。その時は「じゃあそちらで…」とまで言いかけて、結局半額で受けました。そのあと後悔しか残らず、自己嫌悪に陥りました。

“ちゃんと請求できない”が招く悪循環

きちんと報酬を請求できないと、どれだけ案件をこなしても生活が安定しません。しかも、そういう状態が長く続くと、クライアントとの信頼関係にも影を落とします。「この人は安くやってくれる人」としてしか見られなくなり、仕事の質より値段で判断されるようになります。

時間が取られる割に全然利益が出ない

細かい登記案件をいくつも引き受けた結果、一日中働いても「今日って何のために働いたんだろう」と思う日が増えました。本来なら余裕を持って対応すべき案件も、数をこなすことに追われてミスも増える。悪循環とはこのことです。

事務員の給料も自分の生活もギリギリに

事務員を雇っている身としては、自分の給料よりも彼女の給与を優先せざるを得ません。報酬が少なければ、当然そのしわ寄せが来るのは自分。コンビニの500円弁当すらためらうような日もあって、「これは何かがおかしい」と思い始めました。

気づかぬうちに“安売り専門家”になってしまう

気がついたら、紹介や口コミで「安くやってくれる司法書士」として知られていました。それが嬉しいどころか、どんどん自分の価値が下がっていくようで辛かった。それでも断れない、請求できないというループから抜け出すのに、数年かかりました。

じゃあ、どうやって変わればいいのか?

「苦手だから仕方ない」で済ませていたら、何も変わりません。少しずつでもいい、自分の考え方と向き合って、「お金の話」に向き合う準備をするしかありません。まずは、意識の持ち方を変えることからです。

まずは「自分の価値を自分で決める」意識を持つ

安くやってもらったことに感謝する人は少ない。でも、しっかりとした説明と信頼があれば、正当な報酬に納得してもらえます。自分で自分の価値を安売りしていては、誰も本当の意味で評価してくれません。

相場を知ることから逃げない

「これくらいが妥当だろう」と思っていた金額が、実は業界水準よりもずっと安かったということもあります。まずは、他の事務所の料金表をしっかり見て、自分がどこに立っているのかを知るべきです。

他の司法書士の料金表を見るクセをつける

ネットや紹介などで他の司法書士の料金表を見ると、「この内容でこの金額でいいのか」と驚くことがあります。最初は落ち込みましたが、それが現実。自分がどれだけ下の方にいるかを知ることが、変化の第一歩でした。

お金の話をスムーズに伝える小さな工夫

「お金の話=いやらしい」と思う気持ちはなかなか抜けません。でも、伝え方次第で相手の受け止め方も変わってきます。ちょっとした工夫で、話す自分も、聞く相手も少しラクになるのです。

最初に「この場は無料相談です」と明言する

相談が長くなると、「これ、料金発生しますか?」と不安になる方もいます。先に「今日は無料です」と伝えることで、安心して話してもらえます。その後の報酬説明もスムーズに進めやすくなります。

説明は“ストーリー”で語るようにする

「登記は3万円です」ではなく、「この書類を集めて、役所とやり取りして、最終的に登記完了まで見届けます」と流れで話すことで、相手も納得しやすくなります。作業量が伝わることで、報酬の妥当性も伝わるのです。

「この手続きをやるには、これだけ準備が必要なんです」

「時間と労力がかかるんです」と言っても響きませんが、具体的な段取りを話すと「なるほど」と受け止めてもらいやすくなります。「申請書は複数に分けて出す必要があり…」といった細かな話が信頼に変わることもあります。

値引き交渉が来た時の断り方のテンプレート

嫌な顔をされたくなくて「考えます」と曖昧にしてしまう。でもそれでは相手に期待を持たせてしまいます。角を立てず、でもはっきりと断る言い回しを準備しておくと、精神的にも楽です。

「ご要望は理解できますが、専門性のある対応にはこれが必要です」

相手の意見をまず受け止める形でスタートすると、断っても対立になりにくいです。感情ではなく「業務内容に見合った料金」であることを伝えることで、冷静な話し合いに持っていけます。

「過去に安く受けて、苦い思いをしたことがあります」

実体験を交えて伝えると、相手も納得しやすいです。「安く引き受けて、結局自分が損をしたことがありまして…」と素直に話せば、人間味のある断り方になります。私はこれで何度か救われました。

“お金の話”を逃げずにできた日の気持ち

「今日はちゃんと報酬の話ができた」と思えた日は、それだけで一日気持ちが軽くなります。相手が納得してくれて、こちらも堂々とできた瞬間、「ああ、自分は少し成長したのかもしれない」と思えるのです。

最初は怖かったけど、相手は案外冷静だった

意を決して金額を伝えたら、「そんなもんですよね」とサラッと返されたことがあります。拍子抜けすると同時に、自分がいかに怖がり過ぎていたかを痛感しました。勇気を出すと、意外と壁は低いもんです。

自分の仕事に自信を持てた瞬間だった

堂々と報酬を伝えたとき、相手が敬意を持って接してくれました。それがすごく嬉しかったんです。「あ、自分の仕事って、ちゃんと評価されてるんだ」と思えた瞬間でした。

今も正直、うまく話せない時がある

ここまで書いておいてなんですが、今でもうまく伝えられないことはあります。でも、それでも「伝えよう」と思って準備しておくことが、未来の自分を助けるんです。逃げない、だけど無理もしない。それでいいのだと思っています。

それでも逃げずに言葉を用意しておく

「今日は伝えられなかったな」と落ち込んでも、次の機会のためにまた言葉を考えておく。それを繰り返すことで、少しずつ自分の中の“怖さ”が減ってきました。完璧でなくても、前進していればいい。

「悩んでるのは自分だけじゃない」と思うことで救われる

こうやって愚痴っぽく書いている私も、あなたと同じように悩んでいます。でも、同じような気持ちを持っている人がいると知るだけで、少し救われることもあるんです。この文章が、誰かの心を軽くできたら嬉しいです。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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