あの日の一言に救われた――“先生がいてよかった”が胸に刺さった瞬間

あの日の一言に救われた――“先生がいてよかった”が胸に刺さった瞬間

あの日の一言に救われた――“先生がいてよかった”が胸に刺さった瞬間

「辞めたい」が口癖になった毎日

もう限界かもしれない、そう思う日が増えました。地方の小さな司法書士事務所を一人で切り盛りしながら、事務員さんに支えてもらってはいますが、正直、毎日の業務は山のよう。登記、相続、相談、確認、書類作成、電話対応……どれ一つとして気が抜けず、気づけば「もう辞めたい」が口癖になっていたのです。

やることが減らないのに、感謝はされない

どれだけ遅くまで残業しても、どれだけ丁寧に対応しても、「ありがとう」と言われることはほとんどありません。むしろ「まだですか?」「進んでませんけど?」と催促されることが多い。それが普通なのでしょう。でも人間ですから、やっぱり心がすり減るんです。黙って淡々とこなすのが正義なのかと、自分に問いかける日々です。

「先生だから当たり前」のプレッシャー

「先生なんだから当然ですよね」この言葉、意外と破壊力があるんです。期待に応えなければいけない、でも期待値が異常に高い。人並みに疲れるし、失敗も怖い。それでも「先生」と呼ばれる以上、完璧を求められる。どこかでミスをすれば、「え、先生なのに?」と言われる。自分の存在が崩れるような感覚になります。

正直、誰かに代わってほしいと思った

家族や友人に愚痴をこぼすと、「代わりがいない仕事だよね」と言われる。でも本音を言えば、「代わってほしい」と思うことが山ほどある。代わってもらえない現実がさらに重くのしかかる。誰にも頼れず、自分しかいない状況で潰れてしまいそうな気分になることも珍しくありません。

そんなある日、「先生がいてよかった」と言われた

忙しさに押しつぶされそうな中、ひとつの登記相談が舞い込みました。急ぎの案件で、依頼者の方もピリピリしていました。資料も揃っておらず、やり取りも大変だったのですが、なんとか期日までに登記を完了。書類をお渡しする際、その方がふっと言ったのです。「先生がいてよかったです」と。

書類のやり取りのなかで何気なく言われた一言

その一言は、感情を込めたものではありませんでした。ただ、事実としてそう言っただけ。でもその事実が、心の奥にじんわりと響いたんです。誰にも言われなかった言葉、待ち続けていた言葉。たった一言が、数ヶ月分の疲れを一瞬で癒した気がしました。

こっちが泣きそうになるなんて思ってなかった

お渡しした書類にサインをもらいながら、私は笑って「いえいえ」と返したつもりですが、喉の奥がつまって、声が少し震えていたかもしれません。こっちが泣きそうになってるなんて、その方は気づいていないと思います。でもあの瞬間、本当に「救われた」と感じました。

司法書士って、やっぱり地味で報われにくい

世間から見れば、司法書士は士業のひとつ。肩書きだけ見れば立派に見えるのかもしれません。でも実態は地味な裏方です。目立つ仕事はなく、報酬もバラバラ。不動産登記一本で食っていくなんてのも、今は幻想に近いです。日々書類とにらめっこしながら、静かに悩みを抱えています。

目立たないけど責任だけは重い

誰も見ていないところで必死に調査して、細かいミスを避けて、期日を守って、地味に丁寧に仕上げる。それでも、ちょっとでも間違えたら責任は全部こちら。電話一本の言い間違いが、数十万円の損失に繋がることもある。そんなプレッシャーの中、黙って仕事をこなす日々は本当にしんどい。

結果が出ても「当然」としか思われない

結果を出しても「助かりました」とすら言われないことも多い。むしろ「これで終わりですよね?」と念押しされて終わる。こちらは見えないところで何十時間もかけて書類を整えてるのに、その努力は水の泡。「やって当たり前」だと思われていると、本当に心がすり減ります。

感謝の言葉が、ここまで心に染みるとは

そのくらい、普段の仕事が無機質で冷たいものになっていたんだと思います。だからこそ、「先生がいてよかった」という言葉が、これほどまでに心に響いたのかもしれません。自分の存在が、ほんの少しでも人の役に立てた。そんな実感があるだけで、続ける意味を見出せるんです。

たった一言で気持ちが変わることもある

日々の苦しさは変わらない。でも、一言で救われることはある。その経験があってから、少しずつ、依頼者の言葉に耳を傾けるようになりました。前はどこか心を閉ざしていたけれど、今は「もしかしたら、また何か言ってもらえるかもしれない」と思うようになったのです。

言葉に出してもらわなければ気づけなかった

当たり前のようにこなしていた仕事が、実は誰かの人生にとってとても大事だった。それに気づけたのは、言葉にしてもらえたから。自分がどれだけ人の役に立てているかは、言われないと気づけないこともある。だからこそ、言葉は大切だと改めて感じました。

今でも辞めたい日はあるけれど

楽な仕事じゃありません。今でもふと「辞めようかな」と思う日はあります。でも、「先生がいてよかった」というたった一言が、そんな気持ちを止めてくれるのです。感情って、本当に不思議な力を持ってますね。

「あの一言」が頭をよぎって踏みとどまる

「あの人のためにもう少し頑張ろう」「また誰かにそう言ってもらえるかもしれない」そんな期待が心を支えてくれる。何もなければ崩れていたかもしれない日も、あの一言を思い出すことで、ぎりぎり持ちこたえています。

誰かの役に立てるって、やっぱり特別

日常の中では忘れてしまいがちなことだけれど、「誰かのために働ける」って本当はとても特別なこと。司法書士としてのやりがいを再確認した日でもありました。派手な成功じゃなくていい、静かでも確かな存在でありたい。そんな気持ちに変わっていったのです。

それでも現実は変わらない

感謝の言葉があったからといって、現実が急に楽になるわけではありません。収入は上がらないし、事務所は相変わらず忙しい。孤独感もゼロにはなりません。だけど、それでも心の中に一本芯ができたような気がします。

感謝だけではメシは食えない

やっぱりお金の話は避けて通れない。どれだけ感謝されても、現実的には報酬がなければ生活は成り立ちません。だから時には自分で価格を守ることも必要。自己犠牲の上に成り立つ仕事では長く続けられない。そう自分に言い聞かせています。

精神的に救われても、物理的にはしんどい

気持ちは楽になったけれど、体はやっぱり疲れてるし、目の前の仕事は減らない。精神的な救いと、現実のしんどさ。そのギャップに苦しむ日もあるけれど、それでも「やめない理由」ができただけ、少し前に進めた気がします。

同業の方にこそ伝えたいこと

もしこの記事を、同じように悩んでいる司法書士さんが読んでくれているなら、伝えたいです。「辞めたくなるのは、あなたが頑張ってる証拠です」と。人のために力を尽くすって、本当にしんどい。でも、その分だけ、誰かの人生に深く関われているんです。

疲れていても、言葉が力になる瞬間がある

自分の存在が無力に思える日もあります。でも、ふとした一言で一気に心が回復することもある。そんな瞬間が、司法書士としての自分を支えてくれるんです。だから今日もまた、机に向かって書類と格闘しています。

やりがいを見失ったら、人の声に耳をすましてみて

忙しさの中で、つい人の声を聞き流してしまいがち。でも、たまには立ち止まって、相手の言葉にじっくり耳を傾けてみてください。そこにあなたの支えになる一言が隠れているかもしれません。私にとっては、「先生がいてよかった」が、まさにそれでした。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。

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