仕事人間すぎて恋愛が遠ざかる日々に思うこと

仕事人間すぎて恋愛が遠ざかる日々に思うこと

気づけば恋愛が後回しになっていた

仕事に集中していたら、いつの間にか「恋愛」は自分の人生から抜け落ちていた。そんなことに気づいたのは、40代に差し掛かったころだった。若い頃は「今は仕事を頑張るとき」「恋愛なんてあとでいい」と言い聞かせていたが、その「あと」が来る前に、年月だけが過ぎていた。司法書士という仕事柄、繁忙期は休みもろくに取れず、クライアント優先で自分のことはいつも後回し。そんな生活が染み付いてしまったのだ。

20代は忙しさをごまかしにできた

20代のころは、仕事が忙しいのを理由に恋愛を遠ざけることに、何の違和感も持たなかった。むしろ「今は仕事一筋のほうが格好いい」とさえ思っていた。現場で書類を抱えて走り回り、土日も研修や勉強会に参加して、気づけば時間は仕事にすべて吸い込まれていた。それが当たり前だと思っていたし、何より、自分が成長しているという実感だけで満たされていた。

「今は修行の時期」と思い込んでいた日々

司法書士として独立を見据えていた自分にとって、20代から30代前半は「修行の時期」だった。恋愛や結婚は「安定してから考えるべきもの」と信じて疑わなかった。しかし今思えば、その“修行”に終わりはなかった。書類の山、電話の嵐、申請の期限に追われる毎日。恋愛は後回しにしていたつもりが、後回しにし続けているうちに、忘れられたタスクのようになってしまった。

仕事に逃げることで孤独を感じずに済んでいた

正直、恋愛がうまくいかなかった過去もある。誘って断られたことも、仕事の都合でドタキャンしたこともある。そんな自分を思い返すと、「どうせまた…」という気持ちが芽生えてしまっていた。仕事にのめり込めば、そんな感情を押し込めることができる。孤独を感じる間もないほど、仕事が常に自分の時間を埋め尽くしてくれる。ある意味で、仕事に“逃げていた”部分もあったのかもしれない。

恋愛より先にやることがあるという正義

司法書士として独立してからというもの、「まずは仕事を回すこと」「まずは信頼を得ること」と、自分に言い聞かせてきた。確かにそれは大事なことだったし、今もそう思っている。しかし、その「まず」が何年も続くと、恋愛という項目は人生のToDoリストから消えてしまう。クライアントのために夜中までメールを返し、土日に打ち合わせを入れることも日常茶飯事。プライベートの時間なんて、ほとんど存在しない。

事務所の維持も後継者問題も自分ひとり

地方の小さな事務所をひとりで回していると、「この仕事、誰が次に継ぐんだろう」とふと思う瞬間がある。事務員はいても、専門職は自分ひとり。自分が倒れたらそこで終わりだというプレッシャーが常にある。そんな不安を抱えたまま、未来のパートナーを探す気持ちの余裕が持てないというのも事実だ。もし付き合う人ができても、仕事が原因で相手を悲しませたら…と思うと、踏み出せなくなる。

土日も連絡を待ち続ける生活

「司法書士なんだから、平日に休めるでしょ?」とよく言われる。でも現実は、土日にしか連絡が取れないお客さんも多くて、逆に土日のほうが緊張している。スマホを片手に、いつでも折り返せるようにして、仕事モードから抜け出せないまま週末が過ぎていく。誰かと会う約束を入れても、「急な登記の確認があって…」と断る羽目になることもしばしばだ。

「余裕ができたら」なんて言ってたら一生来ない

「余裕ができたら結婚を考えよう」「そのうち誰か現れるかも」なんて、自分をごまかしていた。でも、その“余裕”はいつまで経っても来なかった。むしろ年を重ねるごとに責任も案件も増えていく。そうこうしているうちに、気づけば婚活市場でも「年齢的に厳しい」と言われる立場に。時間は平等なはずなのに、自分だけ取り残されたような感覚に襲われることがある。

気になる人がいても踏み出せない理由

好意を抱く相手がいなかったわけではない。でも、心のどこかで「自分なんかが…」という気持ちが先に立ってしまう。仕事が第一優先になっている自分を、誰かに受け入れてもらえる気がしない。恋愛というのは、時間や心の余裕がある人だけに許された特権なのではないかと、勝手に線引きをしてしまっている。

恋愛は手間がかかると感じてしまう

「恋愛は楽しいもの」とよく聞くけれど、正直なところ「手間がかかるもの」と思ってしまっている自分がいる。相手に気を遣い、スケジュールを調整し、言葉のやりとりを重ねていく…。そうした一連の流れが、仕事で疲れきった頭には重くのしかかる。恋愛に時間を割けるほど、自分には余裕がないと感じてしまう瞬間が多い。

相手に迷惑をかける不安がブレーキに

恋愛がうまくいかない最大の理由は、「相手に迷惑をかけたくない」という気持ちだ。自分の仕事の都合でデートを延期したり、急な依頼で連絡が遅れたりすることで、相手にガッカリされるのが怖い。その結果、誰かに好意を持ったとしても、それを表に出す前に心にしまい込んでしまう。そしてまたひとりの時間が積み重なっていく。

誘い方すら忘れてしまった現実

恋愛から離れすぎてしまった今、もはや「どうやって人を誘えばいいのか」すら分からなくなっている。LINEで何を送ればいいのか、どんな言葉で食事に誘えば不自然じゃないのか…。そんなことを考えているうちに、何もせずに日が過ぎてしまう。年齢を重ねるほど、余計な自意識が邪魔をして、シンプルな行動ができなくなってしまうのだ。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。