朝一番の準備、すでに戦いは始まっている
朝、事務所に入ると同時に、頭の中で「今日は何件提出に行くんだっけ…」と数える。まだコーヒーも飲んでないのに、もう気持ちは法務局に飛んでいる。机に座ってパソコンを開くと、昨日の夜届いた補正通知メールが目に飛び込んでくる。あぁ、またかとため息。毎日が戦場で、朝はその開戦の合図だ。うちの事務所は小さく、事務員さんと二人三脚。だからこそ、準備の段階からミスは許されない。でもそんな日に限って、プリンターが紙詰まりを起こすのだから、本当にやってられない。
メールチェックと補正通知の恐怖
メールを開く瞬間、まるで爆弾処理班のような気持ちになる。画面に「補正のお願い」の文字が見えた途端、胃がきゅっと縮まる。なぜ、昨日あれだけ確認したのに…。時間を巻き戻したくても無理なのが現実だ。補正内容を見ながら、「ああ、ここか…」と、声にならない声を漏らす。ほんの一文字の誤記で、提出がやり直しになるこの世界。お客様には平謝り、自分にはイライラの嵐だ。
夜のうちに届いている修正指示
最近はオンライン申請も増え、深夜に法務局から補正通知が届くこともある。寝る前にスマホでそれを見てしまうと、もう眠れない。通知音が鳴るたびにビクッとして、まるで悪夢を見ているようだ。かといって朝まで放っておくと、一日のスタートが地獄になる。だから結局、布団の中でPDFを開き、心の中で「明日もまた謝罪か…」とぼやく。
なぜここで誤字を見逃したのかという自問
たった一文字の「登記簿謄本」の「謄」が「謄写」の「謄」じゃない、とかそんなレベルの指摘。それを見た瞬間、こめかみがピクッと動く。確かに自分が悪い。でも、なぜ見逃したのか？ あんなに確認したはずなのに。自問自答を繰り返すうちに、自己嫌悪の沼に沈んでいく。完璧を目指すのがこの仕事なのに、現実はあまりに非情だ。
事務員さんとの申し合わせ
補正通知を確認した後、すぐに事務員さんと作戦会議。今日の訪問先、提出書類、押印状況…すべてを再確認する。彼女はしっかり者だが、最近は「今日もですか」とつぶやく頻度が高くなっている気がする。それを聞くたびに、心がチクッと痛む。でもそれが現実だ。お互い言わないだけで、疲れは溜まっている。
今日の訪問順と書類の再確認
封筒の中身、添付書類、印紙の金額、収入印紙の貼付場所。どれか一つでもミスがあれば、即補正。だから二人で声を出しながら確認していく。「これは…OKですね」「こっちは…あ、ちょっと待ってください」そんなやり取りをしていると、時間はあっという間に過ぎていく。でも、この時間が一番大事。なぜなら、この確認が命綱だからだ。
「今日もですか」と言われる虚しさ
事務員さんに「今日も法務局ですか？」と聞かれ、「ええ、三件ほど…」と答えるたびに、なんともいえない気持ちになる。まるで出勤表に「今日もにらめっこ」と書かれているような気分。心の中では「誰か代わってくれ…」と思いつつも、司法書士は誰にも代われない。結局、また自分が行くしかないのだ。
法務局への道のりと心の準備
カバンに書類を詰め込み、車に乗り込む。ナビを見なくても道順は完璧に覚えている。むしろ法務局周辺の駐車場の混み具合まで把握しているのが悲しい。道中、ラジオの音も耳に入らない。「今回こそ一発で通るだろうか…」そんな不安が頭をよぎる。心の準備をしながら、法務局という名の関所へ向かう。
道中で考える「帰りたい」の気持ち
信号待ちでふと、「帰って昼寝したいな」と思う瞬間がある。前職のサラリーマン時代はこんな気持ちになったことはなかった。独立すれば自由があると思っていたのに、現実は締切と補正の嵐。お客様のためと分かっていても、たまには「全部忘れて旅に出たい」と思う日だってある。
なぜか毎回緊張する提出の瞬間
窓口に書類を出す瞬間、何度経験しても手に汗をかく。たとえるなら、学校のテストを提出するような感覚。「これで大丈夫ですかね…？」と自分に言い聞かせながら差し出すと、職員さんがじっと見つめる。「どうか、通してくれ」と心で祈る。たまに目が合うと、余計にドキッとする。
窓口での攻防戦
提出してからの時間が長く感じる。目の前の職員が眉をひそめると、「あ、やっぱりダメか」と察してしまう。補正になると分かった瞬間、心の中で小さく「負けた」とつぶやく。勝ち負けじゃないのは分かっているけど、それくらいの気持ちで毎回挑んでいるのだ。
受付の人の表情でわかる「何かある」感
職員さんの表情には出る。「あ、何か指摘されるな…」という空気が伝わってくる。書類を裏返したり、端から見直したり、そういう動作のすべてが「地雷探知機」のように見えてくる。だから「少々お待ちくださいね」と言われるだけで、胃がキリキリする。
補正指示の言葉選びに傷つく瞬間
「ここ、ちょっと違いますね」「ここ、不備ですね」。その一言が、心に突き刺さる。悪気がないのは分かっている。でも、毎日その言葉を聞き続けると、自信が削れていく。まるで、自分の存在そのものが「ちょっと違いますね」と言われているような気がしてくる。
「ここ、ちょっと違いますね」の破壊力
言われた瞬間、頭の中で「なぜ？」という文字がグルグル回る。たとえば「代表者の肩書きが一部抜けている」とか。小さなミスが命取りになる。それを指摘されるたび、自分の目が節穴だったことを思い知る。悔しい、でもその場で謝るしかない。
あの人は優しいのに今日は冷たかった理由
いつも優しく対応してくれる職員さんが、今日はやけに無言だったり、対応がそっけなかったりする。こちらの気にしすぎなのかもしれないけど、「また来た…」と思われてるのかも、と被害妄想が膨らむ。でも、そんな日もある。人間だもの、と自分に言い聞かせるしかない。
一日の終わりに残る疲労とむなしさ
ようやく受理された書類を持ち帰っても、達成感よりも虚無感が強い。「また明日もこれがあるのか」と思うと、心が重たくなる。でもそれでも、お客様のためにやるしかない。事務所に戻って、今日の分の報告書を書き終えるころには、すでに日は沈んでいる。
「これが仕事だ」と自分に言い聞かせる夜
仕事が終わっても、気持ちは晴れない。でも「これが司法書士の仕事だ」と自分に言い聞かせる。誰かに頼られて、任されて、責任を持つ。その重さに押しつぶされそうになるけど、やっぱりこの仕事を嫌いにはなれない。どこかで誰かの役に立っていると信じたい。
晩ごはんに何を食べるかで悩む日常
帰り道、スーパーに寄るかコンビニで済ますか迷う。今日も自炊の気力はない。カップ麺と缶ビール、それが最近の定番。でもその味すら、今日は少ししょっぱく感じる。疲れが染み込んだ身体には、何を食べても満たされない夜もあるのだ。
