出会ってすぐに仕事の話になってしまう自分が嫌になる日

出会ってすぐに仕事の話になってしまう自分が嫌になる日

出会ってすぐに仕事の話になってしまう自分が嫌になる日

気づけばまた仕事の話ばかりしていた

久しぶりに知人の紹介で食事の場に誘われたときのこと。はじめましての女性と軽く会話を始めた瞬間、自己紹介の流れから「司法書士をやってまして」と話し、そこから自然に「最近相続登記が義務化されて〜」と続いてしまった。気づけば、仕事の愚痴や業務の説明ばかりを一方的に話していた。相手は苦笑い。こっちは「またやってしまった」と心の中で自己嫌悪。いつもこんなパターンなのに、なぜ繰り返してしまうのか、自分でもわからない。これが日常になってしまっていることに、ふとした場面で深く落ち込むのだ。

プライベートな話題が苦手な司法書士あるある

司法書士という仕事柄、日々の会話は「書類は揃いましたか?」「登録免許税はこれだけです」「登記完了は〇日です」といった事務的なものばかり。ふとした世間話が入り込む隙がほとんどない。だからこそ、プライベートな場でも自然と“仕事モード”の話し方になってしまう。先日も美容室で「最近何か面白いことありました?」と聞かれ、数秒の沈黙のあと「いや…新しい不動産売買のケースがあってですね」と話し出していた。美容師さんの苦笑いが忘れられない。

「お休みの日は何してるんですか?」に詰まる

この質問、ほんとに苦手だ。たいてい「うーん、事務所でちょっと片付けてました」とか「読書とかですかね…(条文)」と答えるのが精一杯。実際、休みといっても依頼が入れば対応するし、やるべき書類も山積みだ。自分では真面目に過ごしているつもりだけど、世間的には「仕事ばかりのつまらない人」と見えるのだろう。最近はもう聞かれる前に「最近あんまり面白いことなくて」と予防線を張るようになってしまった。

「えっと…登記簿の整理をしてました」が正直すぎる

ある女性とお茶したときに、「週末は何してたんですか?」と聞かれて、つい口から出たのが「登記簿の整理をしてました」。正直すぎたか…と思っても、もう遅い。相手は「へぇ…(よく分かんないけど大変そう)」という反応。こっちも変にごまかすよりマシと思って言ったが、やっぱり印象は良くなかった気がする。世の中の男性たちはもっとスマートに答えてるんだろうなと、羨ましくなる。

そもそも雑談力ってどこで身につけるの?

法務局や銀行とのやりとりに慣れている反面、世間話というものにはとことん不慣れだ。気の利いた話題を振る訓練なんて、司法書士の試験勉強には出てこないし、実務でもそんな場面は少ない。気づけば「話し上手な人=別の世界の人」と思ってしまっている節がある。でも、雑談力って必要だよなあと痛感するたびに、自分の引き出しの少なさを恥ずかしく思う。

専門職ゆえの会話の偏り

司法書士としての専門性は誇りでもあるけれど、一般の人との距離感を生む原因にもなる。ある日、友人から「お前って、いつも法律の話してるよな」と言われた。仕事熱心と言われればそれまでだが、裏を返せばそれしか話せないということ。最近では、自分でも何か話題を変えようとしてみるけど、結局「相続税ってさ…」という話題に戻ってしまうのが現実。

事務所にこもってばかりでは会話の筋肉が衰える

一人事務所で一日中パソコンとにらめっこ。たまに事務員とやり取りするくらいで、他人との雑談の機会が極端に少ない。だからこそ、たまに外に出て人と話すと、言葉がうまく出てこない。まるで筋肉が衰えているような感覚になる。話すって、使わなければ本当に鈍る。数年前はもう少し軽口も叩けてたのに、自分の“コミュ力”が劣化してるのを自覚している。

「最近何か面白いことあった?」と聞かれる恐怖

この質問、実は世間話の鉄板らしい。でも自分にとっては拷問に近い。面白い話?面白い案件ならいくつもある。でもそれ、一般の人にはまったくウケない。こないだも、「あ、第三者のためにする契約の登記がですね…」って話し出したら、相手は完全にフリーズしてた。もっと違う人生を送っていれば、笑える話の一つでもあったのだろうか。

「仕事が趣味」って言ってしまう寂しさ

「趣味は何ですか?」という問いに、「仕事です」と答えてしまう自分。事実だから仕方ないが、それが恥ずかしいと感じる時もある。本当は趣味と言えるほど熱中していることがあった方が、人生は豊かになるんだろう。けれど、気づけば一日のほとんどを仕事に費やしている。休む時間も、ぼんやり事務所の天井を見ているだけ。そんな日々を自分で選んだはずなのに、ふと寂しさがこみ上げる。

本当にそれでいいのか、ふと立ち止まる瞬間

ある夜、事務所でひとり残業をしていたとき、ふと鏡に映る自分の姿を見て思った。「あれ、何のためにこんなに頑張ってるんだろう?」。成功したいとか、独立したいとか、若い頃は色々あった。でも今は…ただ仕事が“ある”から“やってる”。それが良いのか悪いのか、誰も答えをくれない。自分の人生に、もう少し意味や彩りを与えてやらなければと思った。

「それってすごいですね!」の後の空気の重さ

仕事の話をして「へぇ〜、すごいですね」と返されると、実はけっこう苦しい。たいていその後に続く言葉がない。相手も気を使ってそう言ってくれているのはわかる。でもその先がないってことは、話題として盛り上がってないってことでもある。だから最近では「この話、つまらないですね(笑)」と自虐を交えるようにしている。哀しい対策だが、場の空気は多少和む。

仕事以外の自分を育てるという課題

やっぱり仕事だけじゃダメなんだと思う。別の世界を知ることで、自分の中にも新しい視点が生まれるはず。例えば、料理教室に行くとか、週末だけボランティアに参加してみるとか。そんな一歩があれば、出会いの場でも話せる話題が増えるし、自分の視野も広がる。今さらかもしれない。でも、今のままで後悔するのはもっと嫌だ。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。