営業できない自分が情けなくて、夜中にため息つくことがある

営業できない自分が情けなくて、夜中にため息つくことがある

「営業力がない」って、自覚した時の静かな絶望

司法書士って、黙々と仕事してればなんとかなるもんだと思ってた。開業して数年、最初は知り合いや紹介で案件もポツポツ来てた。でもある日ふと、ピタッと止まった。それなのに、自分から営業に動こうという気持ちがなかなか湧いてこない。というか、やり方がわからない。電話営業なんて、想像するだけで胃が痛い。世の中の営業マンって、どうやって自分を売ってるんだろう。気づけば、机の上の名刺が減らないまま、ため息だけが増えていった。

あの沈黙の空気、いたたまれなかった

地元の異業種交流会に勇気を出して参加してみた。名刺を握りしめて「話しかけなきゃ」と自分に言い聞かせて。でもいざ誰かの前に立つと、言葉が出ない。沈黙が気まずくて、「今日は寒いですね」なんて天気の話しかできない。笑ってくれる人もいれば、「はあ…」って流す人もいる。あの空気が一番きつかった。目の前の相手も気まずそうで、それがまた自分を否定されてる気がして。営業って、こんなにも心が折れるものなのかと知った瞬間だった。

初回面談で盛り上がらないときの冷や汗

たまに飛び込みで依頼が入って、初回の面談になると、また違うプレッシャーがある。しゃべるのは苦手じゃない。でも、「この人、信頼できそう」と思ってもらえるように話すのが難しい。表情も硬いし、話題もすぐに尽きる。相手が時計を見ると「ああ、もうダメか」と思ってしまう。沈黙が続くと、こちらの声もどんどん小さくなる。自分を売り込めないって、こういうことかと、汗をかきながら実感する。

世間話すら続かない、雑談が苦手な自分

昔からそうだった。親戚の集まりでも会話にうまく入れなかったし、職場の歓送迎会でも隅っこにいたタイプだ。司法書士になっても、その性格は変わらない。雑談って、営業の入口なのに、それができない。世間話ができれば、相手との距離も縮められるのに、いまだに「何を話せばいいかわからない」。仕事の話ならいくらでもできるのに、肝心の「人と人としてのつながり」が築けないのが、自分の大きな壁になっている。

どこかで「司法書士だから大丈夫」と思っていた

資格があるんだから食いっぱぐれはない、そんな慢心があったのかもしれない。専門知識を持っていれば、自然と仕事は来ると思っていた。でも現実はそうじゃなかった。待っているだけでは、何も動かない。地域の人口は減り、競合も増え、選ばれないと仕事が来ない時代だ。自分の肩書きに胡坐をかいていたツケが、今になって重くのしかかってきている。

技術があれば食える、そう思ってた

登記も相続も、誰より丁寧にやってる自信はある。法律の知識も、アップデートしてるつもりだ。でも、技術だけじゃ通用しない。選ばれる理由がないと、問い合わせすら来ない。どれだけ技術があっても、それを必要としてくれる人に届かなきゃ意味がない。その事実を、数ヶ月も電話が鳴らない日々の中で痛感するようになった。

でも「人を惹きつける力」って本当に大事だった

営業って、結局「この人に頼みたい」と思わせる力なんだと思う。それは話術だけじゃなくて、雰囲気とか、安心感とか、言葉にならないもの全部だ。自分はどうだろう?「丁寧で正確」だけじゃ、もう足りないんだ。そう気づいてから、ホームページの書き方を見直したり、少しずつできることを探している。でも、急に人が変われるわけでもない。だからこそ、日々焦りと情けなさを抱えながらも、なんとか一歩踏み出そうとしている。

ポータルサイト頼りが限界になった日

これまで、なんだかんだでポータルサイトに助けられてきた。「司法書士 〇〇市」で検索すれば出てくるし、そこからの問い合わせがコンスタントにあった。でも広告費は高いし、競合も増えてきて、反応が鈍くなってきた。月に何万円も払ってるのに、電話が鳴らないと「本当に意味あるのか?」と疑ってしまう。そこで、思い切って一度掲載をやめてみた。でも結果は、さらに悲惨だった。

問い合わせは減る一方、紹介も止まった

ポータルサイトをやめたら、案の定問い合わせはゼロに。紹介もなぜかそのタイミングで途絶えた。焦って何かしなきゃと考えるけど、何をしたらいいのか分からない。SNS?チラシ?ブログ?全部中途半端で終わる。結果、何もしないまままた一日が終わる。そんな自分にまた腹が立つ。そしてその夜、またため息だけが部屋に響く。

「放っておいても仕事が来る」は幻想だった

昔の先輩が「開業すれば自然と仕事は来るよ」と言ってた。でもそれは、人口が多かった時代の話。今は待ってるだけじゃダメだ。自分から動かないと、存在すら知られない。ましてや地方では、人づきあいの中で信頼を得るのがすべて。でもその「人づきあい」が一番苦手だからこそ、この業界で生き残るのがますます難しく感じてしまう。

まとめ:営業ができない自分を責めすぎないで

「営業ができない自分」は確かに不利かもしれない。でも、それを理由に自分を責め続けても、前には進めない。少しでもできることから始めようと思う。例えば、ブログで自分の想いを書いてみる。事務員さんと相談して、手作りの案内を近所に配ってみる。小さなことでも、自分なりに動いてみる。営業が苦手でも、人を大切に思う気持ちはある。それが伝われば、いつか誰かに届くと信じたい。

できることから、できる範囲で

いきなり営業が得意にはなれない。でも、ゼロよりは一。何もしないよりは、ちょっとやってみるだけで違うかもしれない。自分のペースで、自分らしく。誰かの期待に応えるよりも、まずは自分の気持ちに正直になって、少しずつ「変わりたい」と思う気持ちを育てていきたい。

“売る”んじゃなくて“伝える”だけでも、ちょっと違う

営業=売り込む、と思うと途端に気が重くなる。でも、“自分の思いを伝える”と考えれば、少し気が楽になるかもしれない。この仕事をどう思ってるか、何を大事にしてるか。そういうことを誰かに話すだけでも、それは立派な営業の一歩だ。無理せず、少しずつ。自分なりのやり方で。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。