ふと立ち止まってしまう朝に
朝、いつものように目覚ましが鳴る。手を伸ばして止めた瞬間、ふと浮かぶ。「今日もこの仕事をやるのか…」。司法書士として独立して十数年。何度も繰り返してきたはずの朝なのに、理由もなく重く感じる日がある。忙しいときほど、逆に心が止まる。何のためにやってるんだっけ、と自分に問いかけたくなる。そんな日は、大抵決まって雨が降っている気がする。天気のせいにしても、自分の心の中は晴れない。
目覚ましを止めた瞬間に湧く問い
昔は「開業して自由になる」と思っていた。会社勤めでは得られない裁量、やりがい、社会的信用。確かにそれらは手に入れた。でも、それに比例するように責任と孤独も増えていった。朝、布団の中で目覚ましを止めた瞬間、今日もまた山のような書類、電話、相談、押し寄せるスケジュールに立ち向かわなければいけないと思うと、体が動かない。「なんでこんな生活を選んだのか」。その問いはいつも突然やってくる。
仕事に行きたくないという感情の正体
「仕事に行きたくない」なんて、学生じゃあるまいしと自分で自分にツッコミを入れる。でもその感情の正体は、ただの怠けではない気がしている。誰にも頼れない、代わってくれる人もいない、すべてが自分の責任で回っているというプレッシャー。失敗すれば信頼もお金も一瞬で崩れる。緊張の糸を張り詰めて続ける毎日に、たまには「もう勘弁してくれ」と思いたくもなる。
「やりがい」っていつの話だったっけ
開業した頃は「やりがい」があった気がする。人の役に立っているという実感、感謝される喜び。でも最近は、それが遠い記憶のようだ。仕事がルーチン化して、ただこなしているだけになっていないか。依頼人の感謝の言葉さえも、「よかったですね」と自動的に返している自分がいる。「やりがい」って、いつの間にか机の奥にしまい込んでしまったのかもしれない。
司法書士という肩書きが重くなるとき
「司法書士」という肩書きは、外から見れば堅実で、信頼される職業に映るらしい。でもその裏では、誰にも見えないところで精神的な重圧を抱えている。責任の重さも、正確さを求められるプレッシャーも、日々の業務の膨大さも、肩書き一つでは語り尽くせない。「先生」と呼ばれながらも、その言葉に見合う自分でいられているのか、疑問に思う日もある。
まるで終わらない書類との格闘
朝一番から始まる登記の書類作成、相談対応、役所への提出。1日中机に向かってパソコンとにらめっこしている日も珍しくない。クライアントの都合で急に内容が変更になったり、法務局の指摘が入ったり、書類1枚に何時間も費やすこともある。「この作業、誰か代わってくれないかな…」と思ったことは一度や二度じゃない。
登記と孤独のコンボ攻撃
事務員が一人いてくれるとはいえ、基本的にすべての最終判断は自分が下す。孤独というより“孤立”に近いときもある。事務所で一人、黙々と作業していると、音のない世界に心が沈んでいく。ミスをすれば全責任は自分。そんな緊張感が365日続くわけで、そりゃあ疲れる。特に何もなくても「無」のような感情に覆われる日がある。
事務員に言えない本音とため息
事務員はよく働いてくれていて感謝している。ただ、愚痴をこぼすわけにもいかず、「あとはやっとくから帰っていいよ」と言って一人残る夜。静まり返った事務所で、「俺、何やってんだろうな」とため息をつく。そんな自分の姿に、誰かがいたらどう思うんだろう。いや、見られたくない。たぶん、見せる相手ももういない。
「なんでこの仕事してるんだっけ」と思う瞬間
書類の山に埋もれ、パソコンの前で背中を丸めながら、ふとした瞬間に頭に浮かぶ。「そもそも、なんで司法書士になったんだっけ？」。やりがいとか、目標とか、そんな言葉はしばらく使っていない。気づけば「目の前のことをなんとか片付けるだけ」で日々が終わっていた。
ランチタイムの沈黙と心の声
昼休み、コンビニのおにぎりを頬張りながらスマホを眺める。SNSにはキラキラした投稿、旅行の写真、家族との日常。そんな中で自分は、今日も変わらぬ風景の中にいる。仕事があるだけありがたい。それは分かってる。でも心のどこかで、「自分だけ取り残されてるんじゃないか」という気持ちが膨らんでくる。
元野球部だった頃の方が自由だった
高校の頃、野球部で汗を流していたあの時間。理屈じゃなく体を動かして、仲間と笑っていた日々。あの頃の方が、よほど自由だった気がする。勝ち負けはあったけど、心は前を向いていた。今はどうだろう。自由なはずの独立開業なのに、いつしかがんじがらめになってしまっている。
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ふと立ち止まってしまう朝に
朝、いつものように目覚ましが鳴る。手を伸ばして止めた瞬間、ふと浮かぶ。「今日もこの仕事をやるのか…」。司法書士として独立して十数年。何度も繰り返してきたはずの朝なのに、理由もなく重く感じる日がある。忙しいときほど、逆に心が止まる。何のためにやってるんだっけ、と自分に問いかけたくなる。そんな日は、大抵決まって雨が降っている気がする。天気のせいにしても、自分の心の中は晴れない。
目覚ましを止めた瞬間に湧く問い
昔は「開業して自由になる」と思っていた。会社勤めでは得られない裁量、やりがい、社会的信用。確かにそれらは手に入れた。でも、それに比例するように責任と孤独も増えていった。朝、布団の中で目覚ましを止めた瞬間、今日もまた山のような書類、電話、相談、押し寄せるスケジュールに立ち向かわなければいけないと思うと、体が動かない。「なんでこんな生活を選んだのか」。その問いはいつも突然やってくる。
仕事に行きたくないという感情の正体
「仕事に行きたくない」なんて、学生じゃあるまいしと自分で自分にツッコミを入れる。でもその感情の正体は、ただの怠けではない気がしている。誰にも頼れない、代わってくれる人もいない、すべてが自分の責任で回っているというプレッシャー。失敗すれば信頼もお金も一瞬で崩れる。緊張の糸を張り詰めて続ける毎日に、たまには「もう勘弁してくれ」と思いたくもなる。
「やりがい」っていつの話だったっけ
開業した頃は「やりがい」があった気がする。人の役に立っているという実感、感謝される喜び。でも最近は、それが遠い記憶のようだ。仕事がルーチン化して、ただこなしているだけになっていないか。依頼人の感謝の言葉さえも、「よかったですね」と自動的に返している自分がいる。「やりがい」って、いつの間にか机の奥にしまい込んでしまったのかもしれない。
司法書士という肩書きが重くなるとき
「司法書士」という肩書きは、外から見れば堅実で、信頼される職業に映るらしい。でもその裏では、誰にも見えないところで精神的な重圧を抱えている。責任の重さも、正確さを求められるプレッシャーも、日々の業務の膨大さも、肩書き一つでは語り尽くせない。「先生」と呼ばれながらも、その言葉に見合う自分でいられているのか、疑問に思う日もある。
まるで終わらない書類との格闘
朝一番から始まる登記の書類作成、相談対応、役所への提出。1日中机に向かってパソコンとにらめっこしている日も珍しくない。クライアントの都合で急に内容が変更になったり、法務局の指摘が入ったり、書類1枚に何時間も費やすこともある。「この作業、誰か代わってくれないかな…」と思ったことは一度や二度じゃない。
登記と孤独のコンボ攻撃
事務員が一人いてくれるとはいえ、基本的にすべての最終判断は自分が下す。孤独というより“孤立”に近いときもある。事務所で一人、黙々と作業していると、音のない世界に心が沈んでいく。ミスをすれば全責任は自分。そんな緊張感が365日続くわけで、そりゃあ疲れる。特に何もなくても「無」のような感情に覆われる日がある。
事務員に言えない本音とため息
事務員はよく働いてくれていて感謝している。ただ、愚痴をこぼすわけにもいかず、「あとはやっとくから帰っていいよ」と言って一人残る夜。静まり返った事務所で、「俺、何やってんだろうな」とため息をつく。そんな自分の姿に、誰かがいたらどう思うんだろう。いや、見られたくない。たぶん、見せる相手ももういない。
「なんでこの仕事してるんだっけ」と思う瞬間
書類の山に埋もれ、パソコンの前で背中を丸めながら、ふとした瞬間に頭に浮かぶ。「そもそも、なんで司法書士になったんだっけ？」。やりがいとか、目標とか、そんな言葉はしばらく使っていない。気づけば「目の前のことをなんとか片付けるだけ」で日々が終わっていた。
ランチタイムの沈黙と心の声
昼休み、コンビニのおにぎりを頬張りながらスマホを眺める。SNSにはキラキラした投稿、旅行の写真、家族との日常。そんな中で自分は、今日も変わらぬ風景の中にいる。仕事があるだけありがたい。それは分かってる。でも心のどこかで、「自分だけ取り残されてるんじゃないか」という気持ちが膨らんでくる。
元野球部だった頃の方が自由だった
高校の頃、野球部で汗を流していたあの時間。理屈じゃなく体を動かして、仲間と笑っていた日々。あの頃の方が、よほど自由だった気がする。勝ち負けはあったけど、心は前を向いていた。今はどうだろう。自由なはずの独立開業なのに、いつしかがんじがらめになってしまっている。
