とりあえず相談の破壊力を侮ってはいけない
「ちょっと聞きたいだけなんですけど…」その一言から始まる“とりあえず相談”。正直、最初の頃は軽い気持ちで対応していました。どれもそんなに重い話じゃないし、少し話を聞いてあげればいいだろう、と。でも、その「少し」が毎日何件も続いてくると、気づけば本業の書類作成の時間がどんどん削られていきます。しかも“相談だけ”の人に限って、こちらのアドバイスに大きく頷いて、「また相談しますね」と去っていくのです。無料で心と時間を削られる。ボディーブローのように効いてきます。
軽く見えるけど意外と重い「相談だけ」
「ちょっとだから」「すぐ終わるから」…そう言われるたび、僕はついニコニコして対応してしまいます。でも終わってから、どっと疲れる。たぶん、相手に悪気がないからこそ余計に消耗するんでしょうね。しかも話の内容が深くなればなるほど、こちらはプロとして真剣に向き合わなければならない。それが1件、2件と重なると、「今日はいったい何を進めたっけ…」という気分になります。
その場では笑顔でも内心では削られている
僕は基本的に断れない性格です。だからこそ、目の前で困っている人を見ると放っておけない。元野球部でキャッチャーだったからか、つい守ってしまう性分。でも正直、そういう自分が嫌になることもあります。笑顔の裏で「またか」と思ってしまう瞬間がある。そんな自分にまた落ち込む…負のループです。
無償の善意が慢性疲労になるとき
司法書士は「士業」だけど、サービス業でもあります。だから相手の気持ちに寄り添うのは当たり前。でも寄り添いすぎて、自分がすり減ってしまうと何も残らない。善意で始めたことが、気づけばただの“無料労働”になっている。とくに地方だと「顔見知りだから」「ご近所だから」と、断るハードルも高くなりがちです。
司法書士の「無料相談」はどこまでが仕事か
相談に乗ること自体が仕事の入口になることもあります。でも、その見極めが難しい。無料相談を丁寧にこなしていても、結局本件にはつながらないことも多い。だからといって最初から線を引きすぎると、せっかくのご縁を逃してしまうような気もする。毎回このジレンマに揺れます。
境界線の引き方がいつも難しい
無料と有料のライン、仕事と雑談のライン、それを事前に明示しておけば楽なんでしょうけど、それができたら苦労しません。相手が善意で来ているのに「それは有料です」とはなかなか言えない。自分で線を引けない自分にまたイライラしてしまう日もあります。
サービス精神と経営のはざまで
経営という視点で見ると、時間は有限であり、売上に結びつく行動が重要。でも人と人との関係を重視するこの仕事において、それを前面に出すのは難しい。「効率化」を追求すればするほど、自分がただのドライな人間になってしまうようで、それもまた嫌なんです。
1日5件の「とりあえず」が招く崩壊
「1件30分くらいだから…」という油断が、1日で軽く2時間以上を奪っていきます。その間、本来進めるべき登記の下準備や書類整理が後回しになる。結局残業して帳尻を合わせる。その繰り返しに、だんだんと心が削られていきます。疲れているのに眠れない夜、翌朝は頭が重いまま机に向かう毎日。
時間は取られ体力も削られ
たとえば先週、午後からの予定を片付けようと集中していたら、立て続けに3件の“相談だけ”が入りました。それぞれ30分ずつだったけど、終わったときにはもう夕方。集中力は切れて、予定していた登記書類の確認は翌日へ。次の日はその分早出して対応…結局、相談を断れなかった自分のツケです。
終わった後の脱力感と空虚感
相談を終えた直後は、なんとなく「良いことしたな」と思っても、時間が経つにつれ「あれ、何も進んでないな…」という虚無感に変わります。お礼の言葉があっても、報酬がないと不思議と達成感も薄い。感謝されることより、やるべき業務が進んでいないことへの罪悪感の方が勝ってしまいます。
誰も悪くないのが一番つらい
こういう疲れは、誰にも文句が言えないのが厄介です。相手も善意で相談してくるし、僕も断らずに対応してしまう。結果、誰も悪くない。でも、疲れる。こういう“無記名の疲労”が一番蓄積していきます。気づいたら、自分のなかにモヤモヤだけが残っているんです。
心が折れそうな瞬間を元野球部風に言えば
毎日毎日、全力でキャッチャーミットを構えて、打球を受け止めて、味方に声をかけて…そんな感覚です。バッターボックスにも立って、点も取らなきゃいけない。もちろんベンチに戻る時間はない。肩はパンパン、足もガクガク。それでも「次の回いくぞ」と言われれば立ち上がるしかない。そんな毎日です。
毎日フルイニング出場してる気分
朝から晩まで、プレーの連続。しかもエラーしたら全部自分の責任。疲れても代打もいない。誰かと交代したくても、ベンチには誰もいない。相談も登記も、営業も経理も全部自分。まるで草野球で人数が足りないからピッチャーからキャッチャーまでやらされてる感じです。
守備に走って打席に立って送球エラーも回収
「あの件、どうなった?」と聞かれて、慌てて書類を引っ張り出す。「あ、まだだった」と冷や汗をかきながら対応。誰のせいでもなく、ただ単に処理が追いつかない。守備に全力で走って、打席では三振して、送球ミスも拾って…そうやって1日が終わる。そんな日が何度もあります。
ベンチに下がる暇もない司法書士の現実
「ちょっと休もうかな」と思っても、電話が鳴る。メールが来る。ふと時計を見ると、もう夕方。気づけば昼ごはんも食べていないことに気づく。自分のために使える時間が、どんどん削られていく。ベンチがあれば座りたい。けど、そのベンチが存在しない。それが僕の現実です。
愚痴りたくなる夜もあるけど
誰かに愚痴をこぼしたい。そんな夜は何度もあります。でも独身で、家に帰っても誰もいない。酒でも飲めればいいけど、体質的に弱くてすぐ眠くなる。結局、布団の中で「あれも進んでないな…」と思いながら眠りに落ちる。朝になればまた、電話が鳴る生活の始まりです。
独身だと話す相手もいない現実
友人も少なくなってきました。仕事の話を気軽にできる相手もいない。事務員さんに愚痴を言っても申し訳ないし、同業の知り合いに言っても「まあそういうもんだよね」と言われるだけ。それがわかってるから、余計に言えない。話せない愚痴ほど、心に蓄積します。
事務員に話すと申し訳なくなる
うちの事務員さんはよくやってくれているし、何も言わずについてきてくれます。でもやっぱり愚痴を聞かせるのは気が引ける。機嫌が悪いと気を遣わせてしまうし、変に気を揉ませたくない。だからこそ、一人で抱え込むことが多くなるんです。
かといって同業者にもあまり言えない
同業者同士の会話って、だいたい「どこまで頑張ってるか」の自慢になりがちです。弱音を吐くと、なんとなく“脱落者”っぽい空気になる。だから口をつぐむしかない。もっと気軽に「今日つらかったわ」って言い合える関係、あればいいのになって思います。
じゃあどうするか ちょっとだけ前向きに
こうして書いてるだけでも、少し気持ちが軽くなります。たぶん、気づかないうちに“ためすぎていた”んでしょう。これからは、もう少しだけ自分の心に余裕をつくっていこうと思います。全部完璧にはできなくても、少しずつ。自分をすり減らしすぎないように。
線引きルールを少しずつ決めてみる
いきなり「無料相談やめます」は無理でも、「相談は〇時〜〇時まで」「1件30分以内」など、小さなルールを決めて伝えるだけでも変わるかもしれません。伝え方さえ工夫すれば、相手も理解してくれることが多い。まずは自分のためにルールを設ける。それが第一歩かなと思います。
有料相談の導入はハードルが高いけど
いきなり「相談は5千円です」とは言いづらい。でも、1時間以上の深い相談には何らかの対価を…という考えもありです。「相談後にご依頼いただければ無料」という形にしてもいい。小さなことでも、気持ちがラクになる工夫はしていきたいですね。
今日は時間ないと口に出してみる勇気
「今ちょっと手が離せなくて、また後日にしてもらえますか?」それだけで救われる時間があるかもしれません。無理に笑って対応するより、誠実に「今日は無理」と伝えることも相手への優しさ。自分を守ることが、仕事を長く続けるコツかもしれません。