返事が来ない日には頭の中が会議室になる

返事が来ない日には頭の中が会議室になる

返事が来ないと心がざわつく日々

「返事がない」――たったそれだけのことなのに、朝から晩まで気になって仕方がない。司法書士という仕事柄、登記関係や書類提出の期限が絡むことも多く、連絡が返ってこないだけで、心が勝手に忙しくなる。最初は「まだ見てないだけかな」と余裕ぶってみても、2時間、3時間と過ぎるうちに、不安というより、苛立ちと自分への責めが始まる。「あの言い方、悪かったかな」「催促して嫌われたらどうしよう」…そんなことを何度も反芻して、結局仕事が手につかない。たった一通の返信を、まるで合否通知のように待ち続けてしまう自分が、正直、情けなくて疲れる。

ただの未読なのか無視なのか

LINEに「未読」のまま残るメッセージ。それを見るたび、脳内では「まだ忙しいんだろう」と理性が語りかける。でも同時に、「無視されてるのかも」「嫌われた?」といった感情が沸き上がる。仕事での連絡でさえこのザマだ。プライベートとなれば尚更だ。たとえば、何気なく送った「この前の書類届きましたか?」という一言が、向こうにとって不快だったのではないか。そんなありもしない推測を始めてしまう。まるで自分のメッセージが、時限爆弾か何かのように感じてしまう時があるのだ。

相手の事情より先に自分を責めるクセ

返事がないとき、相手に何か事情があるのかも、とは考えない。まず自分の言葉や態度が悪かったのでは、と考える癖がついてしまった。たぶんこれは、仕事の中で何度も「言葉の使い方」で失敗してきた経験のせいだ。依頼者に厳しいことを言ったあとに音信不通になると、「あんな風に言うんじゃなかった」と自責モードに突入する。そして、それが返事がないことへの耐性をどんどん弱くする。元野球部で、どちらかといえばメンタルは強い方だったはずなのに、今ではピッチャー返しのように自分にダメージが返ってくる。

何度も読み返す過去のメッセージ

返信を待ちながら、ふと過去のやり取りをスクロールしてしまう。あの時、こう言えばよかった。いや、ここで余計な一言を加えたか。送った直後にはなんとも思わなかった文面が、時間が経つと「地雷発言」に見えてくる。これがプライベートな相手であれば、「あぁ、また嫌われた」となり、仕事関係だと「契約キャンセルか?」と悪い方向に想像が暴走する。誰にも相談できず、頭の中で自分会議が繰り返されるその時間こそ、実は一番しんどい。

司法書士という職業の“待ち時間”の多さ

司法書士の仕事には「待ち」の時間が多い。書類の提出後の登記完了待ち。依頼者からの返事待ち。金融機関からの確認待ち。すべてが「次のアクション待ち」になる。そのたびに進行が止まり、こちらとしてはそわそわするだけ。だが依頼者には、こちらの焦りなんて届かない。自分ひとりが勝手に緊張して、勝手に消耗しているような気がしてくる。

連絡待ちで止まる業務のリズム

書類一枚の確認が取れないだけで、次の予定が全部ずれ込む。そんな経験、司法書士であれば日常茶飯事だと思う。書類提出の期限が迫っているときなどは特に、返事が来ないことでこちらの神経はピリピリする。なのに、そういうときに限って「ごめん、見落としてた」とか「あ、まだ確認してなかった」と軽く返されたりする。言いたくても言えない。「こっちはずっと待ってたんですよ」とは、なかなか言えないのがつらい。

気にしないふりをしても気になるのが人間

「まあ、仕方ないですよね」「相手にも都合ありますし」なんて言いながら、内心はモヤモヤが渦を巻いている。気にしないようにしても、頭の片隅で「まだ返ってきてないな」と考えてしまう。パソコン画面に表示された通知欄に無意識に目が行くし、スマホの通知音が鳴るたびに反射的に確認してしまう。気にしない“ふり”はできても、心はだまされない。疲れる。

結局こっちが動かなきゃいけない現実

待ってても状況は変わらない。わかってる。だから、最終的にはこちらから再連絡をする。それも、できるだけ角が立たないように、気を使った文面で。たった一言送るのに何度も推敲して、結局「お忙しいところすみませんが…」から始まる定型文を打っている自分に、時々うんざりする。事務員にも相談できない。孤独な戦いだ。

考えすぎて疲れるのは分かってるのに

脳内会議はいつも同じ議題だ。「返事が来ないのはなぜか?」。正直、そんなに毎回深く考えなくていいのかもしれない。でも性分なのか、相手の気持ちを読もうとして、勝手に自分が疲弊するパターンに陥ってしまう。しかもだいたい、その返事が来たときは、こちらが考えていたこととはまったく関係ない。「ただ忘れてた」だけとかね。

返信が来ないときほど想像力が爆発する

普段、論理的でなければいけない仕事をしているのに、返信が来ないときだけは、途端にファンタジーの世界に突入する。「怒ってる?」「ミスした?」「こっそり別の司法書士に依頼した?」と、どんどん妄想が膨らんでしまう。結局、返信が来てから「なんだ、そんなことか」と拍子抜けするのだが、そのときにはすでに精神的エネルギーを大量消費している。

「嫌われたのかも」の発想が止まらない

学生時代なら「無視された」で済んだことが、大人になると「関係が切れた」「信用を失った」と重く受け止めてしまうようになる。とくに今のようにSNSやLINEで手軽に連絡できる時代では、「返信がないこと」が意図的な拒絶に感じられる。自意識過剰だと分かっていても、そう思わずにはいられない自分がいる。

モテない男の脳内はだいたい会議中

仕事でも、恋愛でも、いつも返信待ち。モテない人生を歩んできたせいか、何かにつけて“相手の出方待ち”の癖が抜けない。自分から踏み込むより、相手がどう動くかを見てから動く。これはもう性格なんだろうと思う。でも、そんな自分を少しずつ変えていかないと、永遠に返信を待ち続けるだけの人生になってしまう。

恋も仕事も返事待ちばかり

今も好きな人がいるわけじゃない。でも、仮に気になる相手ができたとしても、「返信来なかったらどうしよう」が先に立ってしまって何も送れない気がする。仕事と同じだ。こちらの一歩がいつも遅れる。その一歩のために、毎回頭の中で数十回の会議が行われる。結局、疲れるのは自分だけなのに。

元野球部でも空振りには慣れない

野球部時代、空振り三振もたくさん経験した。でも、あの頃は仲間がいたし、監督の檄もあった。今は違う。独りで投げて、独りで空振って、独りで反省する。連絡が来ないくらいで落ち込むなんて、自分でも情けないと思う。でも、やっぱり怖いのだ。仕事の信頼、人との関係、それらが全部、返事ひとつで壊れてしまう気がして。

誰かの反応を待ち続ける人生でいいのか

ふと我に返る。こんなに誰かの返信を待って、あれこれ考え続けて、結局何も前に進まない…そんな日々でいいのか?自分のペースで動ける仕事のはずなのに、誰かの反応に左右されてばかりいる。少しずつでいい、もう少しだけ自分主導で動けるように、変わっていきたいと思う。

こちらから動く勇気がない日もある

わかってる。自分から動くことの大切さも。でも、「また無視されたらどうしよう」と思う日もある。そんな日は、無理しなくていいと思う。全力で動く日もあれば、ちょっと休む日もあっていい。会議室のドアを閉めて、一人の時間を味わうことも、大切なことかもしれない。

それでも仕事は動かさなきゃいけない

悩んでも、考えても、愚痴をこぼしても、仕事は待ってくれない。依頼は進めなきゃいけないし、登記期限は容赦ない。だからこそ、悩みながらでも前に進むしかない。返事がなくても、自分のやるべきことに集中していくしかない。会議室の中で自分と闘いながらも、また今日も一歩だけ、仕事を進めていく。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。