朝の空がやけに青い日に限って嫌な予感がする
朝から晴れていて、風も穏やか。こういう日は決まって気持ちよく仕事が始まる……はずなんです。でも不思議と、そういう日に限って何かしらのトラブルが起こるんですよね。私だけかと思ってたんですが、同業の先輩も「静かな日は逆に怖い」とよく言います。何事もなく一日が終わると見せかけて、終盤にドカンとやってくる。まるで野球の延長戦で逆転サヨナラを食らうような気分。油断した頃に、あれはやってきます。
静かなスタートほど怖いものはない
朝イチのメールチェックでも特に急ぎの案件なし。電話も鳴らず、事務員さんもゆったりとお茶を淹れてくれる。正直、こういう日は「今日は早く帰れそうだな」と思ってしまうんですよ。でも、その余裕が落とし穴。過去に何度か、午前中があまりにも静かすぎて、逆に午後から急な相続登記の依頼が飛び込んで大混乱になったことがあります。「今日は穏やかに終わる」なんて言った瞬間に、神様が聞いてるんじゃないかと本気で疑ってます。
電話も来客もない午前中に芽生える違和感
たとえば、ある月曜日。連休明けにも関わらず、朝から誰からも連絡が来ない。机の上は片付き、タスクもほとんどなし。こんな平和な月曜あるか?と内心ザワつきながら、やけに丁寧に書類整理を始めた私。その時点で違和感に気づくべきでした。時間がゆっくり流れてるような感覚。そう、嵐の前の静けさってやつです。
「今日は楽勝かも」と思った矢先の着信音
午後一時、ちょうどお昼を食べ終わった直後。スマホがけたたましく鳴り、表示された名前に思わずため息。「あ、これは穏やかじゃ済まないな」と即座に悟りました。開口一番、「至急でお願いしたいことがあるんですけど…今日中にできませんか?」と。こうして、平和だったはずの一日は、いつものドタバタ劇場へと変貌するのです。
依頼人の一言がすべてをひっくり返す瞬間
依頼人の口から発せられる「ちょっとだけ聞きたいんですけど」が、私にとっては最大級のフラグです。その“ちょっと”が、ほぼ確実に“めちゃくちゃ面倒なこと”の入り口なのですから。経験上、その言葉のあとに続くのは、だいたい予想外の展開です。しかも、事前に相談してくれれば回避できたような内容が多くて、余計に胃が痛くなる。
「ちょっとだけ聞きたいんですけど」が引き金
以前、相続登記の件で来所された方が、帰り際に「そういえば、借地の件もちょっとだけ…」と軽く話し出しました。その“ちょっと”が、実は父名義の土地に建物が複数あって、それぞれに相続人が違うという複雑極まりない内容。午前の予定がすべて吹き飛び、午後は法務局との電話と格闘しながらの書類確認。結局、資料不足で再度やり直し。あの一言がなければ、きっとあの日は平穏に終わっていたのに…。
気づけば午前中が丸つぶれしていた
雑談のつもりで始まった相談が、気づけば専門的な質問へと発展し、さらに前提が崩れていく。まるで足元の地盤がズルズルと崩れていくような不安感。気づけば、コーヒーは冷め、メモ帳はびっしり。午前のタスクはひとつも進まず、ただただ疲労感だけが残ります。
話を戻すのが下手な自分にイラつく午後
しかも、自分の性格として、話を途中で遮るのが苦手で、相手の話を全部聞いてしまう。相手は「聞いてくれて助かりました」と笑顔で帰るけど、私はと言えば、後に残るのは疲れと焦り。午後のスケジュールがズレ込み、夕方の登記申請にも影響が出る。穏やかな朝が嘘のようです。
急な訂正依頼と法務局との追いかけっこ
そして最も手強いのが、依頼済みと思っていた案件の“訂正連絡”。これが入ると、今までの段取りが一気に崩れます。特に法務局が絡むと、訂正に時間も手間もかかる。しかも、法務局は待ってくれない。気を抜いたら全部やり直しになる。そういう日は、ただただ無力感と戦うことになります。
「あの住所違ってたかもしれないです」地獄の入口
ある日、午後3時。もうすぐ一息つけそうな時間帯に依頼人からの電話。「先生、言い忘れてたんですけど、登記簿に書いてある住所、実は引っ越し前のもので…」と。冷や汗が止まらず、その場で登記情報を確認。やり直し確定。こうなると、書類の再作成から再申請、依頼人への説明、法務局との調整とフルコースです。
法務局職員の無表情に心が折れる
急いで法務局に駆け込むも、窓口職員の表情は変わらず無機質。「ああ、これは再申請ですね」とあっさり言われると、なんだか自分が全部悪いみたいで落ち込む。ミスを防げなかった自分にも腹が立つけど、もう少し共感してくれてもいいのに…と勝手に思ってしまう。現実はそんなに優しくない。
訂正のつもりがまさかの再申請
訂正できると思っていた内容が、結局全部やり直しになると判明。一から書類を作り直して、再度押印もらって、また提出。もう今日は帰れないな、と腹を括る。そう、あの穏やかだった朝の気分は、もうどこにもないのです。
事務員さんの機嫌も微妙に悪い日
事務員さんが何も言わない日は、ある意味一番怖い。私が忙しくてピリピリしてると、それが伝染してしまうんですよね。いつもなら「お昼何にします?」と聞いてくれるのに、その日は無言でお弁当食べてる。そういう空気に耐えられない小心者の私です。
静かすぎるキーボードの音にビクつく
「カタカタ…カタ…」というキーボードの音が、いつもより重たく聞こえる。たぶん怒ってるんだろうな、とか、私が原因かな、とか考え始めると止まらない。結局、ミスの報告を後回しにしていたことがバレて、さらに空気が悪化。あの日は胃が痛かったです。
ちょっとした冗談が火に油だった
空気を和らげようと「最近運気悪くてさ〜」なんて軽口叩いたら、「それは自分のせいじゃないですか?」と冷たく返された。これは完全に私のミスですね。黙って書類を片付けてればよかった。気まずさMAXで午後を乗り切る羽目に。
お菓子の差し入れも焼け石に水
帰り際、スーパーで買ってきたプリンを差し出して「いつもありがとう」と言ったものの、「あ、ありがとうございます…」と小声で受け取られて終了。機嫌は直ってないなと確信。こうして私の気遣いもむなしく、また翌日へと持ち越されるのです。
帰宅間際に鳴る一本の電話がすべてを壊す
「今日はなんだかんだで頑張ったな」と思った18時過ぎ。あとは帰ってビール飲んで寝るだけ…と思ったその時。鳴り響くスマホの音。「うわ、やめてくれ」と心の中で叫びつつ出たら、案の定、厄介な依頼。平和だった1日を根こそぎ持っていかれる瞬間です。
「今日中にお願いできますか?」という呪いの言葉
電話の相手は馴染みの不動産会社。「お疲れさまです、急ぎで登記が必要になりまして…今日中に書類仕上がりませんか?」とのこと。もう頭の中は真っ白。時計を見れば18:12。そこからまたパソコンを立ち上げ、印刷し、スキャンし、PDFを送って…。あの時の疲労感、今でも忘れられません。
断れない性格が自分を追い詰める
正直「無理です」と言えばよかった。でも「なんとかします」と言ってしまう自分がいる。喜んでもらえるのは嬉しいけれど、そのぶん自分の時間がどんどん削られていく。そしてまた、「なんで断れなかったんだ」と自己嫌悪に陥る。悪循環です。
気づけばまた深夜のコンビニ飯
ようやく全て終わったのは22時過ぎ。帰り道のコンビニで、カップ麺と缶チューハイを買って、静かな部屋で一人晩ご飯。朝の穏やかさはどこへやら。こんな一日、司法書士あるあるですよね。誰か共感してくれると信じて、また明日も頑張るしかないんです。