友達と会うのも億劫になった

友達と会うのも億劫になった

友達と会うのも億劫になった日々

この年齢になってからというもの、休日に誰かと会うことすら気力を使うようになった。かつては自分から誘って飲みに行ったり、スポーツ観戦に出かけたりしていたのに、今ではLINEの通知が鳴るだけで少し身構えてしまう。会話の内容や時間の拘束、帰宅後の疲労感までを想像してしまって、「また今度にしようかな」と返事を先延ばしにしてしまう。そんな自分を見て、「変わったな」と思う一方で、「いや、これが今の自分なのか」と納得しようとする気持ちもある。

忙しさにかまけて断り続けた結果

最初は「仕事が忙しくて」と断る口実を使っていた。でもそれは半分本当で、半分は面倒くさかっただけ。登記の期日に追われたり、急な相談で土日が潰れたり、司法書士という職業の特性上、仕事がプライベートに食い込んでくることが多い。元々マメな性格でもないから、返事を後回しにしているうちに機会そのものが消えていく。

気づけば連絡すら取らなくなった

大学時代の友人グループのLINEも、いつの間にか既読スルーが当たり前になった。会えば楽しいはずなのに、「どうせ会っても…」という思考が先に立つ。気づけば、連絡をくれるのは決まった数人だけになっていて、それすらも「そろそろ切られるかな」と不安になる自分がいる。自分で選んだ孤独のくせに、その結果が寂しさに変わっていくのが皮肉だ。

あの頃笑っていた顔が遠くなった

学生時代、駅前のラーメン屋で深夜まで語っていたあの顔ぶれも、今やSNSで年に一度見る程度。みんな家庭を持ち、別の時間軸を生きているように感じる。たまに自分の昔の写真を見て「この時はよく笑ってたな」と思うことがあるけれど、あの笑顔の裏に今の自分の影はない。

一人でいる方が気楽と思ってしまう理由

気を遣わない時間というのは、ときに贅沢だと感じる。人と話すのにエネルギーが要るようになった今、自分の中で「会話=消耗」という構図ができあがってしまった。どんなに仲の良い友人でも、話のテンポや話題選びに神経を使う。だったら、録画したドキュメンタリーでも観ていた方が楽だと思ってしまうのだ。

気を遣うのがもうしんどい

司法書士として、常に「丁寧に」「礼儀正しく」接することが求められる。だからか、プライベートくらいは誰にも気を遣いたくない。でも、長年の職業病なのか、友人相手にすら「この言い方で大丈夫かな」と考えてしまう自分がいる。それがしんどい。

「久しぶり」が気まずいと感じる瞬間

久しぶりに会うと「何してたの?忙しかった?」と聞かれる。悪気のない言葉なのに、妙に胸が痛む。その質問にどう答えたらいいのか迷う。事務所と家を往復していた日々をどう説明すればいいのか。話のネタがない自分に気づいて、また距離を置こうとしてしまう。

司法書士という職業の孤独

仕事の性質上、誰かとチームで動くことは少ない。クライアントと会話をする機会はあるが、それは業務上のもの。友達との他愛のないやりとりとは別物だ。報酬の話、責任の所在、期日管理。そんなことばかり頭にあると、自然と会話の温度が下がってしまう。

同業との付き合いにも疲れてしまう

司法書士同士の交流会や研修会もあるが、正直あまり気が進まない。愚痴を言い合うことはあっても、どこか建前がつきまとう。仕事の名刺をつけたまま飲みに行くような感覚で、肩の力を抜けない。そんな場に行くくらいなら、コンビニで缶ビール買って家で一人飲みしてる方がよっぽどマシだと思う。

表では笑って裏でため息をつく日常

依頼者の前ではいつも笑顔を心がけている。でも、帰り道や事務所に戻った瞬間、深いため息が出る。「人の問題ばっかり聞いて、こっちは誰にも話せないな」と思うことがある。そんな風に、どこかで感情の出口が塞がれているのが自分の今だ。

このままでいいのかと問いかける夜

眠る前、ふと「このまま年を取ったら、誰とも話さなくなるのでは」と思うことがある。家族もいない。友人も疎遠。仕事の電話もいつか鳴らなくなる日が来るかもしれない。そんな不安が、寝る直前に押し寄せてくる夜がある。無性に誰かに連絡したくなるけど、そういうときに限って連絡先が開けない。

孤独と自由の間で揺れる心

一人でいる自由は確かに気楽だ。でもそれが続くと、孤独になる。その違いは思っている以上に大きい。自由を選んだはずが、いつしか孤独に支配される。そうなる前に、誰かと話すことを習慣にしなければならないのかもしれない。そんな葛藤を抱えながら今日もまた、机に向かっている。

明日は少しだけ誰かに連絡してみようか

ずっと会っていないあいつに、久しぶりに「元気か?」と送ってみようか。返事がなくても、それでいい。自分の中で、何かを変える一歩になればそれで十分。司法書士だって、たまには自分のために誰かに頼ってもいい。そんな風に思えた夜は、少しだけ眠りが深くなる。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。