モテないのは仕事のせいにしてるけどそれ本当なのか考えてみた

モテないのは仕事のせいにしてるけどそれ本当なのか考えてみた

気づけば恋愛とは無縁の生活になっていた

司法書士として独立して十数年、朝から晩まで登記や相談業務に追われて、ふと気づけば恋愛らしい恋愛はもう何年もしていません。事務所の机に差し込む夕陽をぼんやり見ながら、「俺、なんのためにこんなに頑張ってるんだっけ」と思うこともあります。忙しさにかまけていたら、恋も人間関係もどこかに置いてきてしまったような、そんな感覚が時々襲ってきます。

仕事に追われる毎日で余裕がなくなる

「〇日までに登記完了しなきゃ」「法務局に補正行かないと」「お客様に電話しないと」──頭の中がタスクでいっぱいの毎日。そんな状態で「恋愛しろ」と言われても、正直ムリです。夜遅くまで働いたあとに、誰かに気を遣って会話する余力なんて残っていません。自分がクタクタの時に、他人の気持ちまで気にかける余裕なんてどこにもなかったんです。

誰かと向き合う時間がないことへの諦め

たとえ休日に誰かと会う予定を入れても、前日にトラブル対応が入ったり、急ぎの書類作成があったりで、結果的にキャンセル。何度もそういうことを繰り返していると、「もう自分は誰かとちゃんと向き合う資格がないのかもな」と思うようになりました。仕事を優先することで、プライベートな人間関係が薄れていくのは、悲しいけど現実です。

土日も埋まる予定表に心が折れる瞬間

一般的には「週末は恋人とデート」とか「家族とゆっくり」とかあるのかもしれませんが、僕の週末はだいたい“登記簿の精査”か“お客様との打ち合わせ”。いつからかGoogleカレンダーを見るだけでため息が出るようになりました。予定がある=誰かと会える、ではなく、ほぼ仕事。気持ちが折れて、「どうせ俺には無理だろ」と思ってしまう自分がいます。

仕事を頑張っていれば自然と何かが報われると思っていた

若いころは、「とにかく仕事を頑張っていれば、いずれ全部報われる」と信じて疑いませんでした。きっと良い評価をされて、収入も安定して、尊敬されて、自然と人が寄ってくる。そう思っていたんです。でも現実は、思ったほど誰にも評価されず、ただただ机に向かい続ける日々。あの頃信じていた“報われる未来”は、どうやら来なかったみたいです。

努力=評価ではない司法書士の現場

司法書士の仕事って、地味で見えにくいものばかりです。どれだけ正確に仕事をしても、スムーズに終わる=当たり前という世界。「何も問題なく終わって当然」という空気の中で、努力をしても誰かに「すごいね」なんて言われることはまずありません。恋愛においても同じように、自分の頑張りが見えないのなら、誰にも伝わらないのかもしれません。

社会的地位と恋愛のモテ度は比例しない

司法書士って、世間的には「安定した職業」「頭が良さそう」と思われることもあるかもしれません。でも現実はというと、「え、それって何の仕事?」と聞かれることも多く、決してモテるわけではありません。職業としてのステータスが高い=恋愛で優位、というのは、幻想です。肩書きだけでは、人の心は動かせないことを、身をもって痛感しています。

先生ってモテるんじゃないんですかと言われて戸惑う

たまに言われるんです。「司法書士って、先生って呼ばれてモテそうですね」って。でも、現実はまったく逆。事務所で一人黙々と書類を作り、電話対応して、ひたすら地味にこなす毎日です。しかも独身で地方在住。どこでどうモテるんでしょうか…。そんなことを言われるたび、「俺のどこがどうモテると思ったのか、10文字以内で説明してほしい」と思ってしまいます。

モテるのは人間力であって職業じゃない

結局のところ、モテるかどうかって“人柄”や“魅力”なんですよね。司法書士だから、じゃなくて、その人自身が面白いとか、頼れるとか、優しいとか、そういうところに惹かれるんだと思います。仕事ばかりしてるからモテない、というより、心の余裕がなくなってしまって人間的な魅力が薄れてるのかもしれません。そこをちゃんと見つめ直さなきゃいけないのかも。

元野球部の根性論では恋愛は乗り越えられなかった

学生時代、野球部で鍛えられた根性論。「努力は裏切らない」「苦しい時こそ踏ん張れ」──そういう精神論でずっとやってきました。でも、恋愛って、根性でどうにかなるものじゃなかった。どれだけ頑張っても、うまくいかない時はうまくいかない。力技じゃどうにもならない、という現実に、何度も壁にぶつかりました。

勝ち負けじゃない世界の難しさ

恋愛には「勝ち」「負け」がない。これは僕にとって本当に難しいことでした。仕事なら、登記が完了すれば“勝ち”。でも恋愛は、いくら頑張っても、相手の気持ちひとつで変わるし、ゴールも曖昧です。そういう不確実なものに対して、自分の不器用さや恐れが前に出てしまって、踏み込めなかったことが何度もあります。

コミュニケーション力と恋愛のハードル

仕事ではある程度話せるのに、プライベートになるととたんに言葉が出てこなくなる。それが僕の弱さでした。誰かと一緒にいる時間、楽しいはずなのに緊張してしまって、空気を読みすぎて疲れてしまうんです。それに、仕事の癖で“問題を解決しようとする癖”が出てしまい、ただ話を聞いてほしい相手を疲れさせていたこともあったと思います。

仕事が原因というより自分の優先順位の問題かもしれない

これまでずっと「仕事が忙しいから恋愛なんて無理」と言い訳してきたけれど、本当は「恋愛を後回しにしてきた」だけかもしれません。仕事が大事だから、と言えば聞こえはいいけれど、実際はただ自分の気持ちを動かすのが怖かっただけかもしれない。そう思うと、少しだけ、後悔もします。

仕事を言い訳にしてきた過去を振り返る

「あの時連絡しておけばよかった」「もっと素直に話せばよかった」──思い返せば、仕事のせいじゃなくて、自分の臆病さのせいだった気がします。忙しいという言葉の裏に、動かない言い訳をたくさん詰め込んでいた。あれは本当に“仕方なかった”のか?いや、違います。ただ踏み出す勇気がなかった。それだけのことだったんだと思います。

優しさと行動力は別物だった

よく「優しい」とは言われます。でも、恋愛には“優しい”だけじゃ足りなかった。気遣いと行動力のバランスが大事だったんですよね。優しさが裏目に出て、何も言わずに距離を置いたり、自己完結してしまったりして、結果的に相手を不安にさせる。自分では「気を遣ったつもり」でも、ただの無責任だったのかもしれません。

じゃあどうすれば良かったのか

今さら後悔しても遅いかもしれないけれど、それでもこれから何かを変えるためにはどうすればいいのか。少しだけでも、自分と向き合う時間を作ること。誰かと会う時間を“負担”じゃなく、“楽しみ”に変える工夫をすること。その一歩が、これからの人生を変える鍵になるのかもしれません。

一日15分でも自分のための時間をつくる

朝のコーヒーを飲みながら外を見る時間、夜寝る前に好きな音楽を聴く時間。たった15分でも、自分の気持ちに耳を傾ける時間があると、少しずつ心がほぐれていく気がします。余裕が生まれると、人にやさしくなれる。そうすると、不思議と人との距離も変わってくるんですよね。小さなことからでいい、まずはそこから始めてみようと思っています。

小さな交流を大事にすることで人生が変わることも

コンビニの店員さんとの何気ない会話、通勤中にすれ違う人へのあいさつ。それだけでも、人との関係は少しずつ変わっていきます。恋愛に限らず、まずは“誰かと心を通わせる”ことから再スタートしてみたい。仕事だけじゃない、人生の中にもっとあたたかい時間があってもいい。そう思えるようになったのは、きっとこの孤独な時間があったからです。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。