人生相談じゃないけど聞いちゃう

人生相談じゃないけど聞いちゃう

なんでか話しかけられやすいタイプなんです

「話しかけやすい顔してるよね」って、人生で何十回言われたかわかりません。職業がらみならまだしも、買い物中、病院の待合室、電車の中まで。よく知らない人が、突然プライベートな話を始めることもあります。変な空気にはしたくないから、つい聞いてしまうんですが、内心は「なんで俺なんだろう」って思ってます。司法書士という職業のせいもあるのかもしれませんが、それだけじゃない何かが、きっとにじみ出てるんでしょうね。

コンビニでも病院でもなぜか人生相談モードになる

この前なんか、コンビニでレジに並んでたら、前にいたおばあちゃんがいきなり「孫が最近家に寄りつかなくてねぇ」って。財布を開けながら話し出すもんだから、逃げるに逃げられませんでした。病院でも隣に座ったおじさんが「昔、会社やってたんだけど倒産しちゃってね」って、唐突に人生の山と谷を語り始めたこともあります。どうも、話しやすそうな空気をまとってるらしい。こういうの、たぶん前世からの業じゃないかとすら思ってます。

「お兄さん、司法書士って儲かるの?」と突然聞かれる日常

まるで天気の話みたいに「司法書士って儲かるの?」と聞かれることがあるんですが、これが案外答えに困るんです。「まあまあですね」と笑ってごまかすことが多いけど、本当は「儲かる人は儲かるし、そうじゃない人は青息吐息ですよ」って言いたい。実際、地方で一人事務所をやってたら、収入は上下しますし、相談無料なんて日もざら。なのに世間のイメージでは「士業=金持ち」。そのギャップが、また地味に疲れるんですよ。

どんなに疲れてても相手に合わせちゃう性格が原因かも

自分でも思います。たぶん断れない性格なんでしょうね。疲れていても、忙しくても、「ああ、この人今誰かに話したいんだな」と思った瞬間、口をつぐめない。優しさというより、もはや習性。でもその代わり、家に帰るとどっと疲れが押し寄せてきます。人の話を聞きすぎて、自分の声がどんどん小さくなってるような感覚。それでも話を聞いちゃうのは、もしかすると、自分の存在意義を確かめたいからなのかもしれません。

ほんとは誰かに相談したいのはこっちの方

正直言うと、人生相談したいのはむしろ自分の方です。でも司法書士って、「頼られる側」であって、「頼る側」じゃないんですよね。お客さんから信頼されなきゃ成り立たない仕事だから、悩みや迷いを見せるわけにはいかない。でも、そんな自分をどこかで演じている感じがして、たまに空しくなるときがあります。話を聞くたびに、「俺の話も誰かに聞いてほしいなぁ」って、密かに思っているのが本音です。

愚痴を吐ける相手がいない司法書士の孤独

飲みに行く仲間も、年々減ってきました。友人は家庭があり、子どもがいて、土日に会うなんて難しい。仕事の愚痴を話せる相手が身近にいないのは、案外キツイものです。SNSに書いたところで、「大人なんだから自分でなんとかしろ」って言われるのがオチ。だからといって黙ってると、内側でどんどん腐っていく。司法書士の仕事って、他人の課題解決ばかりで、自分の心のメンテナンスが後回しになりがちなんですよね。

事務所の中では気丈にしてるけど正直しんどい

事務員さんの前では、なるべく元気に振る舞うようにしています。こっちが元気じゃないと、事務所の空気が重くなってしまうから。でも、本音を言えば、「今日は何も話したくない」って日もあるんです。でもそれすら許されない雰囲気がある。少人数の職場だからこそ、余計に気を使ってしまいます。「気丈にしてる」んじゃなくて、「気丈を演じてる」だけ。それに気づいてから、ますます本音が言えなくなりました。

お客さんには見せられない「情けなさ」ってある

この間、ふと鏡を見たときに「誰だこの疲れたおっさんは…」って思いました。昔の自分と比べても、今の自分には覇気がない。笑ってるつもりでも、目が笑ってない。そんな顔じゃ、お客さんの信頼を得るのは難しいとわかってるけど、それでも毎日笑ってみせる。情けなさを隠すために、笑顔を被る日々。それを続けているうちに、本当の自分がどんどん薄れていく感じがして、怖くなることがあります。

事務員さんがいてくれるだけで救われてる

一人じゃ到底まわらない仕事量。それでも、事務員さんがいてくれるおかげで、なんとか回っているという実感があります。朝、事務所に明かりが灯るだけでホッとする。ちょっとした会話や、ささいな気遣いが心を支えてくれることもあるんです。ただ、距離感にはいつも悩みます。頼りすぎたくない、でも孤独でいたくもない。そんな板挟みの中で、毎日を過ごしています。

ただ、話しかけすぎると嫌がられそうで気を使う

仕事の合間、ちょっとだけ誰かと話したいなと思うことがあります。でも、事務員さんに雑談を持ちかけると、「忙しいのにごめんね」と思ってしまう。かといって、沈黙が続くと妙に孤独を感じるし、自分だけ浮いてるような気持ちにもなります。そんなことを考えている時点で、もう人付き合いが下手なんでしょうね。けれど、気を使いすぎるのもまた疲れる原因になってしまうのが、悩ましいところです。

愚痴をこぼす相手にすら気を使う自分が情けない

愚痴って、誰かにこぼすだけで少し楽になる。でも、その「誰か」にすら気を使ってしまうのが自分の悪いところです。事務員さんにちょっとした不満を漏らしても、気まずくなったらどうしようとか、後々の関係にひびが入ったら…なんて、つい余計な心配をしてしまう。そうやって飲み込んだ愚痴が、だんだん自分の中に溜まっていって、夜、眠れなくなるんですよね。愚痴すら自由に言えないのは、本当に苦しいです。

かといって一人に戻るのはもう無理かもしれない

一人事務所のときは、全部を自分でやってました。気楽な部分もありましたが、やっぱり精神的にも肉体的にも限界がありました。いま事務員さんがいてくれることで、時間にも気持ちにも多少の余裕があるのは事実です。だからといって、その関係を壊したくない。愚痴も言えない、雑談も遠慮がち。でも、一人に戻るなんてもう考えられない。そのジレンマが、今の自分をがんじがらめにしてる気がしています。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。