独身司法書士のさみしさ対策

独身司法書士のさみしさ対策

なぜ司法書士は独身が多いのか

司法書士として働いていると、いつの間にか「結婚はまだなの?」という質問を受けることが減ってくる。聞かれるのが嫌で、聞かれないのも寂しい。そんな矛盾した感情を抱える独身司法書士は少なくない。日々の業務に追われるうちに、気づけば年齢を重ね、出会いのきっかけもないままに独りの時間が増えていく。司法書士という仕事の特性上、独身でいることが珍しくないとはいえ、やっぱり時折、ふとした瞬間にさみしさが押し寄せてくる。

忙しさが人間関係を遠ざける

書類の山、電話対応、法務局への往復、そして気を使うお客さんとの面談。業務の忙しさが、人と会う時間も、ゆっくりと自分を振り返る時間も奪っていく。週末はぐったりと寝て過ごし、気づけばまた月曜日。出会いのイベントに顔を出す余裕もなければ、恋愛する気力もない。事務員さんには気を使わせたくないし、下手にプライベートな話を振って職場の空気を悪くするのも嫌。そんな小さな気遣いが積もって、孤独は深まる。

予定が合わない、会話もままならない

夜間の相談や急な登記依頼が入ると、せっかくの予定もすぐにキャンセルになる。学生時代の友人と会う約束も何度も反故にして、気まずくなって疎遠になってしまった。「ごめん、法務局でトラブルがあってさ…」なんて言い訳を何度も繰り返していると、こっちも申し訳なくて誘うのをやめてしまう。結局、誰とも会わないまま土日が終わる。こんな生活、いったいいつまで続けるのかと不安になる。

夜の相談、急な対応…婚活以前の問題

夜8時、ようやく仕事が片付いたと思ったら「明日登記申請をお願いしたい」と急ぎの連絡。せめて今日だけは自炊して食事をと思っていたのに、結局コンビニ弁当。婚活パーティに申し込もうとした矢先にこれである。恋愛を始める以前に、自分の生活を整えることすらままならない。「出会いがない」の前に「時間がない」「心の余裕がない」。これが現実なのだ。

職場に異性がいない孤立感

小さな事務所で、雇っている事務員さんも家庭がある主婦の方。職場で雑談する機会はあるものの、恋愛やプライベートな会話とは無縁の空気が流れている。異性と接する機会といえば、役所や法務局の窓口くらいなもので、当然ながら仕事の会話に終始する。ちょっと冗談を交えたつもりがスルーされると、逆に自分が浮いてるような気がして、ますます黙ってしまう。こんな環境で、どうやって孤独を打ち破れというのだろうか。

出会いの場がそもそもない現実

友人の紹介、合コン、趣味のサークル…そんなものに縁がないままここまで来てしまった。司法書士の勉強を始めた頃から、ひたすら机に向かい、ようやく資格を取り、開業してからは日々の業務に追われて今に至る。誰かに会う、心を開く、それ以前に「そういう場に行く」という行動すら選択肢にないまま年を重ねてしまったのだ。

「信用第一」が心を閉ざす原因に

司法書士は「間違いが許されない」仕事である。それゆえに、常に冷静で真面目でいなければという意識が強くなる。仕事を通して身についた防衛的な姿勢は、プライベートでもそのまま続き、人との距離を縮めることを恐れるようになっていく。表情も言葉も、自然と硬くなってしまい、「話しかけづらい人」になってしまう。信用を守ることが、人間関係を築く障害になっている paradox(逆説)がある。

プライベートをさらけ出す怖さ

仕事では自分のミスが大きな損害につながるため、日常的に「間違えないように」と意識が強い。それがプライベートにも染み出して、「恥をかきたくない」「傷つきたくない」と殻にこもるようになる。友人にすら悩みを打ち明けられなくなり、ましてや異性には本音なんて話せない。結果、表面的な付き合いばかりが増え、深い関係が築けない。

ミスできない仕事が性格を変える

登記の内容一つ間違えば、依頼者の人生に影響することもある。そうした緊張感の中で日々働くうちに、自然と「慎重さ」や「神経質さ」が性格に染みついてくる。昔はもう少し柔らかい性格だったのに、今ではちょっとしたことでもイライラしたり、物事を悪い方に考えてしまうようになっている。それがまた、人付き合いを遠ざける原因になってしまっている。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。