忙しいフリに見えるけど本当に余裕がない
「そんなに忙しそうに見えないですね」——何度言われたか分からないこの一言。でも、こっちは毎日ギリギリで動いている。ひとつの案件が終わる頃には次の依頼が来て、電話は鳴り止まず、書類の山は常に視界に入っている。見た目に出ないのは、感情を押し殺してるからだ。元々そういう性格だし、司法書士という立場上、クールに見えた方が安心感があるとも思っていた。でも、本音を言えば、誰かに「大丈夫ですか?」って言ってほしい。
「今日はちょっと立て込んでまして」が口癖に
最近の自分の会話の始まりは、たいていこのセリフからだ。「今日はちょっとバタバタしてまして…」と、口では軽く言うが、実際は頭の中はフル回転している。書類の提出期限、依頼者の電話、法務局からの問い合わせ、加えて事務員の体調が悪ければ、全部自分でカバーしなきゃならない。まるでピッチャーで四番バッターで監督みたいな状況。自営業って、そういうものなんだと分かっていても、毎日は消耗戦だ。
連絡を後回しにする罪悪感
本当はすぐに返信したい。でも、手が回らない。LINEやメールに既読がついたまま返信できない時間が続くと、自己嫌悪が襲ってくる。「忙しいフリしてるって思われたらどうしよう」という気持ちと、「このまま放置したら信頼を失う」という焦り。だけど、物理的に手も気力も足りない日もある。特に相手が他士業や顧客ならなおさら。信頼がすべての仕事だからこそ、後回しは本当に苦しい。
電話一本が怖いと思う日もある
電話が鳴ると、ドキッとする。内容によっては、その一件で予定が総崩れになることもあるからだ。体が一瞬硬直するような感じ。出る前から「これ以上無理です」と言いたくなる。でも言えない。司法書士は基本的に断れない仕事が多いし、緊急の案件も珍しくない。昔は「電話=チャンス」と思っていたのに、今は「電話=負荷」。忙しさが積もり積もって、感覚が麻痺してきている自分が少し怖い。
たった一人の事務員さんに救われて
うちは小さな事務所。だから事務員さんはたった一人。その彼女がいなかったら、この事務所は正直回っていないと思う。口数は少ないけれど、やるべきことは黙ってこなしてくれる。提出書類のチェックも、郵送物の管理も、全部支えてくれている。自分がミスをしてもフォローしてくれることもあって、感謝しっぱなし。でも、その感謝を伝える余裕すらないのが今の状況だ。
阿吽の呼吸ができるまでにかかった年月
今でこそ何も言わなくても動いてくれるけど、最初のころはトラブルも多かった。「これ、お願いって言いましたよね?」「いや、それは聞いてません」のやり取りを何度したことか。小さな行き違いが信頼を揺るがす業界だから、神経も使う。少しずつ、少しずつ、互いのクセや考え方を理解してきた。そうやって積み重ねてきた“阿吽の呼吸”は、今の僕にとって一番の財産かもしれない。
ありがとうも言えずに終わる一日
「今日もありがとう」その一言を伝えるだけの心の余裕がない日が多い。バタバタして帰る時間になり、「じゃ、お先に失礼します」と事務員さんが言っても、僕は画面から目を離せない。あとで言おうと思っても、気づけば次の日。これが続くと、信頼関係も冷えてしまいそうで怖い。でも、それでも出勤してくれて、仕事をしてくれている彼女の存在に、本当に救われている。
余裕がないから優しさが足りなくなる
優しい自分でいたいのに、忙しさがそれを許さない。怒ってるわけじゃないけど、冷たく聞こえたり、無表情になっていたり。相手からしたら「この人、感じ悪いな」と思われてるかもしれない。でも、頭の中はずっと次の仕事のことでいっぱいで、表情まで気が回らない。そういう自分に気づいては、また落ち込む。その繰り返しだ。
「自営業は自由でいいですね」と言われて
この言葉、何度も耳にした。確かに、時間の使い方は自分次第。だけど「自由=楽」ではない。どんなにしんどくても、誰も代わりはいないし、ミスはすべて自分の責任。自由の裏側には、常にプレッシャーと責任がついてまわる。特に、司法書士の仕事は「自由」ではなく「拘束」だとすら思う日もある。
休める日=不安な日という矛盾
やっとの思いで空けた休みの日。でも心は休まらない。「急ぎの電話が来たらどうしよう」「書類の不備が発覚したら…」そんな不安ばかりが頭をよぎる。休んでいるのに、仕事のことを考えてしまう。これはもう職業病なのか、それとも自営業の性なのか。いつになったら“完全にオフ”にできる日が来るんだろう。
平日昼間に出歩く罪悪感
たまに用事があって、平日の昼間にコンビニへ行くときがある。なんだか妙に落ち着かない。「あの人、仕事サボってる?」そんな目で見られてる気がして。誰もそんなこと気にしてないと分かっていても、心がそう思い込んでしまう。人目が気になるのは、たぶん自分が真面目すぎるせいかもしれない。
誰も見てないのに見られてる気がする
田舎だからかもしれない。誰かの目が常にあるような感覚がある。昔の知り合いや親戚、近所の人に偶然見られるんじゃないか、とか。そんな妄想に振り回されてしまう。「あの人、司法書士なのに暇そうにしてたよ」なんて噂になったらたまらない。自意識過剰と言われればそれまでだけど、地方で仕事をしていると、そういう小さな目線が本当に怖い。