朝からため息で始まる一日
目が覚めた瞬間、まず思うのが「今日も仕事か……」という言葉。たった一人で司法書士事務所を切り盛りし、朝から晩まで予定とタスクに追われる日々。気づけば天井をぼんやりと見つめたまま、起き上がるまでに30分近くかかる日もある。誰かと雑談する余裕もなく、静かな事務所で一人、ため息をつきながら書類の山に向き合う。そんな朝が、もう何年も続いている。
気づけば天井を見つめていた
最近、ふと気がついたんです。朝目覚めて、スマホにも触れず、ただ天井を見つめている時間が増えたなって。昔はもっとすぐに布団から出て、シャキッと顔を洗っていた気がするのに。今は違う。天井のシミを眺めながら「今日は何件来るんだろう」「また何かミスしてないだろうか」と、不安のスイッチが入る。やることは山積みで、休んでなんかいられないのに、心が全然動いてくれない。
休み明けが怖くて眠れなかった夜
週末に少し休めたとしても、日曜の夜になると決まって不安が押し寄せる。何か見落としがあったんじゃないかとか、苦情の電話が来るんじゃないかとか、根拠のない恐怖で心が騒ぐ。そうなると眠れない。寝不足のまま月曜を迎え、頭がぼーっとして、ますます効率が落ちていく。そんな悪循環に陥るのも、誰にも相談できない孤独が原因なのかもしれない。
誰にも頼れないプレッシャー
結局のところ、何かあったらすべて自分の責任だという事実が重い。たとえ小さな登記ミスでも、信頼を損ねることに直結するこの業界では、一つのミスが命取りになりかねない。でも誰にも「怖い」なんて言えないし、「手伝って」とも言えない。事務員には言ってもわからないし、同業者には弱みを見せたくない。だから毎日、自分の中で押し殺すしかない。
事務所の静けさが時に孤独を強くする
日中、電話が鳴らない時間が続くと、妙に静かすぎて心がざわつく。誰も来客がなく、事務員も黙々と作業しているとき、事務所全体がまるで無人の船のように感じられる。ラジオをつけても、音楽が余計に孤独を浮き彫りにする。そんな中で、一人だけ気を張っていなければならないのがつらい。
相談相手がいないという現実
ふとした疑問や判断の迷いが生じたとき、誰かに「これってどう思う?」と聞けたらどれだけ楽かと思う。だけど、実際にはそんな相手はいない。昔は同じ試験を目指していた仲間もいたけれど、今は連絡もとっていない。SNSを見るとみんな順調そうで、なおさら自分だけが取り残されたような気分になる。
事務員には話せないこともある
事務員がいてくれるのは本当に助かる。でも、所長という立場上、弱音を見せられない。たとえば報酬の入金が遅れているとか、依頼者とのトラブルの不安とか、そういう話をするのは気が引ける。結局、自分の中で抱え込んで、夜中に一人でネット検索しながら答えを探す。そんな日々だ。
一人親方の壁にぶつかるたびに
独立してから、何度も「一人親方でやるってこういうことか」と痛感した。責任も決断もすべて自分次第。でも、時にはその「自由」が苦しくなる。休んでも誰も代わりがいないから、結局無理をして働く。何のために独立したのか、時々わからなくなるほどに。
モテないことと孤独はセットじゃない
「結婚は?」とか「いい人いないの?」と聞かれるたびに、笑ってごまかすけれど、本音はこうだ。「いないってことは、いるべきじゃないってことかな」って。仕事に追われて恋愛どころじゃなかったけど、そもそも女性にモテるようなタイプじゃない。でも、それと孤独はまた別の話で……。
誰かと話したい夜のコンビニ帰り
夜、コンビニでおにぎりと缶ビールを買って帰る道すがら、ふと誰かと話したくなる。「今日はこんなことがあった」とか「明日は○○の案件があるんだよね」とか、ただの世間話がしたい。でも、それを聞いてくれる相手はいない。だからスマホのメモ帳に一人で日記のように書き込むのが、せめてもの吐き出し方。
LINEの未読にため息が漏れる
昔の友人に思い切って送ったLINEが既読にならないまま数日経つと、もう二度と送れない気がしてしまう。「忙しいだけだよ」と自分に言い聞かせるけど、返信が来ない理由をあれこれ想像しては、勝手に落ち込む。それでもまた、誰かに送ってしまう。誰かとつながりたいという気持ちは、なかなか消えない。
昔の仲間に連絡できない自分
元野球部の仲間たちは、地元で家庭を持ったり、別の道で成功していたりする。そんな彼らに「最近どう?」と連絡するのが、なんだか気が引ける。自分だけが足踏みしているようで、比較してしまう自分が情けない。だから、懐かしい気持ちはあっても、連絡先は開くだけで閉じてしまう。
元野球部という肩書きがむなしく感じる日
高校時代、泥だらけになって白球を追っていたあの頃。夢中だったし、仲間もいた。でも、今その話を誰かにしても「すごいね」と言われるだけで、どこか現実味がない。過去の栄光なんて何の役にも立たない。それがむなしい。今を生きることがこんなにも孤独だとは、当時は想像もしなかった。
それでも今日も書類は待っている
どんなに気分が沈んでいても、依頼された仕事は待ってくれない。朝から机に向かい、淡々と書類を確認し、法務局に走る。そうして一日が終わる。誰にも話せないことが山ほどあっても、仕事は確かに自分をつなぎとめてくれている。だから、今日もなんとか動き出す。
目の前の一枚にだけ集中していく
頭の中がモヤモヤしていても、目の前の登記申請書だけに集中する時間がある。それが今の自分を保つ手段だ。悩みが消えるわけじゃないけど、少なくともその間だけは、余計なことを考えずに済む。誰かに話せなくても、自分の中で折り合いをつけながら、また明日もこの場所に立つ。それだけで、十分なのかもしれない。