平日の夜に予定がないわけじゃない

平日の夜に予定がないわけじゃない

平日の夜に予定がないわけじゃない

誰にも邪魔されないはずの時間に限って仕事が終わらない

「夜こそ自分の時間」と思っていたのは、もう昔の話です。司法書士という仕事をしていると、表向きは日中が業務時間であっても、現実には夕方から夜にかけてが本番という日も少なくありません。特に、急ぎの登記や相続関係の案件が絡むと、どうしても夜まで仕事が延びてしまう。昔は「夜はテレビでも見て寝よう」と思えていたけれど、今では「誰から連絡が来るだろうか」と常にソワソワしているのが正直なところです。

夜の予定に向かう途中で「一本だけ電話していいですか」

飲み会や友人との食事に向かう道中、「今ちょっとだけ電話していいですか?」という連絡が入ることが何度もあります。最初は「もちろん大丈夫ですよ」と余裕ぶって答えるものの、気づけば30分以上経過していたり、話が脱線して本題に入れなかったり。結果として、約束の時間に遅れるか、最悪キャンセルすることに。もう何度そうやって大切な予定を棒に振ってきたか分かりません。

一本だけで終わる試しがない現実

「一本だけ」はだいたい嘘です。一つの問い合わせが新しい問題を引き出し、そこから芋づる式に二つ三つと話が広がっていく。そしてなぜか、電話が終わった後も頭の中はその案件のことでいっぱいになってしまう。予定に出かけたとしても、心ここにあらず。自分では切り替えたつもりでも、顔や態度に出てしまって、相手に「何かあったの?」と聞かれる始末です。

電話が鳴った瞬間、頭の中の予定は全部キャンセル

一番辛いのは、電話が鳴った瞬間に「あ、これはもう今日の夜は終わったな」と思ってしまう自分がいること。もともと楽しみにしていた予定でも、心のどこかで「まあ、また今度でもいいか」と諦めるクセがついてしまった。きっとそれが続いた結果、誰かと会うことや、何かを始めること自体が億劫になっていったんだと思います。

登記完了のメールも「今送っといて」が深夜にくる

登記完了の報告は、本来ならば翌営業日に送っても問題ない内容。でも一部のクライアントは「今日中に送ってくれないと不安で寝られない」と言ってくる。そう言われると、こちらも「すぐ送ります」としか言えず、パソコンを開いてメール文を打ち、PDFを添付して送信。気づけば夜中の1時過ぎ。自分の睡眠時間を削ることに、すっかり慣れてしまっているのが怖い。

急ぎの内容じゃないのになぜ今なのか

送ってくれと言われた資料が、翌朝読まれることはまずありません。じゃあなぜ今必要なのか。それは「自分のタスクを片付けたいから」なんですよね。依頼者の安心のためにこちらの生活リズムを壊す、という理不尽が常態化しているのが司法書士の世界かもしれません。責任ある仕事ですから、ある程度は仕方ないとも思います。でも、夜中のメール対応が続くと、心のどこかが摩耗していくのを感じます。

即レスが当たり前になると心がすり減る

以前は、夜に連絡が来ても「明日の朝に対応しよう」と思えていたのに、最近は即レスを求められる雰囲気に抗えなくなってきました。特にスマホの通知が鳴った瞬間、「早く返事をしなきゃ」と焦ってしまう。そのクセがつくと、常にスマホに気を取られてしまい、自分の時間がどんどん奪われていく。自由時間があるようで、まったくない。そんな毎日です。

趣味や習い事を始めても継続できた試しがない

何か新しいことを始めようとしても、続いたためしがありません。最初は気合を入れて始めるんです。スポーツジムも、料理教室も。でも、予約を入れても直前で仕事が入ったり、精神的に疲れてしまってドタキャンしてしまったり。やめた理由を正直に言えば、「続けられるほど元気が残っていなかった」ただそれだけです。

元野球部でもキャッチボール相手がいない

若い頃は体を動かすのが大好きでした。元野球部として、休日にキャッチボールでもしようと思ってグローブを買ってみたんですが、そもそも相手がいない。友人は家庭を持ち、夜は子どもと過ごす時間に。こちらは自由なはずなのに、誘う先がないという不自由さ。元チームメイトのグループLINEも、最近は通知が一切来ません。

「暇な時あったらまたやろう」が二度と来ない

「また今度」「都合が合えば」「暇なときにでも」。社会人になってからの「また」はほとんど実現しません。それでも最初のうちは、「きっとそのうちまた誘ってくれる」と思っていた。でも、誘いは一向に来ない。あれは社交辞令だったのか、それとも自分に魅力がないのか、答えはどちらでも良いけれど、やっぱり少し寂しいものです。

ユニフォームだけが押し入れの奥で眠っている

たまに部屋を片付けていると、昔のユニフォームが出てくることがあります。土の汚れも汗の跡もそのままに、洗ってしまったけどもう使わない。でもなぜか捨てられず、押し入れの奥に戻してしまう。あれは、続けられなかったことの象徴なのかもしれません。見るたびに「あの頃はよかったな」と思う反面、今の自分にがっかりもしてしまうのです。

「いつでもいいですよ」が本当に怖い

依頼者から「いつでも大丈夫です」と言われると、逆にプレッシャーになることがある。「時間あるときでいいですよ」と言われたら、どのタイミングで動くのが正解なのか悩むし、後回しにしたら「遅い」と言われかねない。その結果、結局夜に処理することになってしまう。自由なようで自由じゃない、言葉に潜む圧力が心を締め付けます。

依頼者の“都合のいい時間”が夜しかない

特に働いている依頼者は、当然のように「夜なら時間あります」と言ってくる。それ自体は当然の感覚だと思いますが、こちら側は昼も夜も関係なく対応している立場。夜間対応が積み重なると、日常生活に支障をきたすレベルです。時には「土日でも構いませんか?」と聞かれることもあり、カレンダーの休日マークがむしろ皮肉に見えてくるようになります。

「平日の夜しか空いてないんですけど」は断れない魔法の言葉

この一言を言われると、こちらも「仕方ないですね」と笑って返すしかありません。でもその裏では、家に帰って晩ごはんを食べたり、録画したドラマを見たりする時間がまた削られていく。「夜しか無理」と言われると、断ったこちらが悪者になる気がしてしまうから、本音を飲み込んでしまうんですよね。

Zoom相談のはずが気づけば23時まで話していた

「簡単な確認だけです」と言われたZoom相談が、気づけば2時間以上。資料の説明から始まり、世間話になり、最後は人生相談。聞いているこちらも悪いんですが、断り方が分からない。結局、その日は晩ごはんを抜いてベッドに倒れ込むだけ。こんな日が週に何度かあると、体力も気力も奪われていきます。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。