見られていないと分かっていても力を抜けない性分
日々の仕事のなかで、「誰も見てないんだから、もう少し手を抜いてもいいんじゃないか」と思う瞬間は確かにある。でも、気づけば丁寧に書類を揃え、依頼者にわかりやすく説明し、無駄だと分かっていても一言添えた手紙まで添付している。誰に見られるわけでもない。褒められることもない。ましてや、報酬が増えるわけでもないのに、どうしても“ちゃんとやってしまう”のだ。それがクセというか、もう性分になってしまっていて、自分でも止め方がわからない。
誰の評価でもなく自分との戦いになっている
昔は「評価されたい」「認められたい」という気持ちで頑張っていた。でも、いつからか他人の評価なんてどうでもよくなって、代わりに“自分の中の基準”がすべてになった。いい加減な処理をした時、自分に対して「お前、そういうやつだったか?」と小さな声が聞こえるようになってしまっている。だからこそ、他人が見ていなくても、自分はごまかせない。けれどその分、しんどい。誰とも共有できない苦しさが、日々蓄積していく。
真面目な人ほど陥る「期待されていないのに期待に応えようとする病」
おそらく、真面目な人はこの“罠”にかかりやすい。誰かからの期待があるわけじゃない。でも勝手に「誰かが自分に何かを求めている」と感じてしまい、その見えない期待に応えようとしてしまう。気がつけば、無意識に「全力」を出している。誰も「そこまでやらなくていいよ」と声をかけてくれない。というより、そもそも誰も自分の努力に気づかない。それでも頑張る自分を、「偉いな」と思う一方で、「何やってるんだろうな」とも思ってしまう。
「どうせやるならちゃんとやる」が自分を追い詰める
「どうせやるなら、ちゃんとやろう」。この言葉、かっこよく聞こえるけど、実は自分を追い詰める最強の呪文かもしれない。たとえば休日にふと事務所に寄って少しだけ片付けようとする。でもその“少しだけ”がいつのまにか“完璧にやらなきゃ”に変わり、結局3時間も資料と格闘する羽目になる。誰かに「ありがとう」と言われるわけでもない。ただ、自己満足と疲労感だけが残る。そんな日々の積み重ねが、今の自分の疲れの根っこにある。
司法書士という職業の孤独な性質
司法書士という仕事は、実務的にも精神的にも孤独を抱えやすい。お客さんは基本的に「問題を片付けに来る人」で、終わればさっさと帰っていく。感謝よりも、「もっと早くできないのか」「なんでそんなに費用がかかるんですか」といった言葉の方が印象に残る。人と関わっているはずなのに、心の距離は意外と遠い。相談相手もいない。話せる同業者も少ない。自分の中にたまっていくモヤモヤは、どこに出せばいいのか分からない。
頑張っても「ありがとう」が聞こえにくい仕事
登記が無事終わっても、大抵の依頼者は「そうですか」と言って帰っていく。何も問題が起きなかったということは、こちらがしっかり仕事をしたという証拠なのに、それが一切評価されない。むしろ、問題が起きたときにだけ注目されるという、不条理な構造がある。まるで“失敗しないのが当たり前”の世界で、どうモチベーションを保てばいいのか、本気で悩むことがある。見えないところで支える仕事って、想像以上に孤独だ。
感謝よりもクレームの方がよく届く現実
郵便物に一言感謝の手紙が入っていたことなんて、数年に一度あるかどうか。それに比べて、「思っていたよりも時間がかかっている」とか「電話に出なかった」といった苦情は、かなりの頻度で届く。もちろんミスがあれば謝るけれど、「一生懸命やってるのに」という気持ちは消せない。頑張っても報われない現実。それでも続けていくのは、もう惰性に近いのかもしれないし、「それが仕事だから」という、割り切りなのかもしれない。
事務所に一人きりの時間に押しつぶされそうになる
事務所に事務員がいない時間、ふと気が緩むと、ものすごい孤独感に襲われる。電話も鳴らず、玄関のドアも開かず、ただパソコンのキーボードを打つ音だけが響いていると、「俺、何やってるんだろうな」と呟きたくなる瞬間がある。誰も見てない。誰も気にしてない。でも、今日もちゃんとやっている。それなのに、この虚しさは何なのか。頑張るほどに、誰にも共有されない努力が、自分の中でむなしく膨らんでいく。
誰にも見られず誰にも頼れない日常
登記の準備も、報告書の作成も、トラブル対応も、全部自分でやっている。責任ある立場なのだから当たり前かもしれない。でも、何か問題が起きたときに「誰か助けてくれ」と思っても、その“誰か”がいない。誰にも頼れないのが当たり前になってしまっている日常は、ふとした瞬間にものすごく重くのしかかってくる。別に弱音を吐きたいわけじゃない。でも、「おい、大丈夫か?」って言ってくれる人がいれば、どれだけ救われるか。
事務員さんがいない時間帯が一番つらい
うちの事務所には事務員が一人だけいる。とても助かっているし、いないと本当に大変だと実感する。ただ、彼女が休みの日や早退した日の“静けさ”には毎回心が折れそうになる。電話対応も来客対応も、全て自分一人。業務が滞るのではなく、誰とも会話しない数時間が本当につらいのだ。人と話すことがこんなに大事だったとは思わなかった。誰も見てない空間に一人でいると、ただの事務作業ですら重くのしかかる。