休んでもなぜか疲れが取れない日々

休んでもなぜか疲れが取れない日々

休んだはずなのに心が重い朝

朝、目覚ましの音で起きるというより、現実に引き戻されるような感覚で目が覚める。前日に早めに布団に入っても、ぐっすり眠れた実感がない。体は横たわっていたけれど、頭の中ではずっと仕事のことを考えていたのかもしれない。「あの書類、訂正してたっけ」「電話かけ直さないと…」そんな思考がぐるぐるして、まるで休んでいた気がしない。地方の小さな司法書士事務所を一人で回していると、こういう“疲れの抜けなさ”が日常になる。

布団から出るのが一番つらい時間帯

朝が一番つらい。身体が重いのはもちろんだが、気持ちがまるで鉛のように沈んでいて、「今日も一日頑張ろう」とは到底思えない。時間通りに出勤しても、頭がぼんやりしていてスイッチが入らない。元野球部だった頃は、朝練でもガバッと起きられたのに、今はあの頃の活力はどこへ行ったんだろう。布団の中で5分、10分と時間を伸ばす癖がついてしまった。そんな自分にまた自己嫌悪してしまう。

予定が詰まっていなくても気が休まらない

今日は登記の締め切りもないし、法務局にも行かなくていい。そういう“少し余裕のある日”に限って、逆に気が休まらない。やることがないわけじゃない、むしろ「今のうちにやっておくべきこと」が山ほどある。その「やらねば」が脳内を支配していて、結果的に全然リラックスできない。仕事が趣味のような人ならともかく、僕にとって仕事は日々の戦いだ。勝ち負けじゃなく、終わらせるだけで精一杯の戦いだ。

「明日もある」という呪いのような言葉

「今日は無理でも、明日やればいい」。一見優しい言葉に聞こえるが、僕にとっては呪いのようだ。明日も明後日も、やることが終わらないのがわかっているから。「明日やることを今日に持ち越す」という決断が、休むことに罪悪感を生む。休むことすら計画しないと不安になる自分がいる。だから、休んでもどこか落ち着かない。結局、何もしなくても疲れるという悪循環に陥る。

気分転換が気分転換にならない

「少し気分転換してきたらどう?」と人は気軽に言うけれど、その“気分転換”が難しい。散歩しても、スーパーで買い物しても、どこか上の空。気分が変わるどころか、余計に「やるべきこと」が浮かんできてしまう。テレビをつけても、スマホを見ても、心が動かない。司法書士という仕事の性質上、「常にミスは許されない」という緊張感が無意識に根を張ってしまっていて、完全にリラックスする方法を忘れてしまったのかもしれない。

何をしても「楽しい」は長続きしない

久しぶりに動画配信で映画を観ても、15分も経てば仕事のことが頭に浮かぶ。途中で止めてしまって、結局ToDoリストを見てる自分がいる。自分の中で“楽しい”と感じる時間が極端に短くなった。若い頃は徹夜してゲームしても平気だったし、笑える場面では本気で笑えていた。今は、楽しいことをしてもどこかで「でも明日がある」とか「時間がもったいない」と思ってしまう。心から楽しめるって、なんて難しいんだろう。

野球中継さえも心の栄養にならなくなった日

元野球部だから、プロ野球中継を見るのがかつての息抜きだった。でも最近は、贔屓のチームが打たれたりミスをすると、イライラしてしまう。昔なら「まぁ、しゃーない」で終わっていたのに。たぶん、余裕がないのだと思う。自分自身が「失敗を許されない環境」で働いているから、他人のミスにも過敏になってしまっているのかもしれない。好きなことがストレスになるって、なんだか悲しい。

「切り替えが下手」と言われてもできないものはできない

「切り替えが下手だよ」と言われたことがある。でも、それって性格じゃなくて、環境や責任の重さのせいだと思っている。登記のミスひとつで数十万円の損害になる仕事。常に緊張状態で働いているから、スイッチをOFFにするのは簡単じゃない。誰でもできることじゃないし、自分を責めるのはもうやめたいけれど、それもまた難しい。

仕事から離れても頭が回り続ける

休憩中でも、休日でも、頭の中では仕事が動き続けている。体は休んでいても、思考が止まらない。事務所に鍵をかけて出ても、「あの書類机に置いたままだったかな」「印紙、買い足しておくべきだったかな」と、終わったはずのことが何度もループする。これじゃ回復なんてできるわけがない。

登録免許税と印紙の数字が夢に出る

正直に言うと、夢の中に登記簿や申請書が出てくることがある。笑える話じゃなくて、かなりリアルな内容で、「印紙代が違う」とか「地番間違えた」とかで冷や汗をかいて目が覚める。これはもう、職業病なのだろう。夢の中くらいは自由でいたいけれど、気持ちのどこかで「また何か忘れてるんじゃないか」と焦っている証拠なのかもしれない。

本来なら忘れていいはずの依頼内容が頭から離れない

終わった案件のことが、いつまでも頭から離れない。もう完了通知も送って、お客さんからもお礼を言われているのに、ふと「あの資料、誤字なかったっけ」と気になって検索し直す。そんな自分が情けない。でも、完璧を求められる職業だからこそ、妥協が怖い。安心して忘れるということが、僕にとって一番難しい。

自分にとっての本当の休みとは

「休むって何?」と、冗談交じりに言ったことがあるけれど、本気でわからなくなっている。温泉に行けばいい? 旅行すればいい? けれどそれすら計画する気力がない。結局、テレビをぼーっと眺めて過ごすか、半端に事務所に顔を出してしまう自分がいる。心から「何も考えない時間」をつくることが、これほど難しいとは思わなかった。

ただ寝るだけでは回復できない現実

「しっかり寝れば元気になるよ」。昔はそれで済んだ。だが、今は違う。布団に入っても眠りは浅く、何度も目が覚める。目覚めても頭がすっきりしない。寝ることは肉体の回復かもしれないが、精神の重さは全然取れない。回復には、「安心」と「切り替え」が必要なのかもしれないけど、現実の中でそれを得るのは、なかなか難しい。

気を遣わなくていい時間のありがたさ

誰にも気を遣わず、誰にも迷惑をかけず、ただ自分のペースで過ごす時間。今の自分にとって、一番欲しいのはそんな時間かもしれない。事務員が帰ったあとの静かな事務所で、一人コーヒーを飲んでいるとき。そんな瞬間が、実は一番“気分転換”になっているのかもしれない。派手じゃなくても、静かなひとときが心を癒してくれる。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。