事務所が寒いだけで心が折れそうになる日

事務所が寒いだけで心が折れそうになる日

朝から寒いと仕事が始まらない

冬の朝、事務所のドアを開けた瞬間にぶわっと押し寄せる冷気。正直、これだけで「今日もやるか…」という気持ちがしぼんでしまう。地方の築古物件に事務所を構えていると、気密性なんて期待できない。元野球部で体力には自信があったはずの自分が、室温ひと桁にやられている。寒さに耐えながら、書類の山に向かうのは、なかなかに堪えるものだ。

エアコンが動かない朝の絶望感

先日、朝から暖房が効かない日があった。エアコンはうんともすんとも言わず、室温は9度。事務員さんが「電源入りませんね…」と呟いたときの沈黙ったらない。電気のブレーカーかと確認しても問題なし。いよいよ壊れたか…と現実逃避したくなる。こういう日に限って、朝イチから相談者の予約が入っていたりするのが世の常。コートを脱ぐ間もなく、凍える指でキーボードを打ち始める羽目になった。

室温9度で始まる書類チェック

冷えた手で戸籍をめくると、紙がしなる音すら寒々しく感じる。普段はすんなり頭に入ってくる情報も、寒さで集中力が散ってしまって思考が止まる。指サックすら冷たくて、書類に触れるのが苦痛になる。そんな中、些細な記載ミスを見逃さないよう神経を張り詰めるのは、まるで寒中水泳のような苦行だ。体が芯から冷えていると、心まで固まっていくような気がしてくる。

手がかじかむと打ち間違いが増える

寒い日は、明らかに誤字脱字が増える。登記情報の入力ミスは致命的。そんなのわかってるからこそ、慎重にやってるつもりなのに、どうにも手が追いつかない。指先がうまく動かず、「つ」が「し」になったり、「3」が「8」になったり…。校正に時間を取られ、スケジュールがズレこむ。余計な時間がかかることが、精神的に一番キツい。

ホッカイロに頼る日々の自分が情けない

背中とお腹にホッカイロを貼って出勤する自分が、ふと情けなく感じる瞬間がある。昔は冬でも裸足で部活をしてたのに、今や靴下二重でも足先が冷たい。寒さに弱くなったというより、弱さを受け入れてしまったのかもしれない。でも、だからといって「今日も頑張るか」とは簡単に思えない。暖房ひとつで、こんなにも心が折れそうになるのは、自分だけじゃないと信じたい。

寒さは集中力を奪う

「寒いだけで何を大げさな」と思われるかもしれない。でも実際、室温が2〜3度低いだけで、明らかに集中力は落ちる。ちょっとした確認作業やメール返信すら、腰が重くなる。心地よい環境って、実はとても大事なのだと身にしみる。寒さに耐えることに気を取られて、本来の業務に集中できないのは、プロとして正直つらい。

「ちょっとしたミス」が増える背景

最近、ちょっとした記載のミスを指摘されることが増えた。「うっかり」が積み重なると信用を失う仕事だけに、自分でも危機感を持っている。原因は睡眠不足か?疲労か?いや、根本的には「環境のストレス」もあると感じている。寒さで思考が散っていると、書類の細部に意識が向かなくなる。心のどこかに「寒いから仕方ない」と言い訳をつくってしまっている。

やる気より先に暖かさが欲しい

「気合いが足りない」と言われればそれまでだけど、人間やっぱり快適な環境でこそ力を発揮できる。朝一番に「エアコンが効いている」というだけで、気持ちはずいぶん違う。逆に、寒くて震える状態では「やる気を出そう」にも限界がある。まずは指が動く環境じゃなきゃ、話にならない。根性論だけでは乗り切れない日があるのだ。

心まで冷えてくる午後三時

午後三時を過ぎると、暖房が効いていても一度冷え切った体はなかなか戻らない。身体が冷えてくると、気持ちもなんとなく沈んでくる。「今日もまだ終わらない」「また明日も同じか」とネガティブ思考の連鎖が始まる。たった数度の寒さに心が引っ張られてしまう。誰かに相談できるわけでもなく、ただ机の前で耐えるしかない。

誰にも言えないこの小さな苦しみ

この手の悩みって、本当に人には言いにくい。「寒いからやる気が出ない」なんて、甘えに聞こえるから。でも、小さな不快が毎日積もると、やっぱり心が削られるんだ。しかも自分は所長という立場。誰かに弱音を吐ける存在じゃない。事務員さんに気を使わせるのも嫌で、つい「大丈夫ですよ」と嘘をつく。そういう日が続く。

事務員さんは強がってくれるけど

ありがたいことに、うちの事務員さんは気配りができる人で、「寒いですね〜」と笑いながらも淡々と仕事をこなしてくれる。でも、内心は我慢してるだろうと思う。小さな電気ストーブを足元に置いて、何も言わずにパソコンを打つその姿を見ると、「申し訳ないなあ」と罪悪感が湧く。暖房の故障ひとつで、こんなに気を使うとは思わなかった。

「寒いですね」の裏にある気遣い

たまに「寒いですね〜」と声をかけられると、冗談交じりでもどこか心が救われる。でもその一言の裏には、「でも我慢してますよ」という無言の気遣いがある気がして、余計に胸が痛む。自分がもっと気を配っていれば、もっと暖房設備にお金をかけていれば…。経営者としての責任のようなものを感じずにはいられない。

一人で耐えることが当たり前になっている

気づけば、何かあっても「自分が我慢すればいい」と考えるクセがついている。独身で気軽に愚痴をこぼす相手もいないと、余計にそうなるのかもしれない。寒さという些細な問題すら、一人で背負ってしまう。でも、それが毎日続くと、本当に心が消耗していくんだ。こういうときこそ、誰かに「寒いよなあ」って共感してもらえるだけで救われる。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。