カップ麺が主食になった理由
司法書士という仕事柄、日中はお客様の対応や書類の作成に追われ、気づけば日が暮れているのが日常だ。業務が一段落する頃には、近所のスーパーやお弁当屋は軒並み閉店。コンビニに寄ることすら面倒で、結局、棚の奥から適当に選んだカップ麺に湯を注ぐことになる。食事というより、空腹を満たすための“作業”だ。手間も時間もかからないが、味気ない。だけど、それが一番「合理的」だと納得してしまっている自分がいる。
仕事が終わる頃にはスーパーが閉まっている
夕方6時を過ぎたあたりから、書類の見直しやメールの返信が立て込んでくる。依頼人からの急な連絡が入ることも珍しくない。そうしてバタバタしているうちに、あっという間に20時を過ぎる。田舎では、そんな時間に開いているスーパーなんて存在しないに等しい。都市部の便利さが恋しくなる瞬間だが、引っ越す気力もない。今日もまた、冷蔵庫には何もなく、棚にあるカップ麺だけが頼りだ。
料理の気力が残っていない現実
仮に食材があったとしても、「じゃあ炒めよう」と思えるだけの気力は残っていない。頭は疲れ、肩はこり、座ったら最後、もう立ち上がるのが億劫になる。料理はクリエイティブな行為だと言う人がいるが、それは心に余裕がある人の話。独り暮らしで、誰かのために作るわけでもない料理は、何かと理由をつけて後回しになる。やがて、それが習慣になる。
独身という選択、というより結果
よく「独身貴族」なんて言葉を耳にするけれど、司法書士として働く私はそんな優雅な存在ではない。ただただ、気づけば独身だったというだけの話だ。特別に結婚を拒んでいたわけでもないが、気がつけばこの歳でひとり。休日も誰かと過ごすことなく、スーパーに行って、洗濯して、気づいたらまた月曜日になっている。それが日常だ。
恋愛と仕事の両立は無理だった
20代の頃は恋愛もしていたし、結婚を意識したこともあった。でも、司法書士試験の勉強や、開業後の不安定な日々のなかで、自然と恋愛の優先度は下がっていった。今振り返れば、「あの時もっとちゃんと向き合っていれば」と思うこともある。でも、目の前の仕事に精一杯で、余裕なんてなかった。そんなことを言い訳にしていたのかもしれないが、当時は本当に必死だったのだ。
気がつけば「婚活はあとでいいや」が口癖に
30代になってからは、「婚活」なんて言葉もチラついたが、それすらも億劫だった。何よりも、仕事で疲れ果てた週末に、見ず知らずの誰かと会って気を使うのがしんどい。だから、「あとでやればいいや」「タイミングが来たら自然と出会うはず」と、自分を納得させるようにしていた。そして気づけば、45歳。言い訳は増えたが、出会いは減る一方だった。
地方で司法書士を続ける孤独
地方で開業して10年以上が経つ。人付き合いは決して嫌いじゃないが、仕事以外で誰かと話す機会は本当に少ない。友人とは年に数回会えれば良いほうで、日々の会話相手は事務員さんと依頼人くらい。帰宅後は無音の部屋でテレビをつけ、ぼーっとして、カップ麺をすするだけの夜。何か満たされることもなく、ただ一日が終わっていく。
話し相手は事務員さんとお客様だけ
日常の中で会話するのは、ほとんどが業務に関わる内容ばかりだ。「この書類はいつまで?」「登記簿は届いてる?」そんな会話に人間味はほとんどない。事務員さんは良い人で、本当に支えになってくれているけれど、あくまで職場の関係だ。ふとした瞬間、「最近、雑談ってしたっけ?」と自問する自分がいる。そんな寂しさが、胸にじわりと広がる。
飲みに行く相手もいない夜の過ごし方
同業の知り合いはいるが、皆それぞれ忙しくしているし、気軽に飲みに行けるような間柄でもない。学生時代の友人は遠くに住んでいて、会うのも一苦労。だから夜はいつも一人。晩酌すらしない日もある。代わりにコンビニスイーツを買ってみたりするが、それで満たされるわけでもない。ただ時間だけが過ぎていく。SNSを見ると楽しそうな人ばかりで、余計に虚しくなる。
食事が乱れると心も乱れる
カップ麺、冷凍ご飯、レトルトカレー。この3つが私の晩ごはんローテーションだ。栄養バランスなんて無視。野菜が足りないことはわかっているし、塩分の摂りすぎも気になる。でも、改善しようとすると、何かを犠牲にしなければならない。それが“自分のエネルギー”なのだ。心身の不調が増えているのも、食事のせいかもしれないと思いつつ、今日もお湯を沸かしている。
栄養バランスなんて考える余裕はない
一日に必要な栄養素とかカロリーとか、そんなことは分かっている。でも、実際に考えて実行に移すのはハードルが高い。仕事が終わって、ようやく一息ついた時に「さぁ、栄養を考えて料理を作ろう」とは思えない。そんな精神力があるなら、もっと別のことに使いたいというのが本音だ。だから、便利な食品に頼ってしまう。その結果、体調は年々微妙になってきている。
朝はパン、昼はコンビニ、夜はカップ麺
典型的な「食の三重苦」かもしれない。朝は食パンにマーガリン、昼はコンビニで買ったおにぎりとカフェオレ、夜はカップ麺。野菜はどこへ行ったのか。果物なんてしばらく食べていない。この生活を続けていて、健康を語る資格はない。それでも生きていけてしまうから、変えようとしない。このままでいいのかと不安になることもあるが、「今さらどうにもならない」とつぶやいて、また湯を沸かしている。
体調不良と不安がぐるぐる回る
最近、頭が重い日が増えた。疲れが抜けにくい。食事が原因かもしれないと薄々思ってはいる。でも病院に行くほどでもないし、誰かに相談するわけでもない。自己判断で市販のサプリを飲んでみるが、効果があるのかどうかもわからない。気づけば、漠然とした不安が常に頭にこびりついている。こんな毎日を、あと何年続けるつもりなんだろう。
同じように頑張っている人へ
独身で、地方で、司法書士という仕事をしていて、毎日をなんとか生き抜いている人がいたら、伝えたい。「あなたはひとりじゃない」と。私はあなたの苦しみが少しわかる。私も、毎日が戦いで、孤独で、でもやめるわけにもいかなくて、今日も机に向かっている。ただ、生きてるだけで、なんとか今日を終えただけで、それだけで本当にすごいことなんだと、声を大にして言いたい。
一人でもがんばっているあなたへ
誰にも評価されなくても、誰かに頼られなくても、ひとりで仕事を回しているだけで、もう十分に立派だ。自分を責めてしまう日もあるだろう。でも、少なくとも私は、同じように踏ん張っているあなたの存在に、勝手ながら励まされている。だから、今日も無理せず、できるだけでいい。生き延びることを最優先にしよう。
独身でも司法書士でも、生きているだけでえらい
仕事があることも、独りで頑張れていることも、簡単なことじゃない。食事がカップ麺ばかりでも、健康診断の結果が芳しくなくても、それでも生きているならえらい。誰かに褒められることがなくても、自分で自分を少しだけ認めてあげよう。私たちは、もう十分がんばっている。