職業を言うと「それ何?」から始まる

職業を言うと「それ何?」から始まる

司法書士って言うと、まず「それ何?」って返される現実

「職業は司法書士です」と答えると、高確率で「それってどんな仕事?」と返ってきます。最初の頃は丁寧に説明していたんですが、何年経ってもこの反応が変わらないと、さすがに心が折れそうになります。弁護士や税理士のように世間的な知名度がないので仕方ないとは思いつつも、「また説明か…」という溜息が自然と出てしまいます。地味で表に出にくい職業ほど、こういう“説明疲れ”との戦いがあるのだと思います。

説明するのが面倒…でも避けては通れない

実際、「不動産の登記とか、相続手続きとか、会社の登記とか…」と話すと、「それって行政書士の仕事じゃないの?」と聞かれます。いや、違うんですってば…。しかもそれを飲み会のたび、初対面の人に毎回説明する羽目になる。仕事終わりにお酒くらい気楽に飲ませてほしいと思いながら、また“登記とは何か”という話を繰り返す羽目になるんですよね。これがけっこう、地味にメンタルを削ってくるんです。

「弁護士とは違うんですよ」と何度言ったか

「じゃあ弁護士さんみたいなもん?」って聞かれるんですが、それもまた違うんですよね。司法書士には司法書士の専門分野があるし、裁判所に出せる書類だって限られてる。でも、一般の人にはその違いがピンとこない。だから「まあ、似たようなもんです」って苦笑いで済ませることもあります。内心はモヤモヤしながらも、いちいち正す元気も残ってないんですよ。こっちは仕事でヘトヘトですから。

市民にとっての“知られざる職業”のつらさ

司法書士って、たぶん普通に生きていたら一生接点がない職業なんでしょうね。だからこそ、知名度もないし、説明もされない。でも、私たちは人生の節目に関わる大事な手続きに携わっているんです。家を買う時、親が亡くなった時、会社を立ち上げる時…。その大事な場面で「この書類、間違えたらまずいな」と緊張しながら仕事してるのに、それを「何やってる人か分からない」と一蹴されるのは、正直つらいものがあります。

親戚の集まりでも肩身が狭い

「今どんな仕事してるの?」と親戚に聞かれるたびに、また同じ説明を繰り返す。もう何年も司法書士やってるのに、「あれ?それって行政書士じゃなかったっけ?」と言われたりして、ため息が出ます。しかも、年配の親戚からは「資格取っても稼げないんじゃ意味ないわな」みたいなことを言われたり…。分かってないくせに言うんじゃないって、心の中で毒づきながらも、笑ってごまかすのが精一杯です。

「あんたの仕事って結局何してるの?」

親戚の中でも特におせっかいなおばさんが、「じゃあ、どうやって生活してるの?」「月にどのくらい収入あるの?」と踏み込んできます。そんなの言えるわけないじゃないですか。しかも、司法書士って波がありますから、月によって収入も違う。だから余計に誤解されやすい。「忙しいわりに儲かってないのね」と言われたときは、さすがにムッとしました。こっちは寝る間を削って働いてるのに、見た目だけで判断されると堪えますね。

正月の度に自己紹介をやり直すむなしさ

正月になると、親戚一同が集まり、「あんた今なにやってるの?」と始まる。いや、去年も説明しましたよね?と思いながら、今年も同じ説明。たまに「司法書士って国家資格なの?」と聞かれて、「はい、そうです」と答えると、「へえ~意外とちゃんとしてるのね」と言われたりして、こっちの自尊心はもうズタボロ。こんな仕事してても、誰にも分かってもらえない。そういうむなしさ、ありますよ。

ネームバリューはないけど、やってることは重たい

世間的には地味な職業だけど、実際にはとんでもなく責任重大。登記一つミスれば、お客様の損害は計り知れないし、訴訟になればこちらもタダじゃ済まない。だけどそれを分かってもらえることは少ない。飲み会で名刺を出しても、「へえ、そんな仕事あるんだ」程度で終わってしまう。地味なうえに知られてもいない職業、それが司法書士です。

不動産登記、遺産整理、裁判所提出書類…

扱っている案件は軽くありません。たとえば不動産登記なら、数千万~数億の物件に関わる。遺産整理なら、相続人同士の関係がこじれた地雷のような案件も珍しくない。裁判所提出書類は、不備があれば補正、場合によっては却下。責任もプレッシャーも大きいけれど、それを言ってもなかなか伝わらない。「大変ですね」では済まされない現場で毎日戦ってるんです。

人の人生を左右する書類の重み

ひとつひとつの書類に命が宿っているような感覚です。特に遺産分割協議書などは、兄弟姉妹の仲が壊れるかもしれないし、親族間で訴訟になるリスクもある。そんな中で「公平に、法的に問題のない形でまとめる」ことが求められる。言葉を間違えればトラブルの火種になる。だからこそ、一言一句に神経を使います。だけど、それを周囲に言っても「ただの書類仕事でしょ?」と受け取られる。しんどいですね。

それでも「それって行政書士の仕事?」と言われる日常

「書類のことなら行政書士に頼めばいいんじゃない?」と無邪気に言われたことがあります。そのたびに「いや、それは違う」と説明する。でも、相手には伝わらないし、興味もない。これって、自分の仕事が社会にちゃんと認知されてないってことなんですよね。自己肯定感、削られます。もっと社会的な地位や認知が上がればいいのに…と心の中でぼやく毎日です。

独身司法書士、日々の孤独と向き合う

45歳独身。地方都市の片隅で事務所を構え、事務員さん一人と黙々と仕事をこなす日々。誰かと楽しく会話することもほとんどなく、黙々とパソコンに向かうか、電話対応か。お昼ごはんはスーパーの弁当、夕食はカップ麺。寂しいとか、そういうレベルじゃないんです。虚無、です。

職場での会話は事務員さんとのみ

唯一の話し相手は事務員さん。でも、忙しいときにはそれすらも最小限。「これ入力しといてください」「この書類、明日までです」みたいな業務連絡だけ。雑談なんてとんでもない。たまに「先生、最近どうですか?」と聞かれて、「生きてます」って答えるしかない。事務所なのに、まるで無音の山小屋のようです。

帰宅後はコンビニ弁当と静寂

家に帰ってもテレビの音しか聞こえない。スマホを開いても誰からも連絡はない。マッチングアプリももう諦めました。誰かと食事に行く予定もなければ、話す相手もいない。司法書士ってモテないんですよ、ほんとに。稼げそうに見えないし、地味で、分かりづらい。魅力ゼロ。それでも毎日仕事はある。このギャップ、けっこうきついです。

誰にも理解されない仕事のストレス

誰かに「今日の案件、大変だったんだよ」と話しても、内容が伝わらない。専門用語を噛み砕いて話しても、「へえ…大変ですね」と興味なさそうなリアクション。ああ、やっぱりこの仕事って、話しても無駄なんだなって思います。だからどんどん話すのをやめて、また黙って、独り言だけが増えていく。気づいたら、笑うことも減ってるんですよね。

それでも辞めないのは、依頼者の「ありがとう」があるから

それでも、たまに「先生、本当に助かりました」と言われる瞬間がある。その一言のために続けているんだと思います。全然モテないし、地味だし、説明も面倒だけど、人の人生の大事な瞬間に、少しでも役に立てたと実感できる。それだけで、明日もまたパソコンに向かう気力が湧いてきます。報われないことばかりだけど、それでも辞めずにいる理由、そこにあるのかもしれません。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。