気がつけば今日もまた領収書探しから始まる朝
司法書士の仕事って、意外と細かいんです。いや、細かいことだらけと言っても過言じゃない。朝、コーヒーを飲みながらデスクに向かって、まずやるのが領収書のチェック。これが地味に一番気が重い。ひとつでも足りないと、そこから調査、連絡、確認。まるで行方不明者捜索みたいな始まりです。どこにやったか全く記憶にない。たしかにあの日ガソリン入れたんだけど、そのレシートが…ない。こうして今日も、「あれ、俺の記憶、どこやったっけな」と自問するところからスタートします。
書類より先に気力がなくなる瞬間
山のような登記書類には、まだ希望がある。進めば終わるし、スケジュールも立てられる。でも領収書は違う。「あるはずのもの」がない。この不確かさに翻弄されるのが、本当に嫌になる。気持ちのスイッチが入る前に、ため息が3回くらい出る。事務員さんが「これ、今月分です」と差し出してくれた封筒を開けたら、なぜか税理士の分だけ抜けてたりして。なんでこの仕事、こんなに神経をすり減らすんだろう、と虚空を見上げる毎日です。
請求書は届くのに領収書は迷子
不思議なことに、請求書はきっちり届くんですよ。日付も金額も明記されて。なのに領収書はどこかに行ってしまう。あの時の打ち合わせ、カフェでの飲み物代、絶対払ったのに証拠がない。この「証拠がない」のが司法書士にとって一番まずい。なんとなく、領収書って請求書に比べて軽視されてる気がするんです。お金を出した方なのに、証明できないなんておかしいと思いませんか。ほんと、こっちが泣きたくなりますよ。
デジタル化の波に乗れない小規模事務所の悲哀
正直に言います。うちの事務所、まだ紙文化から完全に脱却できていません。スキャンしてクラウド保存すればいいって分かってはいるんです。でも忙しい毎日の中で、スキャンする時間すら惜しい。気づいたらレシートは財布の中でくしゃくしゃ。時にはズボンと一緒に洗濯して、パルプ化して帰らぬ姿に…。そうなると、もはや領収書ではなくなります。デジタルの便利さは憧れるけれど、現実は紙との格闘の日々です。
領収書の束に埋もれて分からなくなる優先順位
目の前に山積みの仕事があるのに、ふと気づくと領収書の確認に追われてる。そんなこと、ありませんか?この地味な作業が優先されてしまう時点で、もう予定はぐちゃぐちゃ。締切のある申請よりも、「このレシート、どの案件だったかな」と唸る作業に時間を取られる。自分の中の優先順位が崩れ、焦りと自己嫌悪が募る。仕事をしてるはずなのに、仕事が進んでいない感覚に苛まれます。
今日中に処理したい仕事ができない現実
本当は午前中に終わらせるつもりだった登記の申請書。書類の確認も済んでいたのに、経費処理で手が止まった。「この出費、どのクライアントの訪問時だっけ?」と過去の予定を漁り始め、気づけば昼を過ぎていた。こういう日、月に何度かあります。集中したいのに集中できない、ただただ思い出すことに神経をすり減らす。これって業務じゃなくて、記憶の修復作業ですよね。
事務員との無言のチキンレース
うちの事務員さん、優秀です。でも、こういう時だけはお互いが牽制しあってる感じ。僕が「これ、○○のレシート入ってないよね?」と聞くと、「先生があの時受け取ってたかと…」と返ってくる。どっちが悪いとかじゃなくて、誰かがやってると思ってた案件って、だいたい誰もやってない。お互い無言で「あー、あれね…」という空気を出しながら、気まずい沈黙を共有する時間。あれが一番疲れます。
これも領収書で落ちますかの無限ループ
「この支払いって経費になりますか?」っていう質問、たしかに必要なんです。でも、何度も何度も出てくると、正直、ぐったりします。こっちは「またそれか…」と思ってるし、相手も「何度も聞いてすみません…」という顔。結局、誰かが判断しないといけないし、その判断は毎回微妙なライン。ああ、これが自動化できたらどれだけ楽か。AIに聞いて決まればいいのに、と思いながら今日も手入力しています。
たった一枚足りないだけで崩れる計算
全部揃っているつもりだった領収書。月末の帳簿を確認していたら、なぜか1件だけ足りない。しかも金額が大きい。そうなると一気に帳尻が合わなくなる。どこかで計算が狂ってる。数字が合わないって、司法書士にとっては致命的。1枚の紙切れに振り回されて、数字とにらめっこ。地味だけど心が削れる瞬間です。そこにあるはずの証拠が、どこにもない。それが一番怖い。
経費精算の地味なプレッシャー
世の中にはもっと華やかな業務がある。契約書作成、立会い、相談業務。でも、経費精算だけは誰も褒めてくれないし、感謝もされない。ミスがあれば指摘されるだけ。それでも毎月、地味に積み重ねていくしかない。まるで草野球でノーヒットノーラン目指してる感じ。目立たないけど、確実に結果を出さないと意味がない。誰に見られていなくても、黙々と積み重ねるしかない仕事です。
後悔はいつもゴミ箱の中
思い出すのは、あの時の昼食後。レシートをポケットに入れた記憶はある。でも、午後に書類整理をしていた時、ゴミ箱に何かを捨てた気がするんです。あれが…そうだったかもしれない。今さら探しても、すでに事務所のゴミは市の回収に出されてる。後悔しても遅い。こんなことを月に一度は繰り返している自分に、ため息しか出ません。
それでも捨てられないコンビニのレシート
だからこそ、財布の中はレシートだらけ。使ったか使ってないか分からないコンビニのレシートまで、とにかく取っておく。もう使わないことが分かってても、捨てられない。過去の失敗が染みついてるんです。元野球部で言えば、エラーした後の守備みたいなもの。「もう二度とやらん」と言いながら、同じプレーに怯えてる。それが領収書への不安なんです。
それでも集める理由は誰かの信頼のため
面倒くさい。嫌だ。やりたくない。だけど、やらないといけない。それが司法書士の責任でもあるんです。領収書があることで、数字に裏付けができる。それは、依頼者に対する信頼でもあるし、自分自身の信用でもある。たかが紙切れ。されど信頼の礎。そう思って、今日もレシートを探す。心はボロボロでも、信用だけは守りたい。それが、僕の中の譲れない線なんです。
めんどくささの向こうにある安心感
すべての領収書が揃った瞬間、心からホッとする。数字がピタッと合った瞬間の気持ちよさ。それは、試合でピッチャーに三振取られた悔しさじゃなくて、ギリギリの守備でアウト取ったときの安堵に近い。「ああ、今日はやり切った」そんな感覚。誰にも見えない努力だけど、自分にはわかる。それだけで、また一歩前に進める。
司法書士だからこそズルはしないの矜持
「まあ、これくらいは…」と思いたくなる瞬間はあります。でも、それをやったら終わりなんです。小さなごまかしは、あとから自分に返ってくる。だからこそ、僕はめんどくさくてもちゃんとやる。それが司法書士としての仕事だと思うし、自分自身に恥じない働き方でありたい。信頼って、そうやって積み重ねるものだと思ってます。
昔の監督の一つ一つの積み重ねだぞの声が聞こえる
高校時代、野球部の監督によく言われた言葉があります。「一つ一つの積み重ねだぞ」。今思えば、それって仕事にも通じてるんですよね。レシート一枚の管理も、依頼者への信頼の積み重ね。誰かの人生に関わるこの仕事をやる上で、小さなことを疎かにできない。それがどんなに面倒でも、やらなきゃいけない。だから今日もまた、財布の中のレシートとにらめっこしています。