自分を責めすぎた日心に余裕がなくなった朝に思ったこと

自分を責めすぎた日心に余裕がなくなった朝に思ったこと

自分を責めすぎた日心に余裕がなくなった朝に思ったこと

朝から胸が苦しい理由は誰にも言えない

寝起き一発目、まだ目も開かないうちから、なぜか胸がズーンと重たい。夢見が悪かったわけでもない。ただ「今日もまた始まるんだな」と思うだけで、疲れてしまう。この感覚、分かる人は分かると思うけど、誰かに説明するのは難しい。司法書士という仕事柄、日々の業務は積み重なり、誰かが肩代わりしてくれることはない。責任感は強いほうだと自分では思っているけれど、ふとした瞬間に「全部投げ出したい」とさえ感じてしまう。

目が覚めた瞬間から「今日もダメかもしれない」と思った

「もう少し寝たい」と思うよりも、「今日もうまくいかない気がする」と感じる朝は、なかなか立ち直れない。たとえば、朝イチで登記のミスを見つけてしまった日の記憶が、目覚めと同時に蘇ってくる。そうなると一日のスタートがネガティブに染まってしまう。「あのとき、もっと注意していれば…」という自責が、頭の中でリフレインする。これがクセになっていて、日々の小さなミスにも必要以上に心をすり減らしてしまう。

事務所のドアを開ける手が重たかった

鍵を差し込む手が震えるわけじゃないけれど、「このドアの向こうに、今日もトラブルが待っているかもしれない」と思うと、ドアノブがやけに重く感じる。事務員に明るく挨拶しなければと、顔だけは作る。でも心の中では、「また何か怒られるかも」「また何か忘れてるかも」と怯えている。そんな自分に対しても、「男のくせに情けない」と、さらに責めてしまう。まるで自分の中にもう一人の厳しい上司がいるみたいだ。

自分を責める癖はいつから始まったのか

昔から完璧主義なところがあった。子どものころから、「間違えること=恥ずかしいこと」と思っていた節がある。野球部時代もエラーひとつで何日も落ち込んでいた。司法書士になってからも、それは変わらなかった。むしろ、他人の人生や財産にかかわる仕事だけに、その癖は強まってしまった気がする。誰かに怒られたくない、誰にも迷惑をかけたくない。そんな思いが、いつの間にか「失敗=悪」という思考に変わってしまった。

「ちゃんとしなきゃ」の呪い

毎朝、「今日はちゃんとやろう」と思って出勤する。それは一見ポジティブな意志に見えるけれど、実のところは「昨日の自分はダメだった」という前提があるからそう思ってしまうのかもしれない。「ちゃんとする」ことが習慣化されるのではなく、「ちゃんとできなかった自分」を否定し続ける日々の連鎖。気づけば、自分に対して優しい言葉をかけることがなくなっていた。

元野球部の名残か責任感が暴走する

野球部時代は、エラーをすれば罵声が飛んだ。怒鳴られるたびに「二度と間違うまい」と強く誓っていた。あのころの感覚が、いまだに抜けきらない。今では誰も怒鳴らないし、自分で自分にプレッシャーをかけているだけ。でも身体が覚えてしまっているのか、少しの失敗にも反応してしまう。そして、「こんなこともできないのか」「それで司法書士か」と心の中で自分を叱責する。

些細なミスが頭の中でループする

提出先の担当者から「印鑑が間違ってますね」と言われた一言が、夜まで頭の中をぐるぐる回っている。訂正すれば済む話だし、誰にでもあるミスだと理性では分かっている。でも感情が許してくれない。「なぜあのとき確認しなかった」「あの程度のことも気づけないなんて」…。気づけば一日中、そのミスを咀嚼しては自分を責めるループ。夜になると疲れ果てて何も手につかなくなる。

優しさと自己否定は紙一重かもしれない

周りから「優しいですね」と言われることはある。でもその優しさは、怒りを外に出せないだけかもしれない。本当は怒りたかった出来事も、全部自分の中で飲み込んできた。その反動で、自分に対してだけはやたらと厳しくなってしまっている。外には出さないからこそ、内側に澱のように溜まっていく自己否定。まるで、自分という容器にストレスを詰め込んでいるようだ。

怒れないから自分に向ける感情

依頼者の無理な要望や、理不尽な対応に対して、「怒ってはいけない」と抑えてしまう。その場は穏便に済ませられるけれど、モヤモヤはどこかに消えるわけではない。その怒りや悔しさは、自分に向かって「だからお前が悪いんだ」と変換されてしまう。そんなことを繰り返しているうちに、少しずつ自信をすり減らしてしまった。

事務員の前ではニコニコしてしまう

事務所では、雇っている事務員に余計な不安を与えたくないと思って、なるべく明るく振る舞っている。でも、無理して笑っていると、その反動があとで一気に来る。仕事が終わって事務所を出た瞬間に、どっと疲れが出て、ため息が止まらなくなる。誰かに「今日しんどかった」と言える相手がいれば少しは楽なのかもしれないが、そういう関係もない独身の身では、ひとりで全部抱えるしかない。

でもその裏で「もっとやれたはず」と繰り返す

笑顔で仕事を終えても、「あの件、もっと丁寧にできたんじゃないか」「気づかないふりをしていたんじゃないか」と反省が始まる。しかもそれが夜まで続くから、気持ちの切り替えができない。「今日はこれでよし」と自分にOKを出せない日々は、本当にしんどい。たまには、自分で自分をほめてあげるくらいの余裕がほしい。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。