LINEを開くと全部仕事だった日々

LINEを開くと全部仕事だった日々

LINEが通知するのは業務連絡ばかり

昔はLINEといえば、友人との雑談やたわいもないやりとりが中心だった。けれど今や、通知が鳴ればほぼ確実に「登記」だの「契約書」だの仕事の話。うちの事務所は小さいから、連絡の効率を考えるとLINEが一番便利なのは確かだ。けれど、朝起きて最初に見るのが「司法書士先生、お世話になります。至急お願いしたい件がありまして…」では、さすがに気が滅入る。個人事業主だからこその悩みなのかもしれない。

スタンプも絵文字も消えたLINE

気づけば、自分の送信履歴にスタンプや絵文字が全くない。業務上、やりとりは丁寧に簡潔に。自然と、感情のかけらもない定型文ばかりが並ぶようになった。以前はちょっとした冗談を送ることもあったのに、今は「承知しました」「添付いたします」のオンパレードだ。

朝一番に届くのは「登記どうなりましたか」

朝の7時前に「登記の進捗どうなってますか?」と来るLINE。早すぎるだろ、と思いつつ、つい既読をつけてしまう自分がいる。「朝イチで確認したくて」と言われれば反論もしづらい。こちらとしては、朝ごはんを食べる前くらいは脳を仕事モードから切り離したいのだが、それも許されないらしい。

せめて「おはよう」くらい欲しい気持ち

「登記どうなりましたか」だけ送られてくると、こちらも機械のような対応になってしまう。せめて「おはようございます」と一言あれば、こちらの気持ちも少しは違う。挨拶がなくなったLINEに、人間味が消えていく気がして寂しいのだ。

土日のLINEが一番気が重い

一応「土日はお休み」と決めている。でも実際には、土曜の昼にも「この件、月曜朝イチで対応できますか?」と送られてくるLINEがポロポロ入る。通知オフにすればいいじゃないかと思うかもしれないが、顧客対応の遅れは信頼に直結するので、無視もできない。

「急ぎです」って書けば何でも許されるのか

「急ぎです」と言われれば、つい対応してしまう。けれど、よく見ると急ぐ必要がない内容だったりする。お客様にとっての「急ぎ」と、こちらのスケジュールは別物なのに、いつの間にかそれに振り回されている。自分の時間の境界線が、どんどん曖昧になっていく。

プライベートとの境界線はどこにあるのか

一人で事務所を切り盛りしていると、仕事とプライベートの境界が本当にあいまいになる。特にLINEは個人用と業務用を分けていないため、昔の友人からの連絡も、今の依頼人からの業務連絡も、同じタイムライン上に流れてくる。気を抜く瞬間が減っていく感覚だ。

自分から断ち切らなきゃと思いつつ

「LINEやめればいいのに」と言われたこともある。でも、仕事の多くがLINEで入ってくる今、やめるのは現実的じゃない。既に「LINEで連絡ください」とお願いしている顧客も多い。便利さと引き換えに、気持ちの切り替えができない状態が続いている。

でも既読無視も怖いという矛盾

既読をつけたら返さなきゃ、という圧力がある。でも、未読のままだと「見てくれてないのか」と不安にさせてしまう。そのジレンマに挟まれて、日曜の夜に気が重くなっていく。自分のメンタルを守る方法がわからない。

独身だからこそ頼られるという地獄

「独身だから時間あるでしょ」そんなふうに思われてる気がしてならない。家族がいれば「子どもが熱を出して」とか「今日は家族サービスで」と言えるけど、独身の自分にはそれがない。「今日いけますか?」という連絡に、断る理由が見つからない自分が情けない。

どうせ暇でしょと思われてる感覚

自分で選んだ独身生活ではあるけれど、「暇そうに見える」というのはなかなかつらい。実際はやること山積みで、どこにも遊びに行けない状態なのに、外からは「融通きくでしょ?」という目で見られている。そのギャップに、ため息しか出ない。

こっちだって風呂くらい入りたい

20時過ぎにLINEで急ぎの連絡が来て、「今、対応できますか?」と言われたときはさすがにイラッとした。風呂くらい入らせてくれ。もう出たけどさ。しかも対応したことに対して「すみません」も「ありがとう」もないと、自己嫌悪と怒りが入り混じる。

誰かと夕飯を食べる予定がないだけ

「どうせ一人でしょ」と言われたことがある。確かにその通り。でも、一人でいる時間にも、自由に過ごしたいという気持ちはある。予定がない=暇、ではない。そんな風に見られてしまうのは、独身者のつらい宿命なのかもしれない。

女性からのLINEはゼロで業者ばかり

ふと気づいたら、ここ1ヶ月LINEで連絡をくれた女性は「司法書士事務所の○○ですが」と名乗る事務員さんか、不動産会社の営業担当ばかりだった。学生時代の友人とのやりとりも、次第に減っていく一方。LINEを開いて、どこを見ても「仕事」の二文字ばかり。

「契約書まだですか」って気軽に言うけど

「契約書、今日中にお願いできますか?」とLINEで気軽に言われるけれど、そこにかかる作業は思ったよりも重い。特に確認や法令チェックが必要なものは、時間も精神力も使う。それをLINE1行で済まされると、虚しくなる。

あなたにとっては一通 こっちは百通

依頼者にとっては1件のやりとりでも、自分にとっては同時に複数の案件が動いている。そのうちの一つ、という感覚で送られてくるLINEが積もりに積もって、気づけば一日中スマホにかじりついている。返信しても返信しても終わらない。

解決策はあるのか いや多分ない

ここまで書いておいてなんだが、これといった解決策は正直思いつかない。便利さと効率のためにLINEを使っているのは自分だし、そのおかげで成り立っている部分もある。でも、日々の心の余裕が削られているのもまた事実なのだ。

LINEをやめればいいという話じゃない

LINEをやめることができれば楽だ。でも、現実には無理だ。顧客の大半がLINEで連絡をくれる今、それを遮断すれば業務に支障が出るし、新規依頼も逃してしまう。だからこそ、自分で線を引かなきゃいけないのに、それが難しい。

お客様がLINEを使ってくる以上抗えない

「メールでお願いします」と伝えても、「急ぎなのでLINEでもいいですか?」と返される。結局は相手のペースに合わせることになる。断ると「対応が遅い」と思われるし、受け入れると自分が消耗する。このジレンマからは抜け出せない。

電話よりマシかもと思い込もうとする日々

せめて「電話じゃないだけマシ」と自分に言い聞かせている。電話ならその場で対応を迫られるけど、LINEなら1分は考えられる。けれど、通知が鳴るたびにビクッとするようになってしまった今、その理屈にも限界があると感じている。

愚痴を言う場所があるだけマシかもしれない

こうやって文章にして吐き出せるだけでも、まだ救われているのかもしれない。もし自分が一言も愚痴を言えない環境にいたら、もっとメンタルが壊れていただろう。だからこそ、同じように疲れてる人に「わかるよ」と言いたい。

野球部時代のグループLINEが唯一の癒し

昔の野球部の仲間が送ってくる「今度草野球やろうぜ」のLINE。これだけが唯一、仕事以外の通知として残っている。返信もできていないけれど、あの気軽なスタンプとどうでもいい話題が、今の自分には一番ありがたい。

「久しぶり」って言われるLINEが懐かしい

誰かからの「久しぶり、元気?」というメッセージを、最後にもらったのはいつだろう。仕事の連絡じゃない、ただの雑談。そんなやりとりがLINEに戻ってくる日は、もう来ないのかもしれない。そう思うと、ちょっとだけ泣きたくなる。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。