一見、普通の案件。でも心が重くなる瞬間
「ああ、またこのパターンか」。そんなふうに思う案件ってありませんか?登記内容は単純なはずなのに、なぜか気が重い。書類を開いただけで、なんとも言えないモヤモヤが押し寄せてくる。自分にしかわからない“案件の空気”ってやつです。しかも、その空気って、意外と的中する。最初の印象が悪いと、だいたい最後まで引きずるんですよね。これ、私だけでしょうか。
「またこのパターンか」と思った瞬間に湧き上がるため息
電話口の第一声で「あ、これは長引くな」と予感する。依頼者の話す口調、書類の揃い具合、謎のこだわりポイント――それらが重なってくると、胸の中にため息のタンクが溜まってくるんです。例えば「とにかく早くやってください」と言っていたのに、戸籍が一部抜けてるとか。なんで急ぎなのに一番大事な書類がないの?って話。これが月に3件も重なると、冗談抜きで胃がキリキリしてくるんですよ。
形式的な作業に見えて実は複雑な地雷
登記の仕事って、外から見れば決まった流れの作業に見えるかもしれません。でも実際には、依頼者の事情や背景、下手すると感情まで読み取らないと地雷を踏みます。例えば、「相続人は兄弟だけです」と言われたのに、戸籍たどると隠し子の記録が出てきたことがありました。それをどう伝えるか、誰にどこまで説明するか、ものすごく気を遣います。書類の整理じゃなくて、人間関係の爆弾処理みたいな感じなんですよ。
油断して手を出すと時間だけが奪われる
「まぁ簡単そうだからサッとやっておこう」と軽い気持ちで手を出したら、結果的に他の業務に支障が出た、なんてこともよくあります。予想外の書類の不備、依頼者の気まぐれな要求、法務局とのやりとりのズレ…。地味に時間を食われて、気づいたら丸一日終わってるんです。事務員さんも「まだ終わってないんですか?」みたいな顔をする。でもこれ、私が悪いのか?って思うわけです。誰かに代わってほしい、それが本音。
依頼者の事情に振り回される恐怖
依頼者に悪気はないんです。でも、「急ぎます」と言っておきながら3日間音信不通になるとか、「これで全部です」と渡された書類に重要なページがごっそり抜けているとか、よくある話です。しかも、そういう案件に限って「まだですか?」と急かしてくる。こっちは不完全な情報で動けないって何度説明しても、伝わらない。時間も精神もゴリゴリ削られて、夜中に「あの人からまた電話きてたらどうしよう…」って夢を見ることもあります。
感情の波に呑まれると業務どころじゃなくなる
依頼者の感情に飲み込まれると、もはや事務処理ではなく“対応”のフェーズに入ってしまいます。電話口で泣き出す人、怒鳴りつけてくる人、不安で毎日電話してくる人…。こちらは中立でありたいと思っていても、やっぱり感情は揺さぶられます。特に一人事務所だと、その対応すべて自分ひとりで抱えるわけですから、そりゃ参ってしまいますよ。感情の波に耐えながら正確な業務をこなす…そんな自分を、時々ほめたくなります。
「代われるなら代わってほしい」と口に出せない理由
心の中では「誰かこの案件やってくれ」と何度も叫んでるのに、実際には口に出せない。なぜかというと、代われる人がいないからです。責任も判断も全部自分。これが司法書士の孤独です。仮に同業の友人がいても、案件の細かい経緯をすべて伝えて代わってもらうなんて現実的じゃない。だから、どんなに重くても、どんなに嫌でも、結局は自分でやるしかないんです。
司法書士の責任感と妙なプライド
「やっぱり最後まで自分でやらなきゃ」。そんな妙なプライドがあるのも事実です。失敗したとき、クレームが来たとき、それが誰かのせいになるのが嫌なんです。全部自分の責任にしたほうがスッキリする。だけどそれが、負担を増やしてるってことにも気づいてます。でも、やっぱり任せられない。このジレンマに毎回苦しむんですよね。
頼れる人がいない現実
一人で事務所をやってると、本当に誰にも頼れないんです。事務員さんはいるけれど、法的判断が必要なところは任せられないし、そもそも仕事の重さが違う。他士業との連携も、よほど信頼関係がないと難しい。いざというとき、電話一本で「これお願い!」って言える相手がいる人は、本当にうらやましいと思います。
事務員には頼めない領域の壁
うちの事務員さんは真面目でよくやってくれている。でも、やっぱり責任を伴う判断は任せられない。委任状の書き方一つでも、誤解があると後で問題になるし、法務局との会話も微妙なニュアンスを読み取る必要がある。だから、つい「もう自分でやるしかない」と抱え込んでしまう。結果、疲弊して愚痴ばかりになってしまうんですよね。
結局、自分でやるしかない宿命
最終的に、「まぁ、俺がやるしかないよな」というところに落ち着く。代わってくれる人がいても、自分の思った通りに動いてくれるわけじゃないし、説明する手間の方がしんどい。だったら、面倒でも自分で片づけた方がマシ。そうやって今日も、誰にも言えない“代わってほしい”案件を抱えて、一人静かにため息をつく日々が続くのです。