気づいたらまた補正通知

気づいたらまた補正通知

補正通知、また来た…という絶望

司法書士の仕事をしていると、避けて通れないのが「補正通知」。いわば“法務局からの赤ペン先生”のようなもので、提出した登記申請に不備があると戻ってくるアレだ。朝メールを開いて「あ、また来たな」と分かった瞬間、胃のあたりがズーンと重くなる。この感覚、ベテランになっても一向に慣れない。完璧を目指しても、何かが足りなかったり、法務局の「独自判断」で修正を求められたり…。ひとつの補正通知で、その日一日が台無しになることすらある。

朝イチで補正メールを開くと胃が痛くなる

まるで嫌な結果が待つ健康診断の結果を見るような気分だ。メール件名に「登記申請の補正について」とあるだけで、気が重くなる。コーヒー片手に気合いを入れて開封するが、「どこが?」という指摘に目をこすりながら再確認。結局、自分で探し出さないといけない。「不備の箇所は〇〇です」と丁寧に書いてあることは稀で、「添付書面の内容をご確認ください」とだけ。いや、それが分かれば苦労しないんですけど。

「またか」と「どこが?」の二重苦

補正通知が届くたびに、「また自分がやらかしたのか」と落ち込む一方で、「え、これもダメなの?」という理不尽さにも苛まれる。例えば、同じ書式で前回は通ったのに、今回は補正。担当官によってルールが違うのかと疑いたくなる。この“どこがいけなかったのか”の探し当てゲームは、地味に時間も精神力も削ってくる。まさに「ダブルパンチ」。一度や二度ならまだしも、週に何回もとなるとさすがに心が折れる。

補正通知の原因って何?

補正通知には当然ながら原因がある。でもその原因が、自分のケアレスミスなのか、法務局の“ご機嫌”によるのか、判断がつかないことも多い。もちろん明らかなミスもあるけれど、そうでない場合も多く、どこまでがこちらの責任なのか不明瞭。だからこそ、補正通知は精神的にこたえる。

こちらのミス?法務局の指摘のクセ?

書類の記載漏れや日付間違いなど、明らかなミスなら素直に反省できる。でも、法務局ごとの“独自の判断”で補正されることもある。「この添付書類、こっちの法務局では不要だったけど、そっちでは必須なんですか?」と突っ込みたくなるケースも多い。同じ県内でも支局によって対応がバラバラ。もはや“運”の要素があるのでは、と疑いたくなる。

入力間違い:うっかりが命取り

急いでいるときに限ってやってしまう、数字の入力ミスや名前の変換ミス。「山田」さんが「山本」になっていたり、「令和5年」が「令和3年」となっていたり…。単純なミスなのに、補正通知で返されると自分がとても無能に思えてくる。1分で直せる内容なのに、補正対応としては数時間かかることもあり、やるせなさだけが残る。

法務局独自ルール:書いてないけど常識?

申請書類の書式は全国共通のはずだが、実際はそうじゃない。法務局ごとに「うちではこうしてほしい」という“慣例”がある。書いてないけど常識、みたいなもの。初めてその法務局に出すと、まるで新入社員のように「これは常識でしょ?」と注意される気分になる。法律じゃなく“暗黙のマイルール”に振り回されるのが、補正通知の辛さの一端だ。

「前も同じこと言われた気がする」の再来

何度も経験していると、補正通知を見るたびに「これ、前も同じところで引っかかったな…」と deja vu に陥る。メモを見返すと、確かに書いてある。でも毎回違う案件で、毎回違うパターンで起こるから、頭に定着しない。気づいたらまた同じ指摘を受けて、「自分、成長してないなぁ…」と落ち込むのもセットだ。

補正対応のタイムロスと精神的疲労

補正対応に追われると、本来進めたい業務が滞る。登記の流れもスケジュールも狂うし、なにより自分の気分が沈む。事務所の中もどんよりした空気になり、事務員さんにも申し訳なくなってくる。ほんの数行の訂正でも、その影響は小さくない。

急ぎの案件が後回しになる矛盾

「今日中に処理したい」と思っていた案件を止めて、補正対応に時間を使う。その間にも新しい依頼は来るし、電話も鳴る。どれも大事な仕事だけど、優先順位がぐちゃぐちゃになる。急ぎ案件ほど、こういう時に限ってタイミングよく補正通知が届く。何とも皮肉だ。まるで“現実逃避するな”と言われているような気さえしてくる。

お客さんに説明する気まずさ

補正通知が来たことを依頼人に伝えるのも、なかなか気まずい。「実は少し書類に修正が必要でして…」と伝えるたびに、自分の信用が少しずつ削られているようで心が痛む。相手が理解のある方ならまだいいが、せっかちな人だと「あれ、もう終わったって言ってたよね?」と詰められることも。正直、何度も味わいたくない瞬間だ。

対策しても減らない補正通知

補正を防ぐために、事務所内ではチェック体制も強化している。チェックリストを作って、毎回ダブルチェックもしている。でも、それでも補正通知はゼロにはならない。自分でも嫌になるくらい、完璧が遠い。

チェックリストを作っても漏れる現実

「これで完璧だろう」と思っていても、必ず何かしら抜けがある。どれだけ項目を細かくしても、想定外のパターンが出てくる。結局、ルーチンワークではないのが登記業務の難しさ。人がやる以上、見落としはゼロにできない。そう言い訳しながらも、また同じような補正通知を受け取って、自己嫌悪に陥る。

確認してるのに抜ける、老化か?

以前なら見落とさなかったところを、最近はスルーしてしまうことがある。確認しているのに、頭に入っていない。もしかして、加齢のせいか?と不安になる。老眼のせいで数字の見間違いも増えた。年齢には逆らえないとはいえ、仕事でミスを重ねると「もう引退したほうがいいのか」とまで考えてしまう。

事務員さんにも限界がある

補正対応は一人でやっているわけではない。うちの事務員さんも一緒にやってくれているけど、当然ながら人手も時間も限界がある。手が回らないこともあるし、彼女だって間違えることもある。全ての責任を一人で背負うのも違うけれど、やっぱり最終責任は自分。だからこそ、余計にしんどい。

結局、補正通知はなくならない?

どれだけ注意しても、どれだけ対策しても、補正通知はやってくる。もはや“職業病”として受け入れるしかないのかもしれない。悲しいかな、これも司法書士のリアルである。

AIにも予測できない法務局のクセ

AIが進化すれば補正は減ると思っていたが、どうもそう単純じゃない。ルールがあいまいな部分ほど、AIは判断に迷う。結局、“法務局の人間的判断”の壁にぶつかる。人間がやる仕事だからこそ、人間にしか分からないクセがある。AIじゃまだまだ太刀打ちできない世界。それが補正通知の厄介さでもある。

完璧な書類って本当に存在するのか

補正通知が来るたびに、「じゃあ完璧な書類って何だろう」と考えるようになった。もしかすると、100点満点の書類なんて存在しないのかもしれない。目指すのは当然だけど、届かないことも受け入れながらやっていく。それが今の自分にできること。今日もまた、補正通知とにらめっこしながら、コツコツと修正作業をしている。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。