営業って結局どうするのが正解?

営業って結局どうするのが正解?

営業が苦手な司法書士が抱える「missing value」

営業が苦手な司法書士にとって、「どう動けばいいのか分からない」という悩みは日常茶飯事です。特に地方で一人事務所を構えていると、営業=飛び込みや電話営業?という間違ったイメージが先行しがちです。私自身、45歳で独身、事務員一人という環境の中、忙しさにかまけて営業活動を後回しにし、「何が足りないのか」が分からなくなることもしばしば。「missing value」という言葉が、こんなにも胸に刺さるとは思ってもいませんでした。

そもそも営業って必要?司法書士における営業の曖昧さ

営業って、そもそも司法書士に必要なんでしょうか。そう思っていた時期が私にもありました。依頼が来れば仕事になる、資格さえあればなんとかなる——そんな幻想を抱いて独立したあの日から十数年。現実は、待っているだけでは何も始まらないということを、嫌というほど味わいました。にもかかわらず、「どう営業するか」は誰も教えてくれないし、業界内でも答えが曖昧です。

「誰に向けて」「何を売るのか」がぼやけている

営業をしようと思っても、そもそも「誰に」「何を」アピールするのかが分からない。これが司法書士における大きな課題だと思います。たとえば、相続登記を「売る」としても、登記を“買う”という発想がない人には何も響かない。サービスとしての形が見えにくいんです。結局、「何を伝えればいいのか」というmissing valueに突き当たってしまうのです。

法律サービスの定義と一般人の感覚のギャップ

登記や供託といった業務は、我々にとっては日常ですが、一般の方にとっては「何それ?」というレベルです。昔、法務局帰りに地元のカフェで隣に座った人に「司法書士って、裁判やる人?」と聞かれたことがありました。そういうレベルです。そりゃ営業も難しいわけです。業務の説明をしても相手の関心はゼロ。そこにギャップ、つまり決定的なmissing valueがあると感じます。

「紹介頼み営業」の限界と、その先の迷い

最初のうちは、司法書士会のつながりや地元の先輩経由でポツポツ仕事が入り、「なんとかなる」と思っていました。でもそれも時間と共に減っていきます。紹介は運頼みで、再現性がありません。そのたびに「そろそろ自分で営業しなきゃ」と焦るのですが、どうしても動けず、どこかで「まあいっか」と諦めてしまうのです。これも一種のmissing valueなんでしょう。

紹介ルートが枯れたとき、何をするか

紹介が止まったとき、自分で行動しようとすると、本当に手が止まります。動けば動くほど、何かが間違っているような気がしてくるんです。たとえば、士業向けの異業種交流会に参加したことがありましたが、名刺交換だけで終わり、二度と連絡が来ないという虚しさ。紹介以外のルートを築こうにも、どうしたらいいか分からず、また立ち止まるのです。

既存の人脈が通用しなくなる瞬間

古くからの不動産屋や税理士さんに頼りすぎていたツケは、じわじわとやってきます。時代が変わり、人が入れ替わると、途端に連携が取れなくなる。特に地方では、跡継ぎ問題や廃業も多く、人脈の消失は珍しくありません。それでも「いつか戻ってくるだろう」と思っていた自分の甘さに、後から気づきます。missing valueとは、こうして静かに忍び寄ってくるものです。

地元の士業ネットワークにも温度差がある

「士業同士、連携して助け合いましょう」と言いながら、結局は自分の利益しか見ていない人もいます。昔、司法書士・税理士・行政書士でグループを作ったことがありましたが、半年で自然消滅。結局、誰がどこまでやるかの線引きが曖昧で、うまくいかないんですよね。営業もネットワークも、想像以上に繊細で不安定。それが地方のリアルです。

「集客セミナー」の落とし穴と虚しさ

何か打開策をと思い、ネットで見つけた「士業向け集客セミナー」に参加したこともあります。見た目は華やかで、テンプレートが豊富。でも、やればやるほど心が疲弊していくんです。インスタ投稿、SEO対策、YouTube解説…。登記の合間にやるには負担が大きすぎるし、そもそも自分が発信したいことではない。これが本当に正解なんでしょうか。

広告やSNSに手を出すも空回り

一時期、Facebookページを作って投稿を続けていたこともあります。真面目な法務情報を投稿していたつもりですが、いいねは知人の3人だけ。それでも続ければ何かが変わると思ってました。けど、時間だけが過ぎていく。広告費もかけてみたけれど、反応はゼロ。空回りとは、こういうことを言うんだと実感しました。

数字を追うのが正解なのか?という違和感

アクセス数やインプレッションを気にしているうちに、本来の目的を見失いかけたこともあります。「誰のために投稿してるんだっけ?」と自問して、結局やめました。営業活動が、ただの数字ゲームになっていたんです。心のこもらない情報発信は、受け手にも伝わらない。これもまた、自分の中のmissing valueでした。

流行に乗っただけの施策は心がついてこない

「今どきは動画だ」「AIに書かせろ」「で記事量産」なんて情報が飛び交います。でも、それをやってどうなるのか、自分の事務所の強みとどうつながるのかが分からない。流行に乗るだけでは意味がないし、むしろ「何かズレてる」と心が叫びます。営業には「やり方」以上に、「納得感」が必要なんですよね。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。