ふと泣きたくなる夜に、司法書士という肩書きが重く感じるとき

ふと泣きたくなる夜に、司法書士という肩書きが重く感じるとき

誰にも言えない疲れがこぼれた夜

地方の片隅で司法書士をやっていると、どうしても「孤独」と「責任」が常に背中にのしかかってくる。今日も書類を山ほど処理し、夕方に何とか申請を済ませて帰ろうとしたとき、ふと鏡に映った自分の顔を見て思った。「なんか老けたな…」と。その瞬間、どうしようもない涙が出そうになった。誰にも言えないし、言いたくもない。ただ、こぼれ落ちそうな涙を堪えてエンジンをかけた夜だった。

お客様の前では絶対に見せられない顔

司法書士という仕事は、「先生」と呼ばれることが多い。だけど、その言葉の重さに見合った中身が自分にあるのか、いつも疑問に思う。登記の依頼人には笑顔で対応して、丁寧に説明して、ちょっと雑談もして。そんな“完璧な顔”を作るのに慣れすぎて、気づけば自分の本音を出せる場所がない。正直、疲れる。お客さんの前では泣けないし、弱さを見せた瞬間に信頼を失うかもしれないと思うと、どんどん自分が遠くなっていく。

「先生」なんて呼ばれても、心はただの中年男

「○○先生、さすがですね」と言われるたびに、少し笑ってしまう。だって家に帰ればコンビニ弁当だし、夜は誰とも話さずテレビだけが話し相手。35歳を過ぎたあたりから、「肩書き」と「実際の生活」のギャップに悩まされてきた。先生なんて呼ばれるたびに、どんどん孤独が深まっていく気がするのは自分だけなんだろうか。実際のところ、中身はただの疲れた中年。人並みにモテず、趣味といえばAmazonで買った安い酒を飲むことくらいだ。

優しさで押し殺して、帰り道で涙が出た

ある日、相続登記で揉めた家族の対応を終えた後、「先生、ほんと助かりました」と深々と頭を下げられた。その瞬間、感謝される嬉しさと、自分の心の空虚さが同時に押し寄せた。優しい言葉ほど、胸に刺さる夜がある。帰り道、車の中で何度も思い出していたら、涙が止まらなくなった。「頑張ってるね、俺」なんて、自分で自分を慰める夜も、たまにはある。

忙しさはありがたい。でもしんどい

「忙しくていいね」と言われることがある。確かにそうだ。依頼があるというのはありがたいし、食いっぱぐれないのも現実だ。でも、それを口に出して「ありがたいよ」と言いながら、実際は処理しきれない仕事に追われて、昼ごはんをコンビニでかき込んで、電話に出ながら登記申請を仕上げて…そんな日常を繰り返していると、身体の芯から疲弊してくる。

スケジュールは真っ黒、それでも断れない

Googleカレンダーはいつ見ても真っ黒。ひとつ予定をずらすと、ほかに影響が出るから調整が地獄。断ることもできるはずなのに、「他の司法書士に流れたら嫌だな」とか、「信頼が落ちるかも」とか、いらない気を回してしまう。その結果、いつも無理してしまう。自分が自分の首を絞めてるってわかってるのに、やめられない。

「暇だったら不安になるでしょ」と笑うしかない

昔、先輩に「暇な時期が一番怖い」って言われたことがある。その言葉がずっと頭に残ってる。だから多少無理してでも仕事を詰め込んでしまう。だけど、やっぱりしんどいもんはしんどい。疲れてるのに眠れない。夢にまで登記が出てくる。そんな夜が続くと、もう笑うしかない。「暇になるよりマシだよね」って自分に言い聞かせながら。

体も心も、定期メンテナンスができていない

最近、肩こりと目の疲れがひどい。整体に行こうと思っても、時間が取れない。健康診断も何年も受けてない。身体が資本なのに、何もケアしていない。心のケアなんてもっと遠い話だ。せめて誰かに話を聞いてもらえたらと思うけど、相手もいない。そんな自分を「情けないな」と思いながら、また一日が終わっていく。

同じような夜を過ごしている誰かへ

この記事を読んでくれているあなたが、もし少しでも似たような気持ちを抱えながら頑張っているのなら、「一緒だよ」と言いたい。司法書士に限らず、責任を抱えて働いている人は、誰もが一度は「なんでこんなにしんどいんだろう」と思う夜があると思う。泣いたっていい。弱音を吐いたっていい。ただ、明日またひとつ仕事をこなせたら、それで十分だと、最近は思うようになってきた。

泣きたくなる夜は、頑張ってる証拠だと思いたい

昔は「泣くなんてみっともない」と思っていたけど、今は違う。涙が出るのは、頑張ってるから。心が無理してるから。それを認めることも、大人の責任なんじゃないかと感じている。肩書きに潰されそうになっても、自分の存在を否定しないでほしい。だって、ちゃんとやってるんだから。

司法書士だって、人間なんだから

「先生」って呼ばれても、こっちはただの人間。ミスもするし、感情だってある。強く見せる必要はあるけど、壊れる前に立ち止まってもいいと思う。自分を責めすぎないでほしい。そんな自分にも言い聞かせながら、この文章を書いている。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。





私が独立の時からお世話になっている会社さんです↓