予定通りにいかないことが、日常になってしまった
司法書士の仕事は段取りが命だ。予定を組んで、書類を整えて、提出して、完了予定を頭に叩き込む。特に登記は、関係者の予定も絡むから「今日出す」と決めたら、そのために色々な人が動いている。そんな中、「あ、今日は担当者が不在です」と法務局で言われた瞬間、血の気が引いた。僕が住む地方の法務局は小規模で、担当者が固定されていることが多い。1人休めば止まる。そんなこと、わかってる。でも、せめて連絡してくれてもよくない?そう思う自分が、また嫌になる。
「今日提出すればOK」のはずが
事前に電話確認もした。書類も念入りにチェックした。前日は事務員さんと確認しあい、朝イチで向かえば午前中に終わる…そう思っていたのに。カウンターに書類を出した瞬間、顔なじみの職員さんが申し訳なさそうに言った。「あ、今日◯◯はお休みでして…」と。まさかの不在。代わりの担当もいない。別日で再提出です、と淡々と言われ、頭が真っ白になった。「え?今日じゃなかったんですか?」という言葉が、素で口から出た。情けないやら、悔しいやら。
窓口で言われたまさかの一言
「また明日お願いしますね〜」と明るく言われたのが地味に効いた。こっちは依頼者から「いつ終わりますか?」と聞かれている。今さら1日ズレたなんて言えない。再度出直し、また朝イチで行くしかない。別に怒鳴ったりはしないけど、心の中では「おいおい…」と何度も叫んでいた。人生の中で無駄な待ち時間というのはあるけど、こういう“誰にも文句が言えないズレ”が一番しんどい。
「担当者、今日は来てません」って…なんでやねん
実際、体調不良とか事情があるのもわかる。でも、せめて電話一本くれてもいいじゃないかと正直思う。午前中まるまる潰して、駐車場代も無駄になって、それでも「まあ、仕方ないです」で片づけるしかないのが辛い。自分がミスしたなら納得できる。でも、“予定していたものが誰かの都合でふいになる”あの無力感。しかも誰も責められない。ほんと、地味に心削れる。
1日ズレるだけで、心が削られる
登記が1日遅れたところで大騒ぎするような依頼者は少ない。でも、こっちはその1日のズレが尾を引く。他の予定がズレる。説明のタイミングもズレる。無駄に気を揉む。そしてまた夜にLINEで「進捗どうですか?」と聞かれる。「すみません、明日提出になりまして」と返すのは、思ったよりも精神的ダメージが大きい。
書類を抱えてウロウロする自分が情けない
あの日、僕は分厚い書類を抱えて法務局の外に出た。スーツのポケットからスマホを取り出して、依頼者に「が、明日提出になりました」とメッセージを打つ。そのときの自分の姿を、近くのガラスに映る自分を見て、少し笑ってしまった。なんか、虚しかった。「俺、何してるんだろうな」とぼやきながらコンビニでコーヒーを買った。
依頼者への説明も地味に神経を使う
ほとんどの依頼者は「わかりました」と言ってくれる。でも、中には「あれ?じゃあ引渡し日、大丈夫ですか?」と心配する人もいる。大丈夫だけど、こっちは不安の芽を潰すために全力で説明しなきゃいけない。「法務局の担当者が休みで…」なんて理由、いかにも頼りなく聞こえる。誰も悪くないのに、自分が謝るしかない。それが司法書士の日常。
「段取りのズレ」は誰のせいでもないけど
誰も責められない。責めたくない。でも、この「ズレ」こそが仕事のストレスになる。司法書士の仕事は目立たないけど、こうした地味な不安定さの連続なのだ。業界に入る前は「書類仕事」と軽く思っていたが、こんなに人に振り回されるとは思わなかった。いや、人にじゃなくて、“システムに振り回される”と言ったほうが正確かもしれない。
担当者が固定じゃない辛さ
最近は担当者がころころ変わることも多い。前は阿吽の呼吸で通っていた書類も、今は初見の人が「前例がないので…」と止めてくる。そうなると、こちらも1から説明し直し。積み重ねがリセットされる感覚だ。担当がいるだけでありがたい。いないと、それすらもできない。
連絡がつかない時間の空白
法務局に限らず、最近は「電話がつながらない」が増えた。FAX文化も根強く残っていて、メールも使えないケースが多い。そうすると、何か確認したいときに“行くしかない”のだ。時間もガソリンも気力も使って、それでも「不在です」と言われると…そりゃ、疲れる。
事務員さんには八つ当たりできない
僕の事務所にはひとり、気の利く事務員さんがいる。忙しい中でも丁寧に対応してくれて、本当にありがたい存在だ。でも、今回のようなケースでイライラしても、彼女には当たれない。当たり前だ。むしろ「大変でしたね」と言ってくれる。そんなとき、自分の小ささに気づく。
優しい彼女は「大丈夫ですよ」って言ってくれるけど
書類がズレたことで、午後の予定もズレてしまった。「すみません、予定通り行かなくて…」と僕が言うと、彼女は笑顔で「大丈夫ですよ」と返す。その一言が、心に沁みる。誰にも当たれない中で、そう言ってくれる存在がいるだけで救われる。けど同時に、「俺、何やってんだろうな」って自分に問いかける。
結局、一番イライラしてるのは自分自身
人のせいにできないから、自分に向く。僕がもっと余裕を持って動けばよかったのか?もっと事前確認を徹底すべきだったか?そうやって自分を責める。だけど、完璧な予定なんて、そもそも存在しない。イライラしても解決しないことに、心が擦り減る。
愚痴っても、明日もまた行かなきゃいけない
たとえ今日が空振りでも、明日もまた法務局に行く。それが仕事だ。誰も褒めてくれないし、誰も気づかないけど、そうやって1件ずつ処理していく。それが司法書士の現実。黙ってやるのが仕事だけど、今日くらいはちょっとだけ愚痴ってもいいでしょう。
だから今日だけは、ちょっとこぼさせてください
「え?今日じゃなかったんですか?」と、驚いたふりをしていた自分。でも本当は、こういうことが起こるのを薄々わかっていた。覚悟していた。でも、やっぱり疲れる。こういう地味なズレが積み重なると、心が重くなる。だけど明日にはまた笑って書類を出しに行く。…はずです。