努力が報われないと感じる朝に
司法書士として朝を迎えるたびに、「今日も結果が出なかったらどうしよう」と思うことがある。何年やっていても、忙しさはあるのに、それが報酬や評価に直結しているかというと、そうでもない。手続きは無事に終えても、「ありがとう」の一言もなく事務所を後にされる依頼者も多い。報われていないわけではない、と頭ではわかっていても、心がついていかない朝がある。そんな日々を、今日もコーヒーとため息でスタートさせる。
気づけば今日も机に向かっている
毎朝、決まった時間に事務所へ行き、書類を整え、依頼を捌いていく。誰に褒められるでもなく、ただこなしている。それでもやるのは、性格なんだろう。元野球部だったころ、黙々とノックを受け続けていた日々を思い出す。誰かが見てくれているわけじゃないけど、「これが自分の仕事」と信じて動くしかない。疲れが出ると、つい「これ、意味あるのかな」と疑いたくなる。でも、そんなこと言ってる場合じゃないと、また椅子に座り直す。
誰にも褒められない積み重ね
仕事はミスなくやって当たり前。それが司法書士の世界だ。だからこそ、成果が「ない」ように見える。完璧にこなしても、何も起きない。それどころか、ほんのわずかなミスで大きな損害になる。だから気が抜けない。でもこの「褒められない努力」って、地味に精神を削っていく。承認欲求なんて捨てろ、という声もあるけど、そんなに強くない。たまに「助かりました」のひと言をもらうと、思わず胸が詰まる。それがあるから、まだ続けていられるのかもしれない。
通帳の数字も心も動かない
一人事務所に近い形でやっていると、経費も収入もすべて自分で管理する。正直、売上が伸びた月でも、実感がない。通帳の数字が少し増えたくらいで、生活が変わるわけでもない。むしろ、「このくらい稼がないと不安」という基準ばかりが上がっていく。どれだけ働いても、満たされないのは、金額の問題じゃなくて、心の問題だと気づいたのは最近のことだ。でも、じゃあどうすればいいのかは、いまだに答えが出ていない。
それでも辞めない理由はなんだろう
何度か本気で辞めようかと思ったことがある。特に、信頼していた顧客に急に他の事務所へ乗り換えられたとき。あれは堪えた。でも、やっぱりこの仕事には独特の責任感と、わずかながらのやりがいがある。「自分がいなければ困る人がいる」と思えること。それが唯一、背中を押すエネルギーになる。誰にも見えなくても、役所の人には冷たくされても、それでも誰かの大事な人生の一部を支えているんだと、自分に言い聞かせる。
仕事にすがってるだけかもしれない
本音を言えば、仕事を辞めたら何も残らない気がして怖い。だから必死に働いているだけかもしれない。休みの日も、何をしていいかわからず、結局事務所に来てしまう。これは「努力」じゃなくて「逃げ」なんじゃないかと不安になる。友人は家族と旅行へ行き、SNSでは笑顔の写真が並ぶ。でも自分は、独身で、職場にしか居場所がない。それでも、「逃げだって前に進んでいればそれでいい」と思わなきゃ、やってられない。
期待されてる気がしてしまう罠
たまに依頼者から「先生なら安心です」と言われる。その一言が妙に心に残る。でも、その期待に応えなきゃというプレッシャーも同時に背負うことになる。期待されているのか、自分が勝手に思い込んでるだけなのか、その境界も曖昧だ。だからこそ、ますます手を抜けなくなっていく。ミスができない。やればやるほど、ハードルが上がっていく。まるで自分で自分の首を締めているような日々。でも、やめられないのは、不器用な性格のせいなんだろう。
他人と比べることの虚しさ
となり町の同業者がテレビに出たとか、事務所の看板を新しくしたとか、そんな話を聞くたびに、自分は何をしているんだろうと思ってしまう。比べたって意味がないのは分かってる。でも、比べずにはいられない。努力しているのに結果が出ないときほど、他人の成果がまぶしく見える。そんなとき、元野球部の監督の口癖「お前はお前のプレーをしろ」を思い出す。あのときの自分のように、自分の足元を見つめるしかない。
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努力が報われないと感じる朝に
司法書士として朝を迎えるたびに、「今日も結果が出なかったらどうしよう」と思うことがある。何年やっていても、忙しさはあるのに、それが報酬や評価に直結しているかというと、そうでもない。手続きは無事に終えても、「ありがとう」の一言もなく事務所を後にされる依頼者も多い。報われていないわけではない、と頭ではわかっていても、心がついていかない朝がある。そんな日々を、今日もコーヒーとため息でスタートさせる。
気づけば今日も机に向かっている
毎朝、決まった時間に事務所へ行き、書類を整え、依頼を捌いていく。誰に褒められるでもなく、ただこなしている。それでもやるのは、性格なんだろう。元野球部だったころ、黙々とノックを受け続けていた日々を思い出す。誰かが見てくれているわけじゃないけど、「これが自分の仕事」と信じて動くしかない。疲れが出ると、つい「これ、意味あるのかな」と疑いたくなる。でも、そんなこと言ってる場合じゃないと、また椅子に座り直す。
誰にも褒められない積み重ね
仕事はミスなくやって当たり前。それが司法書士の世界だ。だからこそ、成果が「ない」ように見える。完璧にこなしても、何も起きない。それどころか、ほんのわずかなミスで大きな損害になる。だから気が抜けない。でもこの「褒められない努力」って、地味に精神を削っていく。承認欲求なんて捨てろ、という声もあるけど、そんなに強くない。たまに「助かりました」のひと言をもらうと、思わず胸が詰まる。それがあるから、まだ続けていられるのかもしれない。
通帳の数字も心も動かない
一人事務所に近い形でやっていると、経費も収入もすべて自分で管理する。正直、売上が伸びた月でも、実感がない。通帳の数字が少し増えたくらいで、生活が変わるわけでもない。むしろ、「このくらい稼がないと不安」という基準ばかりが上がっていく。どれだけ働いても、満たされないのは、金額の問題じゃなくて、心の問題だと気づいたのは最近のことだ。でも、じゃあどうすればいいのかは、いまだに答えが出ていない。
それでも辞めない理由はなんだろう
何度か本気で辞めようかと思ったことがある。特に、信頼していた顧客に急に他の事務所へ乗り換えられたとき。あれは堪えた。でも、やっぱりこの仕事には独特の責任感と、わずかながらのやりがいがある。「自分がいなければ困る人がいる」と思えること。それが唯一、背中を押すエネルギーになる。誰にも見えなくても、役所の人には冷たくされても、それでも誰かの大事な人生の一部を支えているんだと、自分に言い聞かせる。
仕事にすがってるだけかもしれない
本音を言えば、仕事を辞めたら何も残らない気がして怖い。だから必死に働いているだけかもしれない。休みの日も、何をしていいかわからず、結局事務所に来てしまう。これは「努力」じゃなくて「逃げ」なんじゃないかと不安になる。友人は家族と旅行へ行き、SNSでは笑顔の写真が並ぶ。でも自分は、独身で、職場にしか居場所がない。それでも、「逃げだって前に進んでいればそれでいい」と思わなきゃ、やってられない。
期待されてる気がしてしまう罠
たまに依頼者から「先生なら安心です」と言われる。その一言が妙に心に残る。でも、その期待に応えなきゃというプレッシャーも同時に背負うことになる。期待されているのか、自分が勝手に思い込んでるだけなのか、その境界も曖昧だ。だからこそ、ますます手を抜けなくなっていく。ミスができない。やればやるほど、ハードルが上がっていく。まるで自分で自分の首を締めているような日々。でも、やめられないのは、不器用な性格のせいなんだろう。
他人と比べることの虚しさ
となり町の同業者がテレビに出たとか、事務所の看板を新しくしたとか、そんな話を聞くたびに、自分は何をしているんだろうと思ってしまう。比べたって意味がないのは分かってる。でも、比べずにはいられない。努力しているのに結果が出ないときほど、他人の成果がまぶしく見える。そんなとき、元野球部の監督の口癖「お前はお前のプレーをしろ」を思い出す。あのときの自分のように、自分の足元を見つめるしかない。
隣の事務所は順調そうに見えるけど
駅前にある目立つ事務所。スタッフも数人いて、広告もバンバン出してる。ああ、きっと儲かってるんだろうなと思う。でもそれは本当にそうなんだろうか。うちのように小さくやってるところは、見えない努力が多い。逆に言えば、派手にやっているところだって、裏では見えない苦労を抱えているのかもしれない。つい「羨ましい」と思ってしまうけど、その感情に飲み込まれると、目の前の仕事を丁寧にこなせなくなってしまう。
本当のところはわからない
比べても仕方ない。そう思っていても、気になるのが人間だ。SNSで豪華なランチの写真を見ると、「今日はカップ麺か」と思ってしまう。でも、その人だってストレスを抱えてるかもしれない。華やかに見える裏に、どんな努力や犠牲があるのか、実際にはわからない。自分の足元だけを見て歩けたらどんなに楽か。でも、自分もまた、誰かから見れば「順調そう」に映っているのかもしれない。そんな視点を持つと、少しだけ心が軽くなる。
見えない努力はみんな同じかもしれない
努力は外からは見えないものだ。日々の書類整理、顧客対応、調査、提出。どれも地味で、誰にも見せびらかせるようなものじゃない。でも、みんな同じように汗をかいている。目立たなくても、自分なりに全力でやってる。その事実だけが、今の自分を支えてくれている。結果が出ない日もある。誰にも評価されないこともある。でも、努力してる自分を、自分だけは見捨てないようにしよう。そう思うだけで、明日もなんとかやっていける気がする。
