第一印象が固いと言われるたびに思うこと
「もっと柔らかい雰囲気を出したほうがいいですよ」なんて、もう何回言われただろうか。人と会うたび、初対面の相手の目がどこか緊張しているのを感じる。無理に笑ってみるものの、逆にぎこちなくなってしまうのが常である。司法書士としての仕事は誠実で真面目であることが求められるが、それがそのまま“固そう”という印象を与えてしまうらしい。元野球部という背景もあってか、姿勢がよすぎるとか、目つきが鋭いとか、言われ慣れてしまった。
笑顔の練習なんて意味あるのか
「口角を上げましょう」とか「鏡の前で毎日笑顔の練習をしましょう」とか、ネット記事にはよく書かれているが、実際にやってみると虚しさが先に来る。そもそも、自分が何かを演じてまで人に好かれたいと思っているのかすら分からなくなる。司法書士の仕事において、無理に作り笑いをする意味があるのか。そう思う一方で、相談に来る依頼者の表情が硬いのを見ると、自分のせいなのかと落ち込む。笑えない自分が悪いのか、それとも職業柄仕方がないのか。
意識しても顔が引きつる
実際、笑おうと意識すればするほど、顔がこわばってしまう。あるとき、登記の相談に来たご年配の女性に「もっと怖くない顔して」と言われたことがあった。こっちは普通に話しているつもりでも、どうやら眉間にシワが寄っていたらしい。その日一日、鏡を見るたびに自分の顔を観察し、「これは怖いか?」と自問を繰り返した。結果、分からなかった。
鏡の前では笑えるのに
不思議なもので、ひとりで鏡の前に立つと笑える。むしろ「笑顔、悪くないじゃん」と思うときもある。しかし、それが人前になるとまるで別人のように表情が硬直してしまう。そうなると、自分自身への信頼も薄れてくる。「どうせまた怖いって言われるんだろうな」と思うから、余計に表情が動かなくなる悪循環。こうなるともう、笑顔どころか言葉も詰まりがちになってしまう。
固そうな印象は損なのか得なのか
この業界、真面目であることが求められるのは間違いない。しかし“真面目”と“近寄りがたい”は紙一重だ。仕事上、信頼されることが大切だが、信頼と親しみはまた別物。自分は信頼されているのだろうか、それともただ「この人、話しづらいな」と思われて終わっているのだろうか。ふとした瞬間に、そんな不安が押し寄せてくる。
真面目そうと言われて終わる会話
婚活の場でも「真面目そうですね」で会話が終わることが多い。もっと突っ込んだ質問が来るかと思いきや、そこから先に話が広がらないのだ。つまり“印象が固い”というのは、好意的な評価ではなく、距離を取るための便利な言葉なのだと痛感する。元々雑談が苦手な自分にとって、その壁は高い。
信頼感と親しみの狭間で
「信頼される司法書士になりたい」と思ってやってきたが、それだけでは人はついてこないという現実にも直面している。紹介が少ないのは、固そうな第一印象が原因では?と疑ってしまう。もう少しくだけた雰囲気を出せればいいのに。だが、それを演出できるほど器用ではないのだ。
元野球部のクセが抜けない
学生時代の部活の影響は意外と根深い。元野球部と聞くと礼儀正しく爽やかなイメージを持たれるかもしれないが、実際はむしろ厳格な上下関係や規律に縛られ、それが大人になっても抜けないのだ。人前に出れば背筋を正し、目上の人には直立不動で挨拶。そういった動作が無意識に“固い印象”を作ってしまっているのだろう。
礼儀と上下関係のしみつき
あるとき、行政書士の先生に初めてお会いしたとき、直立して深々とお辞儀したところ「そんなにかしこまらなくていいよ」と笑われたことがある。でも自分の中ではそれが普通で、逆にラフな態度を取ると落ち着かない。結局、自分の中の“礼儀”が、相手には“緊張”や“距離”を感じさせてしまっているらしい。
つい構えてしまう言葉遣い
相談の場でもついつい丁寧すぎる言葉を使ってしまう。正確に伝えなければと意識するあまり、どこか講義のような話し方になる。相手が笑ってくれたとき、こちらも笑いたいのに、そのタイミングが分からずぎこちないリアクションになる。結果、ますます“固い人”と思われてしまう。
「ちゃんとしてる」と言われるけど
「ちゃんとしてる人ですね」と言われることは多い。でもそれが褒め言葉に聞こえなくなってきたのは、いつからだろう。「もっと砕けてもいいのに」と続けられることが多くて、結局は“窮屈そうな人”という評価なのだ。そうなると、自分のままでいることにすら自信をなくす。
体育会系ノリが通じない世界
この業界、体育会系的な上下関係やノリはあまり好まれない。自分が良かれと思って発した「よし、やるか!」の一言が、事務員にはプレッシャーになっていたと後から知った。元野球部のノリは、業務の場では通用しないと痛感した出来事だった。
馴れ合いが苦手な理由
人との適度な距離感が分からないのは、部活時代の習慣かもしれない。仲良くなる=踏み込みすぎる、と思ってしまい、逆に避けるようになってしまう。雑談が苦手なのもそこに原因がある気がする。仕事ではしっかりやっているつもりでも、心の距離が縮まらないのは自分のせいだと反省する。
柔らかさの演技ができない
最近では「もっと親しみやすくしたほうが紹介も増えますよ」と営業コンサルに言われた。でも、自分の性格は急には変えられないし、無理して柔らかくしようとすると逆に不自然になる。どうすれば“自然体のまま親しみやすい”という境地にたどり着けるのか、いまだに答えは出ない。