全部休みにしてしまいたかった月曜日の朝
休んでしまいたい朝は、誰にでもあると信じたい
月曜の朝、目覚ましの音にすら反応できず、気づけば起きる時間を大幅に過ぎていた。体が鉛のように重く、動かそうとしても言うことを聞かない。司法書士として日々の業務に追われる中で、「今日は全部休みにしてしまいたい」と本気で思ったのは、これが初めてではない。だけど、この気持ちを誰かに話すこともなく、ただ背中を丸めて事務所に向かう。そんな月曜が、きっと多くの人にあるはずだと思いたい。
仕事があるのに起き上がれない朝の罪悪感
あの日、机の上には未処理の登記申請が何件も山積みだった。それでも布団の中から出られない。頭の片隅では「このまま休んだら依頼人に迷惑がかかる」「事務員にも心配をかける」とわかっているのに、体が一歩も動かない。その葛藤が、さらに罪悪感となって押し寄せる。この負のループが朝の静寂にじわじわと広がっていった。
頭ではわかっていても体が拒否してくる現実
「自分がやらなきゃいけない」とわかっているからこそ、心と体のギャップが苦しい。冷蔵庫を開けては閉じ、洗面所で顔を洗おうとして止まり、スマホの画面を無意味に眺めてまた布団に戻る。誰に責められているわけでもないのに、自分を責め続けてしまう時間が長く続いた。
予定が詰まっていればいるほど逃げたくなる
月曜日のスケジュール帳はびっしり埋まっていた。面談、登記確認、書類提出。予定があるのはありがたい…そのはずなのに、心のどこかで「すべてをなかったことにできたら」と思ってしまう。予定が詰まっているほど、責任の重さに押し潰されそうになるのだ。
忙しいのはありがたい でも感謝より疲労が勝つ
事務所を構えて15年。仕事があることはありがたい。紹介で来てくれるお客さんも増えた。でも、忙しさに感謝しながらも、心のどこかで「また今日もか」とため息をつく。ありがたいと疲れたが交差する日々。それが月曜日にまとめて襲ってくるのが困りものだ。
電話対応と登記確認で午前中が溶けていく
朝からひっきりなしの電話。登記簿の確認、申請書の修正依頼、金融機関からの催促。自分一人で対応しきれないことも多く、事務員に任せたくても、彼女も彼女で手一杯。午前中はあっという間に終わり、昼食のタイミングすら逃す日も珍しくない。
一人事務所ゆえのプレッシャーと孤独感
地方の一人司法書士事務所。事務員はいるけれど、最終責任を負うのは自分だという重圧。トラブルがあっても、最終判断も対応も自分次第。逃げ場のない中で、「全部休みにしてしまいたい」と思うのは、自然なことだったのかもしれない。
「自分が倒れたら終わり」という呪いの言葉
心配してくれる人はいる。「体だけは気をつけて」と言われるたびに、逆にプレッシャーになる。「自分が倒れたら終わり」という意識が強すぎて、どんなに疲れていても休むことが許されない。その思いが、月曜の朝にのしかかっていた。
週末の疲れを引きずったまま月曜日を迎える
土日でリフレッシュ…できた記憶がない。週末も書類整理や顧客対応に追われ、なんなら来週の準備で事務所に顔を出していた。そんな休日を過ごした後の月曜日がきつくないわけがない。これは、自分だけの問題じゃないと思いたい。
本当の休息がどこにあるのかわからなくなる
「今日は休みます」と言えたらどんなに楽か。でも、休んでも心が休まらないのがこの仕事の辛いところ。次に積み上がるタスクの心配で、休みの日でも気が抜けない。気持ちのオンオフがどこにあるのか、わからなくなってくる。
趣味もない男の休日は寝て終わるだけだった
元野球部だったのに、今は体を動かすことすら億劫になった。唯一の楽しみは、録画しておいたプロ野球中継をダラダラ見るくらい。誰かと過ごす休日でもないし、予定があるわけでもない。ただただ寝て過ぎていく週末。それで回復するわけもない。
昔の仲間に連絡すらできない自分が情けない
連絡帳には名前が並んでいるけれど、今さら何を話せばいいのかわからない。忙しいふりをして、実は逃げているのかもしれない。孤独と自尊心の間でもがいているだけ。そんな自分に気づくと、余計に疲れが増すだけだった。
それでも机に向かうのが司法書士の仕事
どれだけ「全部休みにしてしまいたい」と思っても、最終的には事務所に向かう。書類に向かい、印鑑を押し、電話を取り、依頼人の声を聞く。そうやって、気づけば一日が終わっている。この仕事を選んだ自分に責任を果たすために。
やる気がなくても仕事は待ってくれない
やる気が湧くまで待つ、なんてことはできない。とにかくやるしかない。どんなにモチベーションが低くても、誰かの大事な登記がそこにある。司法書士という職業は、「やる気に関係なくやる」ことが求められる仕事だ。
目の前の書類と向き合うことで少しずつ戻る気持ち
不思議なもので、書類に向かって印鑑を押し始めると、少しずつ心が動き出す。体は重いままでも、ルーティンが気持ちを整えてくれる感覚がある。「今日もなんとかやり切った」と思えた時、ようやく月曜日に一歩踏み出せた気がした。
午後にはいつものリズムに戻っていた不思議
午前中はあんなにしんどかったのに、気づけば午後には電話にも普通に出ていた。書類の山を前に、気持ちを切り替えられたのは、きっと仕事が自分を支えてくれていたから。司法書士という仕事が、日常を取り戻す重りになってくれていた。