どれだけ慎重でもミスはゼロにはならない
司法書士という仕事柄、「ミスは許されない」という意識が常につきまといます。特に登記などの手続きでは、1文字の誤記も命取りになります。だからこそ、自分なりにチェック体制を整えて、万全の態勢で業務に臨んでいるつもりなんですが――それでも、ミスって起きるんですよね。自分でも情けないくらい。それがたとえ小さなものでも、胸をえぐるような後味が残ります。完璧を目指しても、完璧にはなれない。わかっているつもりでも、毎度へこみます。
完璧主義が招く落とし穴
「間違えるぐらいなら時間をかけても完璧にやるべきだ」──そんな信念を持って司法書士をやってきました。でも気づけば、その完璧主義に自分が苦しめられているんです。終業時間を過ぎても書類の確認に追われ、朝まで悩んで眠れないこともありました。自分の完璧を保つために、周りへの気遣いも忘れがちになります。事務員にもつい厳しくなってしまい、後から反省するんですよね。「完璧でなければいけない」という思いが、かえって不完全さを招いている気もします。
「気をつけているつもり」が通用しない瞬間
以前、ある不動産の相続登記で、被相続人の住所の番地を「3丁目6番地」とすべきところを「3丁目5番地」と記載して提出してしまったことがありました。もちろん提出前に何度も確認したし、事務員にもダブルチェックさせたはず。でも、なぜか見落としてしまっていた。相手方の司法書士から「間違ってますよ」と言われたとき、心臓が冷たくなるのを感じました。どんなに気をつけていても、思い込みや疲労が入り込むスキはあるんですよね。
自分を責めるループから抜け出せない
そのミスのせいで再提出、依頼者には謝罪、予定が全部ずれこむ。こういうとき、「なんで俺はこんな簡単なミスをしたんだ」と自分を責め続けてしまいます。誰にも文句を言われてないのに、自分で自分を裁くような感覚。しかも、寝る前にその情景がフラッシュバックしてきて、眠れなくなる。ミスは一瞬だけど、精神的な影響は長く引きずる。性格的に優しすぎるのか、いや、気にしすぎるだけなのかもしれませんけど…本当に厄介です。
チェックリストは万能ではない
司法書士の仕事って、最終的に「どれだけ確認したか」で勝負が決まるところがあります。だからこそ、チェックリストを細かく作って運用しています。でも、それが完璧な防波堤になるわけではないのが現実。チェックリストに書かれていない“例外”や“イレギュラー”に弱いんです。特に、慣れてくるとリストを見ながらでも「たぶん大丈夫だろう」と油断が入る。人間ですからね…。
チェック漏れより怖い“思い込み”
一番怖いのは、実は「チェックしたつもり」で安心してしまうことです。前に、書類の提出先を東京法務局と決めつけて、確認もせずに送ってしまったんです。でも、実際は名古屋法務局が正解だった。完全に“思い込み”でした。チェックリストにも「管轄確認」はあるんですが、経験値が高くなると「これは東京でしょ」と勝手に断定しちゃうんですよね。つまり、経験が足を引っ張る場面すらあるということです。
事務員の負担が増えるジレンマ
チェック体制を強化すればするほど、事務員の作業も増えていきます。「もう一回チェックして」「こっちも確認して」と頼めば頼むほど、事務員の表情が固くなるのがわかるんですよ…。だからって、自分だけで全部抱え込むと、またミスが起きる。ミス防止と働きやすさのバランスって、本当に難しいですね。信頼して任せたいのに、信用しきれない自分もいて…罪悪感だけが積もっていく感じです。
「小さなミス」が心に刺さる日
ちょっとしたミスで人に迷惑をかけてしまった日は、帰り道の足取りが重くなります。誰も怒っていないし、大事にはなっていないのに、自分だけが引きずってしまう。そういう性分なんでしょうか。「あれくらい、気にするなよ」と言ってもらえたとしても、気にしてしまうんですよね。
電話の取り次ぎひとつで崩れる信頼
ある日、事務員がある依頼者の電話を取り次ぎ忘れてしまったんです。ほんの1時間後には気づいて、折り返し連絡したのですが、相手の機嫌はすっかり悪くなっていて「信用できません」と一言。こちらの対応もまずかったとは思うけれど、事務員は泣きそうになってました。その姿を見て、胸が苦しくなりました。取り次ぎ一つでここまで信頼って崩れるのか…と、怖くなりましたね。
怒鳴られなくても、凹む
ミスに対して怒鳴られたことはほとんどありません。むしろ、「ああ、そうでしたか」と冷静に言われることの方が多い。でも、その冷たさが、逆にこたえる。特に、自分が悪いとわかっているときほど、その一言がズシンと心に残るんです。感情的に怒られるより、静かに「ガッカリされた」感じがつらい。相手にとっては些細なことでも、こっちは数日ひきずる。司法書士って、メンタル強くないとやっていけない…と痛感します。
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どれだけ慎重でもミスはゼロにはならない
司法書士という仕事柄、「ミスは許されない」という意識が常につきまといます。特に登記などの手続きでは、1文字の誤記も命取りになります。だからこそ、自分なりにチェック体制を整えて、万全の態勢で業務に臨んでいるつもりなんですが――それでも、ミスって起きるんですよね。自分でも情けないくらい。それがたとえ小さなものでも、胸をえぐるような後味が残ります。完璧を目指しても、完璧にはなれない。わかっているつもりでも、毎度へこみます。
完璧主義が招く落とし穴
「間違えるぐらいなら時間をかけても完璧にやるべきだ」──そんな信念を持って司法書士をやってきました。でも気づけば、その完璧主義に自分が苦しめられているんです。終業時間を過ぎても書類の確認に追われ、朝まで悩んで眠れないこともありました。自分の完璧を保つために、周りへの気遣いも忘れがちになります。事務員にもつい厳しくなってしまい、後から反省するんですよね。「完璧でなければいけない」という思いが、かえって不完全さを招いている気もします。
「気をつけているつもり」が通用しない瞬間
以前、ある不動産の相続登記で、被相続人の住所の番地を「3丁目6番地」とすべきところを「3丁目5番地」と記載して提出してしまったことがありました。もちろん提出前に何度も確認したし、事務員にもダブルチェックさせたはず。でも、なぜか見落としてしまっていた。相手方の司法書士から「間違ってますよ」と言われたとき、心臓が冷たくなるのを感じました。どんなに気をつけていても、思い込みや疲労が入り込むスキはあるんですよね。
自分を責めるループから抜け出せない
そのミスのせいで再提出、依頼者には謝罪、予定が全部ずれこむ。こういうとき、「なんで俺はこんな簡単なミスをしたんだ」と自分を責め続けてしまいます。誰にも文句を言われてないのに、自分で自分を裁くような感覚。しかも、寝る前にその情景がフラッシュバックしてきて、眠れなくなる。ミスは一瞬だけど、精神的な影響は長く引きずる。性格的に優しすぎるのか、いや、気にしすぎるだけなのかもしれませんけど…本当に厄介です。
チェックリストは万能ではない
司法書士の仕事って、最終的に「どれだけ確認したか」で勝負が決まるところがあります。だからこそ、チェックリストを細かく作って運用しています。でも、それが完璧な防波堤になるわけではないのが現実。チェックリストに書かれていない“例外”や“イレギュラー”に弱いんです。特に、慣れてくるとリストを見ながらでも「たぶん大丈夫だろう」と油断が入る。人間ですからね…。
チェック漏れより怖い“思い込み”
一番怖いのは、実は「チェックしたつもり」で安心してしまうことです。前に、書類の提出先を東京法務局と決めつけて、確認もせずに送ってしまったんです。でも、実際は名古屋法務局が正解だった。完全に“思い込み”でした。チェックリストにも「管轄確認」はあるんですが、経験値が高くなると「これは東京でしょ」と勝手に断定しちゃうんですよね。つまり、経験が足を引っ張る場面すらあるということです。
事務員の負担が増えるジレンマ
チェック体制を強化すればするほど、事務員の作業も増えていきます。「もう一回チェックして」「こっちも確認して」と頼めば頼むほど、事務員の表情が固くなるのがわかるんですよ…。だからって、自分だけで全部抱え込むと、またミスが起きる。ミス防止と働きやすさのバランスって、本当に難しいですね。信頼して任せたいのに、信用しきれない自分もいて…罪悪感だけが積もっていく感じです。
「小さなミス」が心に刺さる日
ちょっとしたミスで人に迷惑をかけてしまった日は、帰り道の足取りが重くなります。誰も怒っていないし、大事にはなっていないのに、自分だけが引きずってしまう。そういう性分なんでしょうか。「あれくらい、気にするなよ」と言ってもらえたとしても、気にしてしまうんですよね。
電話の取り次ぎひとつで崩れる信頼
ある日、事務員がある依頼者の電話を取り次ぎ忘れてしまったんです。ほんの1時間後には気づいて、折り返し連絡したのですが、相手の機嫌はすっかり悪くなっていて「信用できません」と一言。こちらの対応もまずかったとは思うけれど、事務員は泣きそうになってました。その姿を見て、胸が苦しくなりました。取り次ぎ一つでここまで信頼って崩れるのか…と、怖くなりましたね。
怒鳴られなくても、凹む
ミスに対して怒鳴られたことはほとんどありません。むしろ、「ああ、そうでしたか」と冷静に言われることの方が多い。でも、その冷たさが、逆にこたえる。特に、自分が悪いとわかっているときほど、その一言がズシンと心に残るんです。感情的に怒られるより、静かに「ガッカリされた」感じがつらい。相手にとっては些細なことでも、こっちは数日ひきずる。司法書士って、メンタル強くないとやっていけない…と痛感します。
