仕事が終わっても、心がまだ残業中
夕方、事務所の照明を落として、パソコンをシャットダウンしても、どこか自分の中では「今日の仕事は終わった」と思えない感覚があります。鍵をかけたドアの向こう側に、まだやり残した何かがあるような気がして。家に帰っても、心のどこかで業務が続いている感じ。それが日常になってしまっているのが、正直しんどいんです。
今日の仕事は終わった。でも、思考はデスクに置いてこれなかった
一応「本日の業務終了」と書いたメモをデスクに残して帰るのが習慣。でも実際は、車を運転している間も、夕飯を食べている最中も、頭の中では「あの書類、出し忘れてないか」とか「依頼者からの電話、明日どんな対応にしよう」といった思考が渦巻いているんです。オンとオフの切り替えができていないというより、もう切り替えるスイッチ自体が壊れてしまったような感じ。
頭の中でぐるぐるしている「あの書類」と「あの電話」
とくに不動産登記や相続の案件では、提出期限や確認事項が多すぎて、忘れること自体が怖くなります。以前、一通の確認書類を見落としてクライアントに迷惑をかけてしまったことがあり、それ以来、帰宅しても頭の中で何度も手順をリピートするようになりました。無意識に自分を責め続けるクセがついてしまったんだと思います。
「あれ、大丈夫だったかな…」の無限ループ
夜、布団に入ってからも、「あの内容、依頼者にちゃんと説明できてたかな…」という思考が何度も頭をよぎる。たぶん、同じ心配を10回くらい繰り返してやっと眠れる。それってもう、業務時間じゃないですよね。でも、止めようとしても止まらない。そういう無限ループに、正直疲れ切ってるのが本音です。
寝る前の反省会がやめられない司法書士の性
反省って大事なんですよ。だけど、毎晩毎晩、寝る前に「今日のダメだったところ会議」を一人で開催していたら、心も身体も持ちません。お酒を飲んでも、YouTubeを流しても、ふとした瞬間に反省モードが顔を出す。これは職業病なのか、性格なのか。多分どっちもなんでしょうね。
気が休まらないのは、責任が重すぎるから?
司法書士という仕事、想像以上にプレッシャーが大きいんです。「この書類ひとつで人生が変わる」ような場面に立ち会うことも珍しくない。だからこそ、常に正確であろうとするし、間違いは絶対に許されないという気持ちも強くなる。でも、それが自分の首を絞めてるんですよね。
ひとり職場、ひとり決断、ひとり失敗
うちの事務所は小さくて、事務員さんもひとり。結局、最終的な判断はすべて自分です。何かトラブルが起きたとき、責任を負うのも自分。相談相手がいないまま、悩みを抱えて寝る日も少なくありません。「誰かに少しでも肩代わりしてほしい」と思う夜もあるけど、現実はそう甘くない。
「これ、ミスったらどうなるんだっけ?」という無意識のプレッシャー
業務中はもちろん冷静を装ってるけど、心の奥底では「万が一のこと」が常に頭にあります。もし登記が通らなかったら?もし遺産分割の説明が不十分だったら?「そんなこと考えてたらキリがないよ」と言われても、考えちゃうんですよ。それが、仕事終わりの疲れをさらに深くする原因にもなっています。
それでもやめられない理由がある
しんどいことも多いですが、ふとした瞬間に「この仕事、やっててよかったな」と思えることがあります。たとえば、お年寄りの依頼者から「ありがとうね、ほんとに助かった」と言われたとき。目の前で安心した表情を見せてくれると、多少の疲れは報われた気がするんです。
「依頼者のありがとう」が唯一のご褒美
登記が完了して、報告書を手渡したときのクライアントのホッとした表情。あの一瞬のために、自分は仕事をしているのかもしれません。決して華やかではないけれど、地味であっても、確実に人の人生の一部に関われている。それが、この孤独な職業の、数少ない報酬の一つだと思います。
小さな達成感に、しがみつくように続けている
派手な成果じゃなくていい。でも、「今日はこれだけ進められた」「あのトラブルを無事収められた」そんな小さな成功にすがって、どうにか明日も続けていこうとする。たぶん、自分を保つためには、それで十分なんです。大きな夢とか希望とか、もう求めてないのかもしれない。
そして、また明日も働く
今日もやり切ったかどうかは分からない。でも、明日もまた依頼者が待っている。そんな気持ちで、日々を回しています。仕事が終わっても気が休まらないけれど、それでも何とか続けていけるのは、同じように頑張ってる誰かがきっといると信じているからかもしれません。
「それでも続ける司法書士」がいるということ
辞めたくなる日もあるし、誰かに丸投げしたくなる日もある。でも、それでも続けている司法書士がいるということ。それは、少しだけ誇っていいことなんじゃないか。今日も疲れてるけど、また明日も、きっと机に向かいます。仕事と心の残業を抱えて。