仕事帰りに寄り道する気力もない

仕事帰りに寄り道する気力もない

仕事帰りに寄り道する気力もない――それが今のリアル

昔は、仕事帰りにちょっと本屋に寄ったり、カフェで甘いものをつまんだり、そんな小さな楽しみがあった。だけど今は、とにかくまっすぐ帰る。それどころか、帰る途中にスーパーに寄るのすら「ハードル高め」だ。45歳の司法書士、事務員一人、田舎町の事務所。忙しいのか暇なのか分からない日々。気がつけば、今日もコンビニを素通りしていた。

「何もしていないのに疲れてる」って思ったことありませんか?

案件が立て込んでいるわけでもない、登記申請は無事終わった、でもなんだかクタクタ。机に座っているだけの日も、なぜかヘトヘトになっている。これ、年齢のせいだけじゃない気がする。張り詰めた緊張感、失敗できないプレッシャー、誰にも相談できない不安。それが毎日積もって、体より先に心が擦り減っていく。

終電じゃないのに真っ直ぐ帰る理由がある

20代の頃は、少しくらい疲れていても飲みに行っていたし、無駄に寄り道して帰るのが好きだった。でも今は違う。寄り道してしまったら、もう「次の日が持たない」。明日も朝イチでお客様対応、役所、法務局。目の前の業務に追われるうちに、自分の楽しみや余裕なんてどこかに置いてきてしまったようだ。

駅前のラーメン屋にも足が向かない夜

昔通っていた駅前のラーメン屋。こってりした味噌ラーメンと焼き餃子が絶品で、疲れた日はそこに行くのが楽しみだった。だけど最近は、目の前を通っても、暖簾をくぐる気力がわかない。頭の中は「早く帰って風呂入って寝たい」。それだけ。美味しいものを味わう余裕すらないなんて、ちょっと哀しい。

「寄り道=余裕」のはずが、そんなもんはどこにもない

寄り道って、本来は心に少しだけ余白があるときのもの。忙しいけど、なんとなく気分転換したくなる。だけど今は、その「余白」がまったくない。日々の業務で神経すり減らして、空いたスペースに疲労と孤独がしみ込んでいる感じ。帰りにどこか寄ろうという発想すら出てこなくなった。

「どこかに寄ろう」と思う気力がもう、出てこない

仕事が終わった瞬間、脳内で「やった!自由だ!」と感じることもない。ただ、次の日のことを考えて憂鬱になるだけ。寄り道=回復のはずなのに、それすら億劫。寄った先で誰かと会話するのも面倒くさいし、そもそも誰もいない。誰かに誘われることも、最近じゃすっかりなくなった。

コンビニの明かりがまぶしいだけの日もある

事務所から最寄り駅までの道。途中にあるコンビニのネオンが、やけにまぶしく感じる夜がある。あれは明るいというより、ちょっと刺さる。自分だけが陰にいるような、取り残されたような気持ちになる。ジュース一本買う元気すらないとき、「ああ、今日もだめだったな」と思いながら歩いている。

あの頃、帰りに寄ってた喫茶店は今…

司法書士として独立したばかりの頃、よく通っていた喫茶店がある。モーニングがうまくて、店主も気さくで。今もたまに前を通るけど、立ち寄ることはなくなった。店が変わったのか、自分が変わったのか。心に余裕がなくなると、そういう場所との縁も薄れていくのかもしれない。

仕事だけで一日を終えることに、何とも言えない寂しさ

働いて、帰って、寝るだけ。健康的と言えばそうかもしれないけれど、なんだか心が置き去りにされているような感じがする。日常がルーチンになればなるほど、感情の揺れ幅がなくなって、ただ「無」で過ごす時間が増えていく。司法書士という仕事は、孤独な時間が多い。誰かと共有できる瞬間がほとんどないのだ。

「もうすぐ50歳」で、まっすぐ帰って誰とも話さない夜

気づけば、もうアラフィフ。20代30代の頃のような無理はきかないし、何よりも回復力が違う。人と会うことさえ億劫になって、気がつけば家で一人、テレビをぼんやり見るだけ。会話は一日で事務員さんと数言。誰かとご飯を食べることすら稀になった。これでいいのか?と思っても、じゃあどうすれば?と詰まってしまう。

家に帰れば静かすぎる部屋が待っている

自宅のドアを開けた瞬間の、あの静けさ。テレビもつけず、スマホも放って、ただ脱力してソファに倒れ込む。空腹だけど、何か作るのも面倒で、結局そのまま寝てしまうこともある。誰かが待っていてくれるわけでもないし、ただ「また明日が来るだけ」。そんな日々の繰り返し。

一人暮らし歴20年、慣れたようで慣れないもの

独り身歴が長くなればなるほど、生活には慣れてくる。でも、慣れるのと満たされるのは全然違う。一人でいることに不満はないけど、「誰かと笑う瞬間」はやっぱり欲しいなと思う。仕事だけじゃ埋まらないものがあることを、帰り道の足取りの重さで実感する。

同じように「帰り道」がつらい誰かへ

もし、これを読んでいる人の中に「寄り道すらしんどい」と感じている人がいるなら、それはあなただけじゃないと伝えたい。みんなそれぞれの疲れを抱えていて、きっと心のどこかで「もう少しだけ余裕があれば」と願っている。寄り道ができないのは、甘えじゃない。ただ、それだけ頑張っている証拠だ。

ちょっとだけ気持ちがラクになる工夫

最近、私はあえて「帰り道に一曲だけ音楽を聴く」というルールを作った。ほんの数分だけど、それが意外と気持ちをリセットしてくれる。寄り道しなくても、心に寄り道を作る。そんな感覚。無理してどこかに行かなくていい、自分にとっての“少しの緩み”をつくるだけでも、気持ちが変わることがある。

無理して寄り道しなくてもいい、でも

「寄り道しなきゃダメだ」と思う必要はない。でも、「どこかに寄れるかもしれない自分」を残しておくことは大事だと思う。仕事だけで人生が終わるなんて、もったいない。小さくても自分を喜ばせる習慣があると、なんとかやっていける。私は最近、帰りに缶コーヒーを買うのがささやかな楽しみだ。

自分のために寄り道する日を、忘れないでいたい

今日も寄り道しなかった。でも、明日はわからない。たった一杯のラーメン、ちょっとした買い物、それだけで気分が変わる日もある。司法書士として働き続けるためにも、自分の時間、自分の小さな寄り道を大事にしていきたい。忙しさに呑まれず、自分のための余白を、忘れずに。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。