心が疲れていると感じた朝に起きた変化
ある朝、いつものようにコンビニで買ったコーヒーをすすった瞬間、強烈な苦みが舌を突き刺した。いつもなら朝の相棒として、忙しい仕事へのスイッチを入れてくれる存在なのに、その日は違った。「あれ? こんな味だったっけ?」。疲れがたまっているとき、人は味覚すらも変わるのかもしれない。そんな些細な違和感が、実は心の限界を教えてくれるサインだったのかもしれないと、今になって思う。
いつものコーヒーがやけに苦く感じた
忙しい朝のルーティン、缶コーヒー片手に事務所へ向かう道。今日はなんとなく気分が重くて、スマホでメールを開く手も止まったまま。缶をプシュッと開けてひと口飲んだその瞬間、舌の奥に広がったのは、いつもの甘みではなく、濃厚でえぐい苦みだった。「うわっ…」と小さくつぶやいた。たぶん誰も聞いてなかったけど、内心はザワザワしていた。「俺、やばいのかも」って。
味覚が変わるのは心のSOSかもしれない
味覚の変化は、単なる体調不良だけでなく、メンタルの不調が引き金になることもあると聞いたことがある。まさにそのとおりだった。普段なら何も感じない些細な刺激が、妙に鋭く刺さってくる。疲れているのに、それに気づかないふりをして走り続けると、体よりも先に心が音を上げる。司法書士という職業柄、「しっかりしていなきゃ」と自分にプレッシャーをかけがちだが、その無理が積もっていたのかもしれない。
思い込みで済ませないほうがいい理由
「たまたまコンディションが悪かっただけだろう」と思いたくなる。でも、そうやって無理を重ねて、後で動けなくなることもある。過去に一度、強いめまいで倒れたことがあった。病院ではストレス性のものだと診断された。「倒れてやっと休めるなんて、バカみたいだな」と苦笑いしたけど、同じことを繰り返してはいけない。小さな違和感は、ちゃんと受け止めておくに越したことはない。
疲れの正体はどこに潜んでいるのか
自分ではまだ頑張れるつもりでも、知らず知らずのうちに限界を超えていることがある。それが本当に厄介なのは、「忙しさ」に紛れてその事実に気づきにくいことだ。疲労の原因は単なる業務量ではない。目に見えない「読めなさ」や「予定外」に振り回される日々が、じわじわと心を削っていく。
業務量よりも「予定の読みづらさ」が厄介
登記関係の仕事は、相手の都合や動きに左右される。急な依頼や書類の差し戻し、不動産会社とのやりとりのズレ…。自分のペースで進められる仕事なんて、正直ひとつもない。終わると思った仕事が終わらない、予定していた案件に新たな課題が発生する。その「読めなさ」に振り回される日々が積もると、心がすり減っていく。
依頼人の都合と予定が噛み合わないストレス
例えば、ある日の午後、完了予定だった案件が急きょ延期になった。依頼人が「やっぱり今日じゃなくて明日にしてほしい」と言い出したからだ。それだけならまだしも、「なんで早く言ってくれなかったんですか」と逆に責められる。こっちは調整に次ぐ調整をしているのに、まったく伝わらない。そんな瞬間、「俺って何してるんだろう」と虚しくなる。
終わりの見えない日々の中での工夫
対処法として、自分のスケジュール帳に「余白時間」をあらかじめ入れるようにした。1日1時間は“予備時間”として確保しておく。何かがずれても調整できる心の余裕があるだけで、少し救われる。すべてを完璧にこなそうとしない。そう割り切ることも、司法書士として長く働くには必要な「技術」だと思う。
また明日もコーヒーが苦くないといいな
今日も一日、なんとか乗り切った。でも明日も同じように続くのかと思うと、正直しんどい。だけど、ほんの少しでも気を抜ける瞬間があるなら、その時間を大切にしたいと思うようになった。コーヒーが美味しいと感じられる朝が戻ってくるように、無理をしすぎず、自分に優しくなろうと思う。
少しでも心が軽くなる朝を迎えるために
早起きして、近所を散歩してみる。コンビニじゃなくて、ちょっと高めの豆を買って、自分で淹れてみる。そんな些細な行動の変化が、意外と心の緊張をほどいてくれる。無理にテンションを上げる必要はない。ただ、「今日もやってみるか」と思える自分をキープできることが大事なのだ。
疲れた自分を許すことから始めよう
「まだ頑張れるはず」「もっとやれるべきだ」と自分を追い込んできた。でも、その先にあったのは“苦いコーヒー”だった。心が疲れていた証拠だ。だったら、まずは自分を許すところから始めてもいいんじゃないか。「今日は疲れた」「休みたい」と素直に認めること。それは弱さじゃなくて、自分を守る勇気だと思う。