不安の出口が見えないとき、朝が来るのが怖くなる
仕事が山積みだと分かっている朝ほど、目覚まし時計の音が恐ろしく響きます。司法書士として独立してからもう十年以上経ちますが、未だに「今日は何から手をつけようか」と布団の中で固まってしまう日があります。頭では「やるしかない」と分かっているのに、身体が動かない。そんな朝は、暗いトンネルの中を手探りで進んでいるような気分です。出口はあるのかもしれない。でも今は、見えないのです。
目が覚めた瞬間、胃が重くなる感覚
朝、目を開けるなりズシンと胃のあたりに重みがきます。「あれを今日中にやらなきゃ」「あの電話に出なきゃ」そんなことを考え出したら、起き上がる気力が削られます。寝てる間くらい不安から解放されたいのに、夢の中でも仕事のことでうなされる始末。司法書士って、起きてる時間だけじゃなくて、寝てる時間すら心が休まらないことがあるんです。
メールチェックの前から心が折れてる
机に座って最初にするのはメールチェック。でも、実はその前から気持ちが折れてます。メールを開くたびに「どこかで何かミスしてないか」とビクビクしてしまう。依頼者からの文面が少しでも冷たく感じられると、勝手に「怒ってるんじゃないか」「信頼を失ったかも」なんて妄想を始めてしまうんですよね。もう心が疲れ果ててる証拠です。
「またあの案件か」とため息が先に出る
同じ案件のメールが繰り返し届くと、「ああ、まだ終わってなかったんだ」とため息が出ます。一度終わったと思ったものが、書類の不備や認印の押し忘れで再浮上してくるのはよくあること。まるでゾンビみたいにしつこく蘇る案件たち。そして、そのたびに「自分の確認が甘かったんじゃないか」と自責の念に駆られるのです。
ひとりで抱える責任が、静かに心を削っていく
「独立して自由に働きたい」と思って開業したけれど、結局すべての責任が自分にのしかかるという現実は想像以上に重かったです。相談も判断もミスも全部自分持ち。事務員さんは優しくて助かる存在だけど、やっぱり仕事の根幹に関わるところは一人で背負うしかない。何もない日ですら、常に「もしもの責任」がつきまとっていて、心が休まる瞬間がありません。
事務員さんの前ではヘラヘラ笑うしかない
事務員さんに心配をかけたくないから、つらくても「大丈夫ですよ〜」なんてヘラヘラ笑ってごまかしてます。でも心の中では「今月の売上、大丈夫か？」「この案件、下手したら損害賠償じゃないか？」と不安が渦巻いてるんです。誰にも言えないまま、笑顔の下に溜まっていく不安は、まるで静かに進行する病のようです。
でも内心は「全部俺が何とかしなきゃ」って焦ってる
「結局、俺が何とかしないと」この考えが離れません。事務員さんができる範囲にも限界があるし、責任を押しつけたくないから、どうしても全部自分で抱え込んでしまう。でも、そうやってがんばっても、誰かに「よく頑張ってるね」と言ってもらえるわけでもなく、結果が出なければ「努力不足」と自分を責めるループに陥ります。
お金の不安は、ふとした瞬間に襲ってくる
今月は売上も落ち着いてるし、何とかなるだろう。そう思っていた矢先に、急なキャンセルや入金の遅れがあると一気に不安が押し寄せてきます。独立した以上、収入は完全に不安定。蓄えがあるわけでもないし、突発的な支出にはとても弱いです。コンビニで昼ごはんを買いながら「これ、贅沢か？」と一瞬考えるようになってしまいました。
通帳の数字に安心できたこと、最近あったっけ
ふと通帳を開いて、何度か数字を確認する。でも「安心」には程遠い。数字は動いてるけど、将来の保証なんて一つもない。売上が多かった月でも、使えばすぐ消えるし、翌月にはまたゼロからのスタート。司法書士って、月給取りじゃない分、安心できるタイミングが本当に少ないです。
「今月は大丈夫そうだな」が翌月には揺らぐ現実
「今月はなんとか黒字だな」と思った翌週に、急にクライアントからの支払いが遅れて焦る。月末の支払い、税金、年金…固定費は待ってくれないのに、収入は流動的。数字に一喜一憂する日々が続くと、精神的な余裕なんてなくなります。たとえ一時的に安心できても、その感覚は本当に「一時的」にすぎません。
不安の出口は、たぶん見える日もあれば見えない日もある
「不安の出口が見えない」という感覚は、ずっと続くわけじゃないと最近は思えるようになりました。ある日は絶望の淵にいても、またある日はほんの小さな感謝ややさしさに救われたりする。トンネルの中を歩いているとき、出口が遠すぎて見えないだけかもしれません。見えないからといって、出口が存在しないわけじゃない。そう思って、今日もパソコンに向かっています。
答えは出ない。でも歩き続けるしかない
正直、司法書士として「これが正解だ」という生き方はまだ見つかっていません。ずっと模索しています。だけど、今やってることが「誰かの役に立ってる」と信じたい。つらいのは、逃げずにやってる証拠でもある。そんなふうに自分を鼓舞しながら、歩みを止めずに前に進むしかありません。
誰かと分かち合えた瞬間が、灯りになる
この文章も、どこかの誰かに届いてくれたらいいなと思っています。誰かの「自分だけじゃないんだ」という気づきになれたら、それはこの孤独な仕事の中で見つけたひとつの光です。誰かの不安に小さな出口を作ることができたら、自分自身のトンネルにも少しだけ明かりが灯る気がします。
