出会い系アプリで“職業:司法書士”が警戒される理由と、こじらせた僕の嘆き

出会い系アプリで“職業:司法書士”が警戒される理由と、こじらせた僕の嘆き

出会い系アプリで「司法書士です」と言うと、なぜか空気が変わる

地方で司法書士事務所を営んでいる45歳、独身男性。出会いの少なさに危機感を覚え、藁にもすがる思いで出会い系アプリに手を出したのが昨年のこと。ところがプロフィールに「司法書士」と書いた瞬間、明らかにメッセージの返信率が激減する。マッチングしても一言二言やり取りしただけで既読スルー。なにか地雷を踏んだような感覚に陥る。「司法書士」って、そんなに警戒される職業だったのか?

職業を書くと返信が途絶える謎現象

最初はたまたまだと思った。でも10人、20人と続けていくうちにある傾向に気づいた。プロフィールに「司法書士」と書いている時と、書いていない時では反応が明らかに違うのだ。試しに一度だけ「事務職」とぼかしてみたら、返信が返ってきたこともあった。もちろん嘘をつくのは心苦しい。だが、このまま正直者が損をする仕様では、恋愛市場にすら参加できないのかという気持ちになる。

司法書士=堅物・怖そうというイメージ?

たまにメッセージが返ってきても、「司法書士ってなんか怖い」「真面目すぎそう」という感想をもらう。言われてみれば、法務局や裁判所に出入りしていると聞くと、距離を置きたくなるのかもしれない。さらに、よくわからないけど“上から目線で説教されそう”と思われている節もある。誤解だとは思う。でも、それが“印象”というものなのだと、身をもって知った。

「なんかいろいろバレそう」と言われた夜

ある女性に「司法書士って個人情報とかたくさん見てそうで、ちょっと怖い」と言われたときは、冗談半分とはいえグサッときた。僕の中では「人の秘密を守る仕事」のつもりだったのに、逆に「なんでも調べてきそう」と思われているとは。これが“士業”の持つイメージの重さかと痛感した夜だった。

誰にもモテない司法書士の孤独な現実

出会い系に限らず、日常でも「女性と話す機会がない」というのが、僕の現実だ。書類と向き合い、法務局へ走り、電話対応に追われ、気がつけば夜。そんな毎日を10年以上続けてきて、気づけば恋愛スキルは完全に劣化していた。たとえば、美容師さんと雑談するだけでもうまく話せない。話題が業務連絡みたいになってしまう。

法務局には行くけど、デートには行けない

午前中は定款認証、午後は抵当権抹消登記、夕方は相続の相談…このルーティーンに「恋愛」という要素が入り込む隙がない。予定を入れようにも、急な案件が入るからドタキャンも頻発。これじゃ誰とも約束ができないし、自分でも「またか」とうんざりする。結局、アプリで知り合った人との食事も、3回連続でキャンセルする羽目になり、それきりになってしまった。

そもそも女性と会話する場がない

地域の異業種交流会にも顔を出したことがあるけれど、名刺を渡すたびに「あ、法律系の方なんですね〜」とスルーされる始末。たしかに、面白みのない職業なのかもしれない。こっちは少しでも人間関係を広げようとしてるのに、まるで透明人間になった気分だった。仕事の話をすると敬遠され、黙っていても盛り上がらない。この職業のままじゃ一生独りかも、と本気で思った瞬間だった。

それでも、出会いをあきらめない理由

正直、何度も心が折れかけた。「もう無理だ」とスマホを閉じた日もある。でも、それでも出会いを探す理由は、一人でいることの辛さを知っているからだ。誰かと笑い合える時間、休日に並んで歩ける時間、そんな当たり前を僕も手に入れたいのだ。警戒されても、誤解されても、それを一つひとつ解いていけるような出会いを、まだ信じている。

人生は長い。司法書士にも春が来ると信じたい

45歳、独身、地方の士業。スペックだけ見れば、婚活市場では“おまけ”みたいな存在かもしれない。でも人生は長い。誠実に生きてきた時間は、きっとどこかで報われると信じている。今日もどこかで「司法書士」と聞いて笑ってくれる誰かに出会えるかもしれない。その日まで、僕はこの地味で重たい職業を背負いながら、地道にマッチングボタンを押し続けていこうと思う。

しがない司法書士
shindo

地方の中規模都市で、こぢんまりと司法書士事務所を営んでいます。
日々、相続登記や不動産登記、会社設立手続きなど、
誰かの人生の節目にそっと関わる仕事をしています。

世間的には「先生」と呼ばれたりしますが、現実は書類と電話とプレッシャーに追われ、あっという間に終わる日々の連続。