お堅い仕事してるんでしょと壁を感じるとき
「お堅い仕事してるんでしょ?」と言われるたび、僕は少しだけ身構えてしまう。司法書士という職業は、たしかに世間的には真面目で堅物なイメージがつきまとう。でも、そんなふうに見られることで、なぜか会話が止まってしまう瞬間がある。悪気がないのは分かってるけど、どこかで「壁」を感じるのだ。元野球部で汗臭く泥まみれだった青春時代の自分と、いまのスーツ姿の自分。そのギャップに自分自身も戸惑うときがある。
司法書士という肩書が生む距離感
僕が名刺を出すたび、相手の表情が一瞬だけ固まることがある。居酒屋で隣になった人と軽く話していたのに、「司法書士です」と言った瞬間に、空気が変わる。もしかして税務署の人と勘違いされてるのか?というレベルで。お堅い仕事だと認識されると、相手が「自分も真面目に話さなきゃ」と思うのか、途端に冗談が消えてしまう。
名刺を出した瞬間のあの空気
とある飲み会で、隣の席になった人と趣味の話で盛り上がっていた。野球が好きだということで、高校時代の話をしながら笑っていたのに、職業を聞かれて「司法書士です」と答えた瞬間、「へえ〜、お堅い仕事してるんですね」とひとこと。それ以降、話題がどこかビジネス寄りになってしまい、距離ができたように感じた。こちらはただ、楽しく話したかっただけなのに。
プライベートの話がしにくい理由
「えっ、そんな職業の人がそんな趣味あるんですね」と言われたこともある。漫画を読んだり、YouTubeで野球解説見たり、そんなに珍しいことかなと疑問に思う。プライベートを話しても、なぜか“司法書士らしからぬ”というフィルターで見られてしまう。それが地味にこたえるのだ。
軽く話したつもりが「説教に聞こえる」と言われる
冗談半分で言ったことが、「お説教みたい」と返されることがある。特に年下の人に対して、少しでも仕事や人生観に触れると、そう受け取られてしまう。年齢のせいか職業のせいか、ただの一言が堅苦しく感じられてしまうようだ。こちらとしては、ただの世間話のつもりなのに。
元野球部のノリが通じない悲しさ
高校時代、上下関係が厳しい部活で鍛えられたせいか、気合いや根性論みたいな話を無意識にしてしまう。でも今の時代、それが通じないどころか、ちょっとでも「頑張れよ」と言おうものなら「重い」と返される。気を使ってふんわり言うと、「それ、説教っぽいですね」とまで言われたこともある。本音は言えないなと思って黙る日もある。
気さくにしたいのに空回りする瞬間
最近は少しでも砕けた話し方をしようと、話題を工夫しているけど、なぜか「キャラに合わないですね」と笑われる。それがフレンドリーな意味なのか、本当に変だと思われているのか判断できない。「頑張って砕けてみたのに、それすら壁になるのか」と思うと、だんだん自然体でいることが難しくなる。
初対面で引かれてしまうことのつらさ
初対面の人に「司法書士やってます」と伝えたとき、「えっ、怖そう」とか「法律とか詳しい人ってなんか…」という反応をされることがある。もちろん全員ではない。でも、その一言でなんとなく空気が変わることが少なくない。別に威圧感を出してるわけでもないのに、こっちとしては肩書が先行して人格を判断されてしまうようで、つらい。
固そうだから恋愛とかしなさそうって何
冗談交じりか本気か、「固そうな職業の人って恋愛とかしなさそうですよね」なんて言われたこともある。なんなんだその偏見は。ちゃんと人並みに恋もしたし、失恋もしてきた。今は独身だけど、それは性格のせいであって、職業のせいじゃないと信じたい。でも、そうやって「恋愛対象から外される」感じがすると、正直こたえる。
雑談が自己開示にならない職業病
「今日は暑いですね」と天気の話をしても、「この人、警戒してるのかな」と思われたり。「どんなテレビ見ますか?」と聞かれても、変に知識があると思われてしまったり。何を話しても“司法書士フィルター”がかかってしまって、自己開示がうまくいかない。雑談ですら、慎重になってしまうのが情けない。
世間のイメージと現実のギャップに疲れる
司法書士=安定・堅実・稼いでそう、そんなイメージがあるらしい。でも実際は、地味で孤独で、トラブル処理に追われる日々だ。誰かの人生の「詰めの場面」に呼ばれることも多く、ミスは許されない緊張感がある。決して華やかでも、楽でもない。それを「カタいけどいい仕事だよね」と言われるたび、どこかむなしくなる。
堅実だけど地味で孤独な日常
日中はひたすら書類とパソコンに向き合い、電話対応に追われ、夜になってやっと今日の申請を確認。そんな毎日の繰り返し。誰からも「ありがとう」と言われずに終わることも多い。責任感だけで回してるような感覚になる。僕がやってることは「縁の下の力持ち」どころか、「誰も見ない地下室の配管工事」みたいな存在かもしれない。
頭良さそうに見られても嬉しくないとき
「頭良さそう」「難しいことしてるよね」そう言われることがあるけど、それって本当の意味での理解じゃない。ただのステレオタイプで、自分という人間はそこに含まれていない。むしろ、そう言われると会話の続きをどうしていいか分からなくなる。「そんなに賢くないですよ」と返しても、気を使わせるだけだし。気楽に話せるって、案外難しい。